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更年期を乗りきる「よい呼吸」とは? 自分の呼吸のクセを知り、空気を「吐ける」体に!

近年、呼吸と健康との関係が注目されています。体や心の不調は呼吸次第といわれているのをご存じですか? 呼吸コンサルタントかつアスレティックトレーナー、日本で唯一の「呼吸専門サロン」を主宰する大貫崇さんが、更年期の不調やちょっとした痛みなどを取り除く「きほんの呼吸」をわかりやすく教えてくださいます!

【教えていただいた方】

大貫崇
大貫崇さん
アスレティックトレーナー・呼吸コンサルタント
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1980年神奈川県生まれ。呼吸コンサルタント。アスレティックトレーナー。京都にある呼吸専門サロン「ぶりーずぷりーず」主宰。大阪大学大学院医学系研究科 健康スポーツ科学講座スポーツ医学教室 特任研究員。呼吸に関連した企業研究や商品開発など法人向け呼吸コンサルティング事業を展開し、アスリートから高齢者まで呼吸目線でのコンディショニングに従事。著書に『きほんの呼吸 横隔膜がきちんと動けば、ムダなく動ける体に変わる!』(東洋出版)など。

 

平均すると、1日に約2万回もしているといわれる呼吸。意識したことがない人が多いですよね。不調知らずの呼吸を目指すには、まず自分の呼吸がどうなっているのか、クセを観察することから始めます。大貫さんによれば、よい呼吸は「とにかくしっかり息を吐ききる」ことがポイントだそう。うーむ、それってどういうこと?

 

呼吸 きほんの呼吸 1-1 

さっそく自分の「呼吸」を観察してみよう

➊ 1分間の呼吸数は?

「吐いて吸う」を1回とカウントします。あなたの呼吸数は1分間に何回? 時計の秒針やスマホのタイマーなどを利用して数えてみましょう。誰にも邪魔されないところで、座るかあお向けに寝て、リラックスした状態で数えるのが理想です。

 

□ 9回未満

□ 10回〜14回

□ 15回〜19回

□ 20回以上

 

理想は何回? 呼吸数が表す意味とは?

■9回未満:優秀!ゆっくり呼吸ができています。呼吸数が少なく肺や横隔膜が静かにきちんと動いている状態です。心身をリラックスさせるのが上手ですね。

 

■10回〜14回:大人の呼吸数としては平均的なほうです。呼吸数はその時々で大きく変わるので、もう少しゆっくりとした呼吸もできそうですよ!

 

■15回〜19回:やや呼吸数が多めですが、まだなんとかOK。息を吐ききるのが苦手なのかもしれませんね。寝る前などの安静時に数が減っていれば大丈夫です。

 

■20回以上:呼吸数が多すぎるようです。何か不調を感じている人は呼吸が原因かもしれません。息を吸いすぎる傾向にあるので「息を吐く」ほうに意識を向けてみて。

 

大貫さんの呼吸レッスン。参加者たちが1分間の呼吸数を数えているところです。

 

 

➋ 自分の呼吸の傾向を知るチェック

もう一度、1分間程度、普通に呼吸してみてください。次のうち当てはまる項目はいくつありますか?

 

□息を吸うとき、肩が上がっている気がする

□鼻だけでなく口で息を吸っている気がする

□ゆっくり少しずつ息を吐くことができない

□ゆっくり息を吐くと、その反動で大きく吸ってしまう

□ゆっくり息を吐くと、苦しくなってしまう

□息を吸うと、お腹だけが前に膨らむ

□息を吸うと、胸だけが前に膨らむ

□息を吸うと、肋骨が浮く、盛り上がる

□呼吸している間、舌先は歯の隙間や下の歯についている

 

どうでしたか?

なんと!上の項目はどれも「よくない呼吸のクセ」です。当てはまる数が多い人ほど、呼吸を見直す必要があるといえます。何がよくないのか、どんな呼吸が「よい呼吸」なのか、じっくり学んでいきましょう。

 

そもそも呼吸って? 呼吸の“クセ”とはどういうこと?

