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食欲を調整するホルモンとは?/Dr.根来の体内向上プロジェクト

根来秀行教授

根来秀行教授

1967年生まれ。ハーバード大学医学部内科客員教授、パリ大学医学部客員教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界を股に掛け活躍する気鋭の医学博士。

 

いし めっきり秋めいてきましたね。
なんだか、急におなかがすいたりする、くいしんぼうライターのいしまるこです。
というわけで、今回は食欲に関係するホルモンについてうかがいますよ。

 

 

根来 食欲系のホルモンといえば、レプチンとグレリンです。

 

 

いし 童話に出てくる仲良しきょうだいみたいな名前ですね。

 

 

根来 レプチンは脂肪細胞から作り出される食欲抑制のホルモン。肥満遺伝子を研究する過程で見つかりました。一方、グレリンは食欲増進のホルモン。胃から分泌され、胃酸の分泌も促します。

 

 

いし ということは、レプチンが増えてグレリンが減ったらいいんですね!

 

 

根来 ノーノー。それは短絡的です。お年寄りがやたらと肉食に走ったり、
暴飲暴食する背景には、レプチンが下がりっぱなしの状態で、満腹中枢と空腹中枢が機能していない状態が想定されます。

 

 

いし へぇ〜。最近、肉食ブームでお年寄りでも肉食がもてはやされる傾向にありますけど、肉食=長寿の秘訣とは限らないんですね。

 

 

根来 何かに偏るのではなく、バランスのいい食事を三食きちんと食べて、量を控えめにするほうが、レプチンの分泌を正しく保つことにつながります。
また、ストレスが増えるとレプチンが下がって、食欲が抑えにくくなるので、ストレスを軽減することも大切です。

 

 

いし ストレスが多いと、ドカ食いしちゃったりしますもんね。

 

 

根来 そういう時はレプチンが下がってるんですよ。夕食を抜いてグレリンが出ているのに空腹のまま寝ると、ストレスでコルチゾールが出て、結局、深夜にドカ食いしたり、負の循環に陥りやすいのでご用心。

 

 

いし ドキッ。

 

 

根来 あと、お菓子などの間食をすると、摂食中枢の働きが乱れて、レプチンの分泌も乱れやすくなります。

 

 

いし おやつは3時頃が太りにくいんですよね。第13回アンチエイジングホルモン講座で学びました!

 

Dr.negoro_0201-01web

 

根来 食欲増進と言うと敵視されがちなグレリンですが、成長ホルモンを促す働きもあるんです。
過食になるとレプチンが増加し、お腹が減ったらグレリンが増加する。
これが本来の機能であり、二つのホルモンがバランスよく働くことが大切です。

 

 

いし なるほど〜。

 

 

根来 そこで心掛けたいのは、30回かんで食べること。

 

 

いし 出た! 30回噛み!
第9回アンチエイジングホルモン講座で長寿遺伝子をONにするコツとして教わって以来、心掛けておりますよ。

 

 

根来 エライですね。その積み重ねが大切ですよ。
レプチンの分泌速度は遅いので、早食いするとつい食べ過ぎしまうのです。
早食いと過食がセットになると、レプチンがまともに分泌されないうちに血糖値が上がり、このような状態が続くと糖尿病につながることも。

 

 

いし 「よく嚙んでゆっくり食べなさい」って学校の先生や親に言われたけど、
消化促進だけでなく、ホルモン分泌も促されるというWメリットがあったんですね。

 

 

根来 そう、理にかなってるんですよ。ちなみに、30回嚙むように心掛けると、1回の食事時間は大体30分くらいかかります。

 

 

いし 30分切ってるかも。まだまだ早いなあ。

 

 

根来 夜はグレリンが分泌されやすく、体自体が蓄える方向にシフトするので、夕食は特によくかんで時間をかけて食べてくださいね。

 

 

いし 合点です! それっ、もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ………。

 

 

 

 

<次回は「老化を加速するインスリンをコントロールする方法は?」です。お楽しみに……>

 

 

 

 

根来 それではみなさん、今日も素敵な1日を!

 

 Dr.根来_goodday

 

 

 

 

取材・文/石丸久美子 撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン

 

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