更年期に詳しい名婦人科医が明かす!
乾かない女になるふたつの条件
若い頃よりも気になるようになった「乾き」。根本的な原因はもしや老化ですか? ホルモン不足ですか?
女性の体に詳しい婦人科医の小山嵩夫先生に、乾かない女になる方法をお聞きしました。2回に分けてお届けします。
今回はまず、乾かない女になるためのふたつの条件をご紹介します。
「乾き」は老化のサイン。
更年期症状のひとつです!
「女性の45〜55歳は『更年期』にあたります。更年期は、女性ホルモンが急激に低下していくため、体中にさまざまな乾きを感じるのは当然のこと。そう、乾きはまさに更年期症状のひとつ。まずはそれを知ることですね」
と、涼しげな表情で語るのは、更年期医療に詳しい小山嵩夫先生。
「女性ホルモン(エストロゲン)の役目は多々ありますが、肌の潤い、髪のツヤなど、水分保持にかかわる働きが大きいもの。そのホルモンがなくなるのですから、全身に乾きの症状が及びます。目・口(鼻やのどを含む)・皮膚・髪、さらには膣や尿道もです。
例えば尿道は、乾燥すると炎症が起きやすく、尿意を感じやすいものですが、膀胱炎と思い泌尿器科を受診する人が多いんです。でもよく考えて。目は眼科、肌は皮膚科、のどの乾きをのどのつかえと感じて耳鼻科、さらに泌尿器科まで受診することになったら、面倒でしょう? その原因がすべて女性ホルモンの低下によるものだと知っていたら、更年期に詳しい婦人科にかかるだけですむわけです。
直接女性ホルモン量を増やすことができるのはHRT(ホルモン補充療法)。これによって乾きの症状は劇的に改善されます」
HRTによって細胞内の水分量がアップすることは、小山先生の臨床データでも明らかに! さらに小山先生のクリニックでは、更年期の症状改善にはHRTと漢方薬を併用し、コンディションを整えることが多いそうです。
とはいえ、乾きの根本原因は女性ホルモンの低下だけではありません。薬剤の長期間服用、栄養不足、運動不足、喫煙、不眠などのよくない生活習慣も原因に。
「結局、それは老化を進ませるということ。特に栄養状態と運動は老化と大きなかかわりを持っていますね。運動もせず、ろくな物を食べていない人は、乾くのはもちろん、骨も筋肉も血管も老化が早い。でも、40代、50代ならまだ大丈夫。きちんと栄養をとって運動をすれば、3〜4カ月で組織はきちんと生まれ変わります。動脈硬化した血管さえも入れ替わるんですから、水分保持のできなくなっていた肌や髪、その他の器官も再生します。
ウォーキング程度でもよいので、運動もしなければダメですよ。生活習慣を改善することがどれだけ大事かということです」
「栄養」や「運動」は、「女性ホルモン」とともに、乾かない女になるキーワード。たかが食事、たかがウォーキング、と見くびってはいけません。食事だけでは自信がない人、栄養吸収率が悪い人はサプリメントも上手に利用しましょう。
乾かない女になる条件❶
【女性ホルモンの量をアップする】
上のグラフからわかるように、女性ホルモンの分泌量は「思春期」にはぐんぐん増え、「更年期」は急降下します。女性ホルモンが減るのは卵巣の機能の老化によるものです。「乾き」が更年期症状のひとつであるのなら、女性ホルモンの量を増やせばよいわけですが、残念ながら物理的に卵巣の老化を止めることはできません。
そこで、HRT(ホルモン補充療法)によって、直接女性ホルモン量をほんの少し増やす方法があります。また、ワクワクドキドキが多い毎日を送ることは、女性ホルモン分泌を増やすと、多くの先輩女性が語っています。
乾かない女になる条件❷
【老化を進ませない生活習慣】
栄養状態、運動、喫煙しない、質のよい睡眠など、生活習慣を改善することで、乾かない体に近づけます。また、健康に大きくかかわるとされるストレスは、まったくないことがよいわけではなく、適度にあってよいもの。
「アンチエイジングを意識した生活習慣=乾かない生活習慣」といえます。
次回は、適度な運動や食事にプラスして、更年期女性の強い味方となってくれるHRTや漢方薬、サプリメントをご紹介します。
撮影/矢部ひとみ 構成・原文/蓮見則子