【教えていただいた方】
1962年生まれ。アプロ主宰。指導歴40年。 “姿勢で人生を変える”をテーマに指導を行う。姿勢に関する分析をホリスティックに行う独自のメソッドは、多くのファッション誌・フィットネス情報誌で紹介されている。自分の姿勢の現在の状態を把握し、ウェルネスコンサルティングが受けられる「姿勢分析」メニューが人気。自身、還暦とは思えないウェルネスな姿勢美は、まさに日々のエクササイズの賜物。近年、スタジオワークのかたわら、後進の指導や著作活動、オンライングループレッスンやイベントを通して、多くの人たちにそのメソッドを発信中。著書に『テニスボールダイエット』(幻冬舎)、『自分で整体ストラップ』(講談社)、『テニスボールでほぐす!のばす!やせる!』(扶桑社)、『クッションピラティス 内ももを締めれば勝手にやせる!』(幻冬舎)など。
「りきみ筋」と「さぼり筋」のバランスを整えることが
理想的なボディラインをつくるために不可欠
「ボディを引き締めようと、自己流で筋トレをしている人も多いと思うけれど、まずはその前に筋肉のバランスを整えることが大事なんです」と話すのは、パーソナルトレーナーのKAORUさん。
「肩や背中の筋肉にしても、脚の筋肉にしても、前だけでなく後ろにも横にも動きます。でも人間は、自分の視界の範囲で動くので、体の前側ばかりを使いがちです。
例えば、歩くときも前に向かって効率よく歩こうとするあまり、すねや足首や前ももの筋肉ばかり使うため、足裏からふくらはぎ、裏ももなどの筋肉は使われず、サボっていて衰えています。
このように使いすぎている筋肉をりきみ筋、使われずにサボっている筋肉をさぼり筋と名づけたいと思います。
りきみ筋は常に酷使されていて硬くなっているので、まずはそれを緩めることが大切です。りきみ筋のような硬く固まっている筋肉があると、ほかの筋肉の動きを邪魔してしまうので、そのまま筋トレをしても鍛えるべきさぼり筋を刺激しにくいからです。
そこで私が考案したのが、「ほぐす」「伸ばす」「強化する」の3ステップで行う“KAORU式ゆる筋トレ”です。
最初にりきみ筋をフォームローラーなどでほぐしてから、次に、りきみ筋をストレッチして伸ばします。そして最後に、さぼり筋を鍛える筋トレをするので、効果的に筋肉のアンバランスが解消します。それにより姿勢が整って、気になるパーツの贅肉も落ち、理想的なボディラインになるのです」
以下のイラストで示したのが、全身のおもなりきみ筋とさぼり筋です。
まずは硬くなっている足裏をほぐすことが、筋肉のバランスを整える基本
今後、気になるパーツごとに、りきみ筋とさぼり筋にアプローチして筋肉バランスを整える“KAORU式ゆる筋トレ”をご紹介していきますが、きっちり効果を出すために、最初にまずやっておくといいのが「足裏ほぐし」なのだとか。
「歩くときは足の親指で蹴り出して歩くのが正しいのですが、ほとんどの人がこれができておらず、足首を使ってベタベタ歩いている人が多いです。
そのため、足の裏の筋肉が使われずにサボっていて硬くなっています。
足の裏が硬いと足に重りがついているような状態になって重心が下がるため、肩を上げてバランスをとるようになります。
すると腰を反って体を支えるようになるので、腹筋の力が抜けて体幹がスカスカになります。これが姿勢や体型のくずれだけでなく、肩こりや腰痛などの原因にもなります。
ですから、まずは足裏をほぐして柔軟にすることが大切。
以下のボールを使った方法で、足裏をほぐしましょう」
足裏ほぐし
① 両足をそろえて立ち、左足の指をギュッと曲げたときにくぼむあたりにボールを当てます。ボールはテニスボールなどでOK。足指で「グー」をするイメージでギュッと指を曲げます。
② 次に、足指を「パー」にするイメージで5本の指をなるべく開きます。
③ 次に右足を1歩後ろに引き、左の足指でボールをつかむようにします。
④ ボールをそのままかかとまで転がしていきます。足裏をまんべんなくほぐすイメージでボールを転がしましょう。この③④を3回。終わったら右足でも同様に行いましょう。
すべてのストレッチ前に、またはストレッチをしなくても、毎日この足裏ほぐしを行って、足裏を柔らかくすることが、体を整える基本になります。
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/田代ゆかり(Happ’s) イラスト/内藤しなこ 取材・文/和田美穂