初潮を迎えたら必ずこれも来るー「閉経」。
かつては「女が終わる」「アガリ」などと、ひどい言葉で言われたりもしていました。けれど人生100年時代、私たちは閉経後も、健やかで美しい人生を歩みたい。
そのためにも閉経についてもっと知り、そのときのための対策を考えてみませんか?
未来をよりポジティブに過ごすために、あなたに必要なのは、恐れより、ここにある「知識と経験」です。
今回からスタートの連載、「『閉経』の不安と疑問」 をぜひお役立てください。
まずは、閉経Before→After、お二人にお話をお伺いしました。
閉経Before→Afterで知っておくべきこと
閉経前・閉経後の体には、どんなことが起こるのでしょう?
ハードな更年期を経験した作家の佐々涼子さんと横森理香さん。症状や病院での治療、そして気持ちの変化などについて、詳しく伺いました。
今回は、燃え尽き症候群のようになり、体が悲鳴を上げていることに気づかなかったという、佐々涼子さんのお話です。
佐々涼子さん Ryoko Sasa
閉経Before→After
子宮筋腫と卵巣囊腫で
3人の医師をはしごしました
婦人科系の不調を初めて意識したの は2015年。人間ドックで重度の貧血を指摘され、婦人科検診をすすめら れたのがきっかけです。当時は、10 年 間闘病生活を送っていた母が逝き、長らく取り組んでいた本が書き上がるなど、燃え尽き症候群のようになっていた時期。息苦しさや動悸、睡眠障害に加え、夜用ナプキンを2枚重ねても不安なくらいの過多月経もありました。
婦人科での検査の結果、子宮筋腫と右の卵巣囊腫が見つかりました。筋腫 は以前にも指摘されていましたが、卵巣囊腫は初めて。驚きつつも医師のアドバイスに従い、卵巣の中の悪い部分だけを取ることに決めたのです。
とはいえ、そもそも私は貧血の治療で病院に行ったのに、医師は「卵巣囊 腫の手術を」と言うばかりで血液検査 もしてくれない。手術を控えて入院した日に、念のため申し出て検査を受けたところ、「貧血がひどいので手術はできません」との診断が。呆然としました。強制退院で帰宅した私を見て、息子が驚いていましたね(笑)。
次にかかったのは、知人に推薦された婦人科医。彼の診断は「子宮は残して左右の卵巣を取りましょう。生理がなくなれば貧血も治まる」というもの でした。でも無理に閉経させたら、更年期症状が心配です。そこで「健康な 卵巣は残して、自然に閉経を待つのはどうですか?」と尋ねると、「別の医師にどうぞ」と紹介状を書かれてしま いました。
体が悲鳴を上げていることに
気づかなかった
3番目に訪ねた医師は、ロマンスグ レーのジェントルマン。彼の診断は 「右の卵巣と子宮を取りましょう」 いうものでした。子宮は残したかったので、考えた末に右の卵巣だけを取ることに。 16 年の 12 月に手術を受け、ようやく卵巣囊腫の問題は解決しました。
ところが大変だったのはその後です。手術の2~3カ月後から、なぜか大量 に出血をするようになって。ずっと生 理が終わらない状態で、卵大のレバー 状のかたまりも出る。シャワーを浴びているとそれで排水口が詰まり、まる でホラー映画を観ているようでした。
ホルモン剤を飲めば少しはマシになるのですが、もともとホルモン剤が合 わない体質なので体調は悪いまま。このとき初めて、自分の体や女性性を顧みず、目先の仕事にとらわれてきたことを反省しました。体が変わっていく時期に差しかかって、悲鳴を上げていることに気づかなかったんですね。
不思議なもので、そうやって閉経前の体の変化を受け入れ、「これからはもっと自分をいたわろう」と決めた途 端に体調が改善。毎月の生理も普通にくるようになりました。女性の体の神秘性を、今しみじみと感じています。
次回は、更年期症状により何をしてもつらかったという、 横森理香さんのお話をご紹介します。
撮影/フルフォード海 取材・原文/上田恵子