いし こんにちは。今年も残りわずかとなり、きゅうきゅう言ってるぐうたらライターのいしまるこです。
我らが師、根来教授も、つい先日アメリカから帰ってきたばかり。世界を股にかけて走り回っていますよ。
根来 こんにちは。根来秀行です。ごきげんいかがですか?
前回の連載では「腎臓」を取り上げましたが、今回は「副腎年齢を若返らせる!」で行きたいと思います。
いし 「副腎」とな!? ニッチなところにいきますね〜。
根来 確かに副腎は、あまり耳馴染みがないかもしれませんが、アンチエイジングに大きな影響を与える臓器なんですよ。
いし へぇ〜。そうなんですか?
そもそも副腎のこと、ほとんど知らないですけど、どこにあるんですか?
根来 副腎は腎臓の上にちょこんと乗っている小さな臓器です。
いし 「副腎」というくらいだから、腎臓のサポートをしているんですか?
根来 名前に〝副〟とついているため、腎臓のサブっぽいイメージの臓器ですが、実は腎臓とはあまり直接的な関係はなくて、生命維持に不可欠ないくつものホルモンを作り出している重要な器官なんです。
いし あ、副腎皮質ホルモンとか?
根来 そうそう。副腎で生み出されるホルモンは50種類以上にも上り、血圧、血糖、水分、電解質などをちょうどいい状態に調節し、 体内環境を一定に保っています。
いし 小さいのに50種類以上のホルモンを出しているんですね〜。働き者だなあ。
副腎の代表的なホルモン
●主な副腎皮質ホルモン
・抗ストレスホルモン「コルチゾール」
〝ここぞ〟というとき、ストレスに遭遇したとき、血糖値や血圧を上げて対抗する。また炎症を抑えて、ストレスによるダメージも防ぎます。ただし過剰に分泌されると、活性酸素を大量発生させ、逆に体にダメージを与えます。
・母なるホルモン「DHEA」
性ホルモンなど多くのホルモンの元になり〝マザーホルモン〟とも呼ばれます。ストレスを受けると、コルチゾールとほぼ同時に分泌され、コルチゾールを抑制し体の酸化を防ぎます。免疫力アップ、脂肪の代謝を促進、筋肉の強化にも働くアンチエイジングホルモン。
・電解質を調整「アルドステロン」
ナトリウム、マグネシウム、カリウムなどミネラルの濃度、細胞や細胞間にある組織液、血液などの体液量をコントロールし、脱水症状などを防ぎます。
●主な副腎髄質ホルモン
・戦うホルモン「アドレナリン」「ノルアドレナリン」
急激なストレスをキャッチした時に分泌。アドレナリンとノルアドレナリンが力を合わせて、心拍数や血圧を上げ、緊張や集中力を高め、ストレスに対抗。
・快楽ホルモン「ドーパミン」
ノルアドレナリンの前駆体。快感や多幸感をもたらし、意欲を上げる。ストレスを感じると、ドーパミンの分泌は抑制されます。
根来 副腎から分泌されるホルモンには、ストレスに対処するホルモンが多いのも特徴で、副腎は〝ストレスの腺〟ともいわれます。
いし ストレスの腺!
根来 脳がストレスをキャッチすると、脳から副腎に司令が出て、ストレスに対抗するためのホルモンが分泌されるのです。
いし ストレスから守ってくれる、抗ストレスホルモンが出るんですね。
根来 はい。しかし、慢性的にストレスにさらされていると、交感神経が過度に優位になり、同時に抗ストレスホルモンも過剰に分泌されます。
そうなると毛細血管の血流が悪化し、栄養や酸素が行き渡らず、老廃物がたまり、フリーラジカルが大発生。毛細血管自体が劣化していきます。
心身ともにかえってストレスフルな状態に追い込まれるという悪循環に陥ります。
いし おおっと、大変!
根来 それでも休まず無理を続けていると、抗ストレスホルモン自体が枯渇し、日常生活に支障が起きてくることさえあります。
いし なんとまあ……。やっぱり、無理はしちゃいけないってことですねぇ。とはいえ、何かと忙しいアワエイジ世代はストレスがたまることも多いですよ。
根来 そうですね。次回は、ストレスが副腎にどのような影響を及ぼすか、さらに詳しくお伝えしたいと思います。
それではみなさん、今日も素敵な1日を!
(次回は「更年期には副腎機能も落ちやすい!?」をお届けします。お楽しみに!)
取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン