タンパク質って何ですか?
ところで、タンパク質のことをどこまでわかっていますか? 意外にきちんと把握していないものです。ここで、タンパク質に関する基礎知識を、もう一度おさらいしましょう!
今回は、「4.タンパク質源を評価する、アミノ酸スコアとは?」についてです。
本多京子さん
医学博士・管理栄養士。NPO日本食育協会理事。
日本体育大学児童スポーツ教育学部で「子供の食と栄養」を担当。
テレビや雑誌などで健康と栄養に関するアドバイスを行う。
著書は60冊以上
タンパク質の重要性を
理解できていない人が多い!
炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの5つが「5大栄養素」と呼ばれています。
「その中でタンパク質は、皮膚、筋肉、髪、爪、臓器、骨など、体すべての構成成分で、血液やホルモン、免疫物質などの原料としても使われています。私たちの生命維持に欠かせない、主役的な栄養素なのです」(本多さん)
日本は今や、世界中のおいしいものが、いつでも食べられる飽食の国。それなのに、日本人の栄養状態は決してよくありません。なんと、戦後の食糧難の時代よりも、総摂取カロリーは減っているそう。
「特に一人暮らしの20代女性と75歳以上の男性のタンパク質不足が心配です。この世代はちょうど、アワエイジ世代の子どもや親の世代に当たります。50歳前後の女性は比較的足りている人も多いのですが、子どもや親の健康管理のため、自分の将来のためにも、ここで正しい知識を身につけてほしいと思います」(本多さん)
4.タンパク質源を評価するアミノ酸スコアとは?
タンパク質は肉、魚、卵、大豆、牛乳やチーズなどの乳製品、さらに穀類や野菜にも含まれています。タンパク質はさまざまなアミノ酸で構成されていて、食材によって含まれる種類や量が異なります。その質を判定するのが「アミノ酸スコア」です。
現在は、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同で発表した数値が、一般的に使われています。数値が100に近いほど、質のいいタンパク質。下記の豚肉、卵、アジ、牛乳は、必須アミノ酸が100を超えているので、数値が100です。
国産大豆は一部不足があり、スコアは86(1985年版では100に改定)、白米は65、小麦粉は44、ほうれん草は50などとなっています。特に、肉(豚、牛、鶏)、魚、卵、牛乳、大豆製品の5品目が、代表的な優良タンパク質といえます。
基準となる必須アミノ酸の必要量を100として、充足率(%)を計算。数値は1日に必要な量㎎/窒素1gあたり。
*資料/『図解でわかる! からだにいい食事と栄養の教科書』(永岡書店)*グラフは1973年FAO/WHOパターンより作成。
含硫アミノ酸はメチオニンとシスチン、芳香族アミノ酸はフェニルアラニンとチロシンを指します。( )内は1985年FAO/WHO/UNUパターン(2~5歳)のアミノ酸スコア
食品別のアミノ酸スコアは次ページに。
■アミノ酸スコア■
次回は、体内で合成できない、9種類の重要な必須アミノ酸についてご紹介します。
図表製作/ビーワークス 取材・原文/山村浩子 監修/本多京子