 

「1日に約2万回、40年も50年も何気なく呼吸を続けていれば、人それぞれに“クセ”ができてしまいます。本来の呼吸は、何もクセのついていない赤ちゃんのときの呼吸。そこに立ち戻ることが健康に近づくことなんです」と言う大貫さん。

 

そもそも呼吸とは、単純に言えば肺に空気を入れて出すこと。でも、肺自体には筋肉がないため、自力で膨らんだりしぼんだりして空気の出し入れをすることができません。おもに横隔膜などまわりの筋肉が伸び縮みすることで動きます。

 

横隔膜は、その名称から薄っぺらい「膜」を想像しがちですが、れっきとした筋肉です。牛の横隔膜は「ハラミ」と呼ばれてホルモンに分類されているのに、見た目は赤身肉(つまり筋肉)ですよね? それが証拠です。

 

横隔膜はドーム状(弧状)なので、縮んで短くなったとき、下がります。すると肺は広がり空気が入ります。逆に、リラックスして伸び、上がったときに肺から空気が出ていきます。

 

本来あるべき、肺と横隔膜の関係を見てみると…

 

 

 

息を吸うとき:横隔膜は縮んで下がるので、肺が膨らみ空気が入っていきます。

息を吐くとき:横隔膜が伸びて上がるので、肺が縮んで空気が押し出されます。

 

赤ちゃんの頃は、誰しも横隔膜がリラックスし、自然に伸び縮みできているものです。でも、成長していく間に少しずつ動きのクセが蓄積し、横隔膜がうまく使えなくなってしまうことが多いのです。

 

「例えば、いちばん多いのは“吸いすぎ”の人。肺に空気がまだ残っている状態(横隔膜が下がったままの状態)で息を吸おうとすれば、無理に吸うことになり、肩が上がったり、腰が反ったり、はたまた口を開いて呼吸してしまいます。

本来、横隔膜が下がったままでは息を吸えないはずなのに、横隔膜の代わりに他の筋肉が無理やり働かされ、別の手段で呼吸ができてしまうのです」

 

「1日2万回、そんな間違った呼吸をずっと繰り返していれば、さまざまな筋肉に負担がかかり、しかもそれはクセとなり、姿勢や外見、メンタルの状態にも関わってきます。

肩が上がったままの人はいかり肩や首が短く、背中を使っている人は反り腰に、口を開きっぱなしの人は首が前に出てストレートネックになることは想像がつくでしょう?」

 

ようやく“呼吸のクセ”の中身がわかりましたね!

 

不調につながりやすい「吸いすぎ」さん

忘れてならないのは、呼吸は自律神経ととても深く関係していること。

自律神経は内臓の働きや血液の流れなど、生命維持のための機能を司る神経。

交感神経と副交感神経に分けられ、ふたつが切り替わってバランスをとっています。

 

<交感神経>

活動するときに働く。緊張や興奮を促進し、心拍数や血圧を上げる。胃腸の働きが弱まる。

<副交感神経>

リラックスしているときに働く。筋肉が緩み、心拍数や血圧が下がる。胃腸の働きが活発に。

 

ただし、自律神経は「自律」しているので、自分の意思ではコントロールできません。唯一、自律神経にアプローチできるのが呼吸なんです!

 

緊張しているときに深呼吸をして息を整え、心身をリラックスできることはよく知られていますが、実は、息を吸うときは交感神経が優位に、息を吐くときは副交感神経が優位に働きます。

 

ストレスなどで息が詰まると感じているとき、なかなか眠れないとき、緊張して体がこわばり肩がこっているときなどは、えてして息を吸いすぎて交感神経が優位になっているもの。そこで息をしっかり吐ききることができれば、副交感神経を働かせることになり、とても効果的なのです。

 

 

しっかり「吐く」だけで、体と心の不調が改善! 取り戻したい「きほんの呼吸」

「無意識に続けている自分の呼吸を振り返ること。そして赤ちゃんの頃のように、自然によい呼吸ができるようにすること。それが体や心の不調を改善できることに気づいてもらいたい。呼吸の持つ無限大の可能性に気づいてもらいたい。そんな期待を込めて、きほんの呼吸を学んでもらえたらと思います」

 

 

 

撮影/露木聡子 イラスト/内藤しなこ 取材・文/蓮見則子

 

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