Q. 40代後半からお腹が張ったり、おならが多くなった気がします。更年期になるとおならは増えるの?
A. 更年期世代でおならに変化を感じる人は多いです
40代後半ぐらいからお腹の不調を訴える人は治療現場でも多いと感じています。おならの原因はひとつではありませんが、年齢とともに、悪玉菌と呼ばれる腸内細菌叢(そう)が増えます。だんだん肌や骨が衰えるように、胃腸の消化機能や腸内環境も変化するのです。
また、更年期は女性ホルモンの低下からさまざまな症状が出て、自律神経にも影響を与えます。腸の働きは自律神経が深く関与していて、ストレスを感じるとお腹の調子が悪くなることにも影響しています。腸と脳は関係性が深く、互いに影響を及ぼすために「脳腸相関」「腸脳相関」と呼ばれています。脳でストレスを感じると腸が反応、おならも変化すると考えられます。
Q. 生理前になるとお腹が張ったりおならがよく出るのはなぜ?
A. プロゲステロンの影響で誰もがおならが出やすくなります
排卵から生理前には、プロゲステロン(黄体ホルモン)が増加します。この時期は、体は水分をためようとするためむくみやすくなります。また、腸管は子宮の近くにあるため、その影響を受けて、腸のぜん動運動が鈍くなり、便秘がちになります。便秘になれば、排出されにくい便のせいで悪玉菌が腸管で増加してガスも多くなり、においが強くなることも考えられます。
またこの時期は、交感神経が活発になることも便秘を誘発させます。いつも以上に食欲が増え、やたら甘いものが食べたくなったり。個人差がありますが、これも交感神経の影響です。さらにPMS(月経前症候群)でストレスも感じやすくなり、おならが出やすい条件が重なってしまうのです。
教えていただいたのは
東京大学医学部附属病院、慈恵医大病院内視鏡科、聖路加国際病院予防医療センターなどを経て「ちほ内科クリニック」を東京・西国分寺にて開業。地元に根づいた治療で人気。言いにくい悩みにも優しく寄り添う
構成・原文/伊藤まなび