自然と人と風物と。
暮らすように旅すれば、もっと素敵に出会える!
沖縄と聞いてまず思い浮かぶのは、真っ青な海、常夏の楽園といった非日常のイメージ。たしかにストレスの多い都会暮らしの我々には、ゆったりとした時間が流れる沖縄は憧れ。もっと歳をとったら、平良とみさんのような沖縄のおばあになりたい!と、真剣に考えたことがある、なんていう方、実は多いのでは?
羽田さんは子供のころ海でおぼれかけた経験から「海で泳ぐことは一生ないと思っていた」そう。だから当初沖縄は単なるリゾート地のひとつでしたが、女優としての初仕事で撮影に臨んだのがなんと沖縄。その後仕事のオファーでスキューバダイビングのライセンスを取らなければならなくなり、海への恐怖を克服したのも沖縄。しかもその手助けをした人物が、ダイビングインストラクターで心理学の学位も持つ沖縄在住、そして現在結婚5年目のご主人とは、まるでドラマのような展開。
まさに事実は小説よりも奇なりです。
前置きが長くなりましたが、今回ご紹介する『羽田美智子が見つけた沖縄すてき、ひとめぐり。』は、そういう羽田さんだからこそ気づけた沖縄の魅力をあますところなく紹介している、今一番活きのいいガイドブックです。
沖縄で暮らすことになった羽田さんが、天真爛漫な笑顔と持ち前の好奇心で、伝統が色濃く残る沖縄に吹き始めた新たな風をキャッチ、暮らす人ならではの視点でその魅力に迫る沖縄ガイドは、沖縄旅行ビギナーはもちろん、リピーターにも役立つこと請け合い。
やちむんに合うのはやはり島の食材で作られた琉球料理。美味しいものに目がない羽田さんはカフェやレストランだけでなく、地元のスーパーや市場までチェック。東京に戻るときのスーツケースの半分は沖縄の食材でパンパンになってしまうのだそう。
また仕事がら着物を着る機会が多い羽田さんは、紅型や芭蕉布といった沖縄が誇る伝統工芸にも目を向けます。もちろん、工房を訪ねます。現在そうした仕事に携わっているのは意外にも沖縄県外から移住してきた女性たちも少なくないとか。美を生み出す仕事の細やかで地道な積み重ねには羽田さんならずとも、敬意を払わずにはいられません。
羽田さんをあらたな世界へ目覚めさせた沖縄の海の美しさも、特筆もの。実際に住んでいるからこそわかる沖縄の旬なもの、しかも羽田さんのアンテナにぴぴっと来たものだけがたっぷり載っています。
沖縄旅行を計画しているなら、ぜひ一読をおすすめします。え? 当分予定がない? そういう人はこれを読めば、沖縄旅行の気分に浸れます~。ライブ感あふれる写真もたくさん載っているので、おうちに居ながらにして旅行気分が味わえます。
文/鈴木美穂