タンパク質は「1日にどれくらいとればいいの?」、「効果が高まる栄養素の組み合わせは?」。タンパク質をきちんと体に働かせるための、正しいとり方を覚えておきましょう 。
今回の話を伺った先生
上西一弘さん
Kazuhiro Uenishi
女子栄養大学栄養学部教授。大学のゼミでは選手のパフォーマンスが上がり、勝てる体をつくるためのスポーツ栄養学を研究し、指導にあたる。著書に『新しいタンパク質の教科書 健康な心と体をつくる栄養の基本』(池田書店)など
一日にとるべき量は体重 × 1gが目安
「タンパク質は、基本的に、1日に体重(㎏)×1gを目安にとるのがおすすめ。体重50㎏の人なら1日50gです。これを朝、昼、晩に分けてとりましょう。
肉や魚、卵、乳製品などに含まれる動物性タンパク質と、大豆食品などに含まれる植物性タンパク質があり、タンパク質自体にはそれほど違いがありませんが、食材ごとにタンパク質以外の栄養素が異なるので、どちらもバランスよくとりましょう」
タンパク質50gというと、牛ステーキ1人前(120g)・鮭の塩焼き1切れ・卵1個・牛乳1杯・納豆1パックのすべてを合わせた程度の量。1日にこれくらいはとることを目指して。
栄養素の組み合わせ次第で体への効き方が高まる!
知っておきたいのが、タンパク質と一緒にとると効果が高まる栄養素。
「まず、タンパク質のエネルギー代謝に欠かせないのがビタミンB群。特にビタミンB6は筋肉を作るのに必要です。また、ビタミンDには、タンパク質を活性化する働きがあり、筋肉や骨を強くするのに不可欠。
そのほか、酵素の原料になり、タンパク質の合成にかかわる亜鉛や、アミノ酸から神経伝達物質を作る際に必要な鉄なども一緒にとると効果的です」
多く含まれる食品は下をチェック。
●ビタミンD
タンパク質とともに筋肉や骨を強化。サンマ、鮭、イワシのほか、きのこでは特にまいたけに多く、干ししいたけ、きくらげなどにも
●ビタミンB群
タンパク質の代謝をサポートするのがビタミンB群。糖質や脂質の代謝にもかかわります。カツオ、マグロ、鮭、豚肉、バナナなどに含まれます
●亜鉛
タンパク質の合成にかかわったり、タンパク質と一緒に酵素の原料になるのが亜鉛。カキ、チーズ、豚肉、牛肉、抹茶などに多く含まれています
●鉄
鉄は、アミノ酸から神経伝達物質を作るのに欠かせない栄養素。レバーやカキ、アサリ、カツオ、小松菜、ひじき、木綿豆腐などに多く含まれます
イラスト/二階堂ちはる 取材・原文/和田美穂