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更年期に入ったら、なぜか急にデリケートゾーン(フェムゾーン、女性器)がにおうように。原因・対策は?(51歳)【更年期のフェムゾーンの悩み】

始まりました!新連載。皆さんのデリケートゾーンに関するお悩み解決コーナーです。最近は「デリケートゾーン」に代わり、「フェムゾーン」というスマートな言葉が広まってきています。私たちもぜひ「フェムゾーン」と呼びましょう。質問に回答してくれるのは、清く正しく元気でポジティブな産婦人科医、八田真理子先生です。

「更年期のフェムゾーンの悩み」第1回目は、「におい」モンダイを取り上げます。

毎日清潔にしているつもりでも、なぜだかにおいが気になる人って多いもの。

特に40代以降、この悩みが多くなるのはなぜなんでしょう? 八田先生、教えて!

 

答えてくださった方

八田真理子
八田真理子さん
産婦人科専門医
公式サイトを見る

幅広い世代の女性の診療・カウンセリングを行う地域密着型クリニック「 聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田」院長。著書に『思春期女子のからだと心 Q&A 資料ダウンロード付き』(労働教育センター)、『産婦人科医が教える オトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)ほか。

 

 

♦更年期のアソコがにおうのには、こんな理由が…

 

においが気になってくるちゃんとした理由

更年期に入ると女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が減り、それに伴って腟の内部にある常在菌のパワーが落ちてきます。

 

そもそも腟の中では、「デ-デルライン桿菌(かんきん)」という乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)の細菌叢(そう)が腟内を酸性に保ってくれています。

酸性下では雑菌が繁殖することができないわけですね。

これを腟内の自浄作用といいますが、更年期にはこの働きが弱くなり、腟内がアルカリ性に傾いてしまう。

生理がきちんとある年代と違って、おりものも減り、乾燥しやすい状態に。尿や汗などが入ると、雑菌が増えてにおいが強くなってしまうのです。

 

個人差もありますが、更年期にはいろいろな体の変化が起きます。

「おりものが減ってカサカサだけど、さっぱりしたよー」という人もいれば、「乾燥してカユミや臭いが強くなっちゃった」という人、ナプキンによるこすれなどがつらく感じる人も増えてきます。

 

また、脇の下と同じく外陰部にはアポクリン腺という汗腺が多いのもにおいの原因に。

汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があるのをご存じですか?

エクリン腺は全身のほとんどに分布していて、そこから分泌される汗は無味無臭。一方、アポクリン腺のほうは特に脇の下や陰部に多い汗腺で、ここから出る汗はにおいの元になる成分を多く含んでいて、ちょっとツンとする臭いがします。

 

 

でも、アポクリン腺から出る汗の臭いは異性を引きつける性的な役目、フェロモンの役割を果たしている、立派な機能ともいえます。決して悪いことではないでしょう?

とはいえ、気になる人は、清潔を保つことと下着をマメに取り替えて。

 

♦ほかにもある、においの原因とは

 

このところ「フェムゾーンケア」(略して「フェムケア」といわれることも)の意識も高まり、ケア用品も急に増えてきました。

フェムゾーン専用のソープなどを使って外陰部を丁寧に洗うことがいちばんの対策です。マッサージオイルなどを使うのもいいことですね。

 

ほかには、きつい下着やガードル、おりものシート、尿もれシートの使いすぎに注意すること。

下着の汚れを気にしてシートを日常的につけていると、ムレやかぶれはもちろんにおいの元にもなります。

 

私は患者さんにも、「シートやパッドは、外出時だけ、どうしても心配なときだけにしましょうね」とアドバイスしています。

 

それよりも、まずは骨盤底筋トレーニング!

 

[骨盤底筋肉…骨盤の底にあり、骨盤内の臓器をハンモックのように支えている筋肉のこと。骨盤底筋は、子宮や膀胱などの臓器を正しい位置に保ち、尿道や肛門を締めて排泄をコントロールするなど、重要な役割を担っている筋肉]

 

トレーニングを続ければ、尿もれは必ず治ります。それにお薬もあります。

尿もれ、尿失禁というのはれっきとした病気なので、あきらめずに婦人科で相談してみてはいかがでしょう。

 

話をにおいのことに戻しますが、最近は、ボトックスでにおいを改善するなんていう改善法もあります。脇の下と同じくボトックス注射をしてアポクリン腺の働きを抑え、陰部臭を弱めるのです。そこまで気にする必要はないんじゃないかな、とは思いますけれど…。

 

なぜって、においというのはステキなこと。顔かたち、髪の色、肌の質感、目の大きさなどがそれぞれ違うようにその人の個性。もう少しポジティブに捉えてみませんか?

 

 

取材・文/蓮見則子 写真/山田真由美(イメージ) イラスト/内藤しなこ

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