日本でも昔から経験的に語られてきた「食べ合わせ」。そこを突き詰めたのが、今、話題の「アダムスキー式腸活法」です。その内容とは?
消化の速さに着目した話題の食事術
イタリア在住のフランク・ラポルト=アダムスキーさんは世界的に著名な自然療法士。彼が長年の研究の末、行きついた腸活メソッドが今、話題になっています。そのポイントは「食べ合わせ」!
彼が徹底的に研究したのは、口から取り込んだ食べ物が消化管を下る速さ。速い食品を「ファスト」、遅い食品を「スロー」、その中間を「ニュートラル」に分け、それらをどう選べば、腸に負担がかからないかということです。
「消化力が高い」とは、消化管の縦の流れと横の流れ(吸収)が正常に働いている状態です。それを保つには、消化管をつねに食べ物で満杯にせず、隙間を作り、腸を詰まらせて腐敗を起こさせないことが重要だといいます。
著書である『腸がすべて』によると、それを実践するための大きなポイントは、ファスト食品(消化の速いもの)とスロー食品(消化の遅いもの)を同時にとらないことです。最初はちょっと戸惑いますが、コツをつかんで、できる範囲で実践してみて!
食材の消化スピードを知る
「アダムスキー式腸活法」では食品を消化の速さで、大きく3つのカテゴリーに分けています。
「ファスト食品」は胃と小腸までを30分で走り抜け、「スロー食品」は口から胃まで4~5時間、さらに小腸を通過するのに4~5時間かかります。
そのどちらにも当てはまらず、一緒に食べた食品の消化スピードを速めるのが「ニュートラル食品」です。
*消化の速さの時間は個人差などがあるので、あくまで目安です。
●3つの消化スピード
- ◆ファスト(消化の速い食品)
胃と小腸を通過するのに30分ほど - ◆スロー(消化の遅い食品)
胃と小腸を通過するのに8~10時間以上かかる - ◆ニュートラル(どちらでもない食品)
一緒に食べた食品の消化スピードを速める
ファスト食材
「消化の速い食品」の代表はフルーツ。アボカドなどの例外を除き、ドライフルーツもジャムも含めほぼすべて。そしてトマトや唐辛子やカレー粉などもこの仲間です。
- ●フルーツ全般(ココナッツとアボカド以外)
- ●フルーツ加工品(ドライフルーツ、ジャムなど)
- ●はちみつ、メープルシロップ、ヨーグルト、緑茶
- ●トマト、かぼちゃ、パプリカ、唐辛子(カレー粉、パプリカパウダーを含む)
スロー食材
「消化の遅い食品」はファスト以外の食品ほぼすべてと覚えると簡単。炭水化物(穀類)、肉、魚、乳製品、卵、豆類、野菜など、体の栄養成分が豊富な食品がほぼ該当します。
- ●野菜全般(玉ねぎとなすはニュートラル)
- ●穀類(米、パン、うどん、パスタ、ピザ、とうもろこし)
- ●芋類(こんにゃくも含む)
- ●タンパク質(肉、魚、卵、チーズ、豆腐、納豆、グルテンミート)
- ●ナッツ類
- ●海藻類
ニュートラル食材
ファスト、スローのどちらでもなく、どちらと組み合わせてもOK。調味料、ハーブやスパイス(唐辛子やカレー粉以外)、コーヒー、紅茶、酒類、一部の野菜など。
- ●油、酢(ワインビネガーも含む)
- ●にんにく、玉ねぎ、なす、エシャロット
- ●ハーブ、スパイス類(ケッパー、バジル、わさび、こしょう、マスタードなど。ただし、唐辛子、カレー粉、パプリカパウダーは除く)
- ●ワイン、ビール、コーヒー、紅茶、牛乳、砂糖
- ●ビターチョコレート(ミルクチョコレートは除く)
※次回は、ファストとスロー食材を同時に取らないほうがいい理由を解説します。
お話を伺ったのは
澤田幸男さん
Yukio Sawada
1957年生まれ。「澤田肝臓・消化器内科クリニック」院長。医学博士。専門は消化器内科。アダムスキー式腸活法を提唱する『腸がすべて』(東洋経済新報社)の監修を担当。神矢丈児氏との共著『腸が寿命を決める』(集英社新書)も
イラスト/木下綾乃 構成・原文/山村浩子