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コロナ禍の夏in NY、外食とレジャーの新提案

杉本佳子

杉本佳子

杉本佳子
ファッションジャーナリスト兼美容食研究家
1988年よりニューヨーク在住。1989年よりファッションジャーナリストとしてファッション、ファッションビジネス、小売りビジネスについて執筆。2013年より美容食研究家としても活動し始め、ブログ「YOSHIKOlicious Beauty」とインスタグラムを通じて、美肌効果の高い食材をなるべく使い、美味しくて見た目がお洒落な料理紹介している。見た目がきれいだと気分が上がり、食べて美味しいので嬉しくなり、美容と健康にいいのでさらにハッピーになる「3回ハッピーになる料理」がモットー。ファーマーズマーケットなどで買う生命力のあるオーガニックの食材をなるべく使う。食材の意外な組み合わせでも定評がある。

連載「負けない、メゲない。60代「NYでパートナー探し」の道」の関連トピックに特化した発信をThreadsでやっています。興味をもっていただける方は、是非フォローしてくださいね!

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慎重に活動再開中のNY、夏のお楽しみはオープンエアで

 

気がつけばもう8月下旬! よく働きよく遊ぶニューヨーカーは、普段なら休暇をとって国内や海外のあちこちで、羽を伸ばして楽しんでいたころです。でも、今年のニューヨークは、世界の他の大都市と同じく、いえ、それ以上に厳しい感染防止対策のため、いつものようにはいかない夏を過ごしています。
この春、全米でコロナ感染者数が最も多くなったニューヨークですが、陽性率は8月20日まで14日連続で1%以下を維持し、全米で最も陽性率が低い州になっています。でもそれは、ニューヨークが経済活動再開に非常に慎重で、規則に違反した事業者に厳しい罰則を科し、同時に広範囲なウイルス検査を実施しているから。ニューヨーク州では5月から誰でも無料でPCR検査が受けられるようになり、最近は検査場も充実。毎日数万件単位で検査が実施され、20日は1日で98880人、つまり約10万人が検査を受けました。これまでの検査数は累計700万件以上に及びます。

 

そんな中で迎えた夏休みシーズン。レジャーを楽しみたい時期ですが、高齢者や持病のある人たち、あるいは免疫障害をもつ家族がいる人たちは引き続き、同居している家族以外と会っていないくらい慎重です。3月半ば以降からいまだに地下鉄に乗っていない人たちも多く、ターミナル駅でもラッシュアワー以外は人通りが少ない状況です。一方、そこまで気にしない人たちは、様子をみながら少しずつ行動範囲を広げています。
別荘や車をもっている人たちは、高級別荘地のハンプトンズ、あるいはマンハッタンから北に車で2時間程行った大自然の中で気分転換するようです。サーフィンをする人たちには、近くのロッカウエイビーチが人気。テレワークで時間の融通がきくようになった人たちが繰り出すので、平日の昼間は以前より人が多いと、サーフィン好きの友人から聞きました。

 

別荘や車を持たない一般のニューヨーカーたちの行動はさまざまです。セントラルパークでジョギングやサイクリング、ピクニックをする人は多いですが、人出の多い週末は避けた方がいいと思う人もいます。一方で「家の中だけ」で食べていた時期が長かったので、久しぶりに会う友人との外食は、ちょっとした気分転換になります。

 

とはいえニューヨーク市では3月半ばのロックダウン以来、レストランはいまだに屋内での飲食が認められていません。他州での感染者急増の主な原因がレストランやバーでの屋内の飲食とされているからです。日本のように「自粛をお願いし、協力金を払う」「営業時間を短縮してもらう」などということはありません。レストランへの直接の救済策は、路上に飲食できる特設スペースをもつことを許可する程度です。
それで、路上での臨時アウトドアダイニングが一挙に増えました。とはいえ、狭い路上にお店を出すので、すぐわきを車が通ることも多く、ちょっと落ちつきません。実際に車があやまってアウトドアダイニング席に突っ込む事故も起きています。

 

車通りの多い道に張り出した屋外席。前の路上に席を出せない店も多いので、3月半ば以降ずっとお持ち帰りと宅配だけで凌いだり、残念ながら閉店したレストランも

 

そうした中で、車を気にしないでちょっぴり非日常を味わえるアウトドアダイニングも出てきました。特に、ニューヨークの名所を生かしたセッティングのところが目を引きます。例えば、世界的に有名なロックフェラーセンターのスケートリンク!  今はそこに、テーブルと椅子が置かれて、ダイニングスペースになっています。フードとドリンクはロックフェラーセンターの65階にある高級レストランのレインボールーム、そしてアリドロというイタリアンのサンドイッチ屋さんのメニューから選びます。通常なら界隈には観光客が群がっていますが、今は観光客がいません。周辺の店も閑古鳥ですが、ソーシャルディスタンスを取るためにはちょうどいい感じです。

