テニスプレイヤー・伊達公子さんに引退後の体調管理、日々のセルフケアについて伺いました。
スキンケアするのと同じように体のコンディショニングを
「今、テニスは週1回だけ。でもそれは完全に“遊び”ですよ!」
くしゃっと笑う目元のシワまでチャーミングな伊達公子さん。現役を引退して丸4年、以前と変わらぬ引き締まったスタイル、51歳とは思えない肌ツヤ、しっかり努力して保っていそうですね?
「はっきり言って美容にはうといです。遅く帰っても酔っぱらっていても(笑)、必ずお風呂に入ってスキンケアして寝るくらいかな。その分、体のケアに時間をかけているかもしれません」
20年前、アキレス腱を断裂して以来、ローリング治療(筋肉のしこりやうっ血をローラーでほぐす治療法)に隔週で通い、週に1回はマッサージにも。現役時代に2度も手術した膝は、現在でも無理をすれば硬くなって痛みが出がち。それでもテニスにランニングに登山に…と、つねに何かしら運動を続けています。
「やりたい気持ちとやれる体、そこにずれは出てきています。その調整に、週に2回は『R-body』という、痛みを改善したい人が行くコンディショニング施設にも通っています。コンディショニングというのは、ジムのように筋肉をつけるだけじゃなく、自分の体の機能や仕組みを理解したうえで、最大限に使えるようにするレッスンと言えばわかるかな。
それまでの表面的なトレーニングと違い、頭を使って機能を考えながら動くと、こんなに素直に体が反応するものなんだ! とわかってから、コンディショニングが楽しくなっちゃったんです」
痛みなく快適な毎日のために筋膜リリースは必要不可欠なもの
伊達公子さん
自宅では、日常的にどんな運動やケアをしていますか?
「自宅はひと部屋をトレーニングルームにしていますが、毎日なんか全然やらないですね。体が硬いので、ストレッチも好きじゃない。でも、疲れているときなどはストレッチを10分か15分やるだけで完全に体が変わるので、やらないわけにいかない感じ。動き出す前は必ずストレッチ用の長いフォームローラーを使います。必ず、というのはそれが自分のバロメーターだから。
上に乗って、体のどこが張っているのかな、痛みはないかなと確認する作業でもあります。そして症状に合わせて、短いフォームローラーやソフトボールなどを使って筋肉をほぐしたり、筋膜リリースをするのが習慣になっています。
フォームローラーは現役の頃、20年ほど前に初めて使った記憶がありますが、それ以来の長いおつき合い。コロコロしてからウォーミングアップしたほうが時間短縮になるし、ただストレッチするよりも疲労も早く回復するんですよ。
私の場合、メンテナンスに行くのは治療家のところ。セルフでやる筋膜リリースなどは大きな痛みを出さないための予防、コンディショニングの一環ですね」
このところ痛みがよく出るのはお尻の奥。臀筋の奥に、筋肉がしこりのように硬くなっている部分があります。どうしても自分の弱いところをかばって、強いところを使いすぎてしまうためだそう。
伊達公子さん
Kimiko Date
1970年生まれ。テニスプレーヤー。世界ランキング自己最高は4位。’96年に引退後、11年半のブランクを経て2008年に現役復帰。’17年の引退後に早稲田大学大学院修士課程を修了。現在はジュニアの育成、テニス番組での解説など多方面で活躍中
※後編では、伊達公子さんが実際に使っている筋膜リリースの道具や、快適に過ごすための考え方などをご紹介します。
撮影/浅井佳代子 ヘア&メイク/小菅 孝(coque) スタイリスト/鈴木由里香 構成・原文/蓮見則子