お金に不安を抱くのは、“自分のお金”を正しく把握できていないから。「きちんと整理し、管理できれば、漠然とした不安は解消されるはず。その第一歩は、お金を4つのお財布に分けること」とファイナンシャルプランナーの山中伸枝さん。その心は!?
教えてくれた人
山中伸枝さん
Nobue Yamanaka
ファイナンシャルプランナー。FP相談ねっと代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事。わかりやすい説明で、個人相談のほか講演会やメディアでも活躍。『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)『「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)など著書多数
お金を“見える化”すれば課題&対策がわかります
老後資金の基本となる年金対策の次に行うべきは、“今あるお金”の管理。
「何から手をつけていいかわからないという人は、使い道や使う時期などに合わせて、『使うお金』『貯めるお金』『増やすお金』『守るお金』という4つのお財布に分けてみましょう。
お金を“見える化”することで、自分の課題や問題がはっきりし、やるべきことが見えてきますよ」
まず、給与から「使うお金」を除き、残金をほかの3つのお財布に振り分けます。残金に余裕があるなら「貯めるお金」と「増やすお金」に回す分を増やし、足りなければ「使うお金」や「守るお金」を見直すとともに、「貯めるお金」と「増やすお金」の設定額に無理がないかを検証。全体的に赤字なら、収入を増やすことも考えましょう。
「注意したいのは『増やすお金』の設定額です。『老後資金は一人2000万円』などを鵜呑み(うのみ)にせず、自分の場合はどうかを考えること。将来の年金額と月々の支出予想がつけば、試算できます。
そもそも収入の範囲内で生活できれば破綻することはないのですから、やみくもに設定額を高くする必要はありません。こんなふうに具体的に考えていけば、漠然と抱いていたお金の不安も、きっと解消されますよ」
●4つのお財布とは?
今あるお金を目的や使う時期に応じて4つに分ける考え方。実はこの4つは金融商品別に分類しています。金融商品=お財布だと考えれば、マネー原始人でも取りかかりやすい!
使うお金
毎月必ず発生する費用のためのお財布。日常的な支出なので、出し入れしやすい普通預金口座で管理するのがおすすめ。給与振込口座をそのまま利用してもOK。この口座には、失業や収入減といったリスクに備え、生活費の3カ月分をつねにプールしておくと安心。
貯めるお金
リフォームや家族旅行、子どもの教育費や結婚資金といった5~10年以内に使う予定のあるお金はこちらにイン。絶対に減らせないお金でもあるので、元本割れのリスクがない安全な金融商品に預けるのが基本。ネット銀行の定期預金や個人向け国債などを選んで。
増やすお金
10年以上先に必要となるお金は、「増やすお金」として管理。その代表格が老後資金。とはいえ、超低金利時代の今、預けるだけでは増える可能性はほぼゼロ。ゴールまで10年以上あるので、時間を味方につけ、投資信託など運用商品を利用して効率よく増やしたい。
守るお金
病気やケガによる入院や手術、働けなくなったときや亡くなったときなど、万が一の保障に備えるお金。利用する金融商品は、ズバリ保険! ただし、むやみに保険に加入するのは危険。めったに起こらないけれど、起きた際の金銭的損失が大きいものに絞って加入を。
イラスト/サンダースタジオ 取材・原文/村上早苗