 

白いパラソルが涼やか。少し暑いせいもあって、日の高い間は空いています

ブルックリンの人気エリアはNY感いっぱいの特等席に

ブルックリンの人気エリア、ダンボにも、いつも観光客で大賑わいのストリートがあります。普段ならマンハッタンブリッジを背景に写真を撮る観光客が絶えることがない、ワシントンストリートのフロントストリートとウォーターストリートの間です。今は車が通行止めになり、テーブルと椅子が距離を保って配置されています。車を入れないなんて、今までなかったことです! フォトジェニックな橋を眺めながらのんびりできるのも、観光客のいない今ならでは。

橋ビューがステキ! ホットなエリアながら穏やかでローカルな空気を味わえるのも貴重

 

ダンボには、著名なタウン誌のタイムアウト編集部が厳選したレストランを集積した人気のフードコート、タイムアウトマーケットがあります。このビルは随所にNYの今を楽しめる仕掛けが。まずは、ビルの5階にあるルーフトップ。お天気のいい週末でもあまり混んでいませんし、イーストリバー、マンハッタンブリッジ、ブルックリンブリッジが眺められ、清々しい気分になれます。

広い空、イーストリバー、そして二つの橋。ここに立つだけで、すがすがしい気持ちになります
昨年オープンして大人気だった1階のフードコート。人ごみの中で並ばないと買えない状況でしたが、今は週末でも楽々にお買い物できています。並ばずに買えるのは有難いですね

ニューヨークのいろいろなジャンルから選りすぐった人気レストランがならぶ、タイムアウト・マーケットのフードコート
ここで買ったものはタイムアウトマーケットの外席でも食べられますし、イーストリバー沿いの芝生の上でピクニックしながら食べることもできます。ここも、車を心配しないで食べられる点が安心です。
外席も車道に面していないので、リラックスした雰囲気。植込みの緑にも心なごみます

 

レストランだけでなく、レジャーの提案も。イーストリバー沿いを南下してブルックリンブリッジパークまで来たところには、8月12日にカヤック乗り場がオープンしました。これがなんと無料! 事前予約が必要ですが、水曜日と土曜日にオープンしています。1回30分。10月13日まで続けるそうです。摩天楼をバックにカヤック、しかも無料とは、コロナと自宅待機に耐えてきたニューヨーカーたちへのちょっとしたご褒美のようで有難いです。
ワイルドな土地に出かけてのレジャーが難しいこの時期、わずかな自然でも生かす試みは、新鮮で心躍ります

 

屋上でピクニック! 橋ビューも大画面もあり、寄付も兼ねた特設サイト

マンハッタンに戻って、ダウンタウンのウォーターフロント、サウスストリートシーポートのピア17の屋上には、8月1日に「ザ・グリーンズ」がオープンして話題を呼んでいます。人工芝の上でソーシャルディスタンスを保ちながら、お洒落にピクニックを楽しめるスペースです。普通の公園の場合、「ここに敷物しいてピクニックしたいけど、ひょっとしてワンちゃんがおしっこした場所だったら?」などと気にする人がいると思いますが、ここならその心配も無用。
雨が降らなければ午前11時から午後11時まで、10月半ばまで営業しています。夜になるとブルックリンブリッジのライトアップも楽しめます。大きなスクリーンでスポーツ試合や映画を観れたら、それも一興でしょう。
約4・2平方メートル四方のスペースが28ヶ所あります。それぞれ飲み物を冷やすクーラーと充電装置がつき、最高8人まで入れるとのこと。1枠につき1ドル59セントがチャージされますが、これはホームレス支援団体のバワリーミッションに寄付されます。

オンラインで予約しますが、飛び入りでも空いていれば入れます。オーダーはQRコードをスキャンして行うタッチレス。芝生内にいる時はマスクを外してもよく、ハンドサニタイザーが随所に置かれています。人が触るところは1時間ごとに消毒しているとか。広報担当者によると、トマト、ストロベリー、キュウリとフェタチーズ入りのサラダとピタパンのセット、ロブスターロール、チーズバーガーや、ハラペーニョとスイカのフローズンマルガリータなどの人気が高いそうです。

ビーチのようなしつらえが楽しい、屋上ピクニックサイト。
Relevent on behalf of The Howard Hughes Corporation
つかの間のNYヴァーチャル観光、楽しんでいただけましたでしょうか?
アウトドアダイニングの許可は当初10月末までとされていましたが、その後、期限は撤廃され、来年も継続されることになりました。寒くなるまでに安心して室内で飲食できるようになってほしいと思いますが、寒くなっても室内での飲食が許可されなかったら、また新しいアウトドアダイニングのアイデアが出てくるに違いありません。そんなたくましさもNYならでは。個人的には「かまくらにこたつなんていいかも」などと思っています。

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