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運動中の尿漏れに困っています。運動を続けるためには、どうしていくのがいいでしょう?(49歳)【更年期のフェムゾーンの悩み】

前回に続き、尿トラブルの質問ですね。これは40代以降のフェムゾーン(デリケートゾーン)関連の悩みでは断然トップ。運動中にもれそうに、あるいは実際にもれてしまったという人は多いものです。運動不足や肥満が原因で尿もれしやすくなるならわかりますが、せっかく続けている運動自体が悩みの原因だったら…? 八田先生、どうしましょう?

答えてくださった方

 

八田真理子
八田真理子さん
産婦人科専門医
公式サイトを見る

幅広い世代の女性の診療・カウンセリングを行う地域密着型クリニック「 聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田」院長。著書に『思春期女子のからだと心 Q&A 資料ダウンロード付き』(労働教育センター)、『産婦人科医が教える オトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)ほか。

 

♦意外? 軽い運動でも骨盤底筋にはかなり負荷

これは第6回で解説した「腹圧性尿失禁(お腹に圧がかかってちょいもれしてしまう病気)」と同じ症状です。

 

ランニングは軽い運動と捉える人もいるかもしれませんが、ただ歩くのに比べて強度はかなり高め。

たとえジョギング程度でも、走るということは両足が地面から離れるということ。

これは一歩一歩ジャンプをしているのと同じことなんです。

そのたび骨盤底筋には、内臓や脂肪などの重さがいちいち強い圧力となって負荷をかけてしまいます。

 

ランニングのほかに、縄跳びなどのジャンプ運動も骨盤底筋にとってはかなりの高負荷。

尿を我慢するのに必要な骨盤底筋の筋力が弱ければ、尿トラブルに直結です!

 

だからといって、その素敵な趣味を止める必要はないと思いますし、何も運動をしない女性よりもはるかに健康的。

まずは、運動と並行して骨盤底筋のトレーニングをしてほしいと思います。

 

これについてもやり方は前回説明しましたので、参考に!

ランニング中に尿もれパッド(尿もれシート、吸水シート、尿吸収シートともいいます)をしている人も多いそうですが、パッドには私、賛成しません。

骨盤底筋を甘やかしてしまうことになるし、ムレやにおいの元にもなります。

それに、あと残り半分の人生、ずっとパッドをつけて過ごすのですか?

 

ちなみに、本格ランをしている人でもパッドに頼っていることはよくあります。

その場合、脚の付け根や股間がすれてしまうため、当たる場所にワセリンなどを塗っておくとよいとのことです。

 

私なら、ウエアを工夫しますね。

黒いランニングタイツ(スパッツ)やパンツをはいて、ちょいもれしても知らんぷりしてしまうと思います。汗と同じと思えばいいじゃないですか。

もし少し濡れていることがバレても、汗か尿かなんて他人からはわからない(笑)。

 

♦着圧タイプのタイツ、水分の摂取不足には注意を

そして、ランニングタイツの注意点。膝やふくらはぎ、骨盤、腰などをサポートしてくれる味方ではありますが、着圧が強いタイプは、腹部まで圧迫されています。

骨盤底筋に対する内部の圧力に加え、外からも膀胱も圧迫することになり、よけいに尿もれが起こりやすい状態になるので気をつけましょう。

 

また、ウォーキングやランニング中にトイレに何度も行くのが嫌だからと、水分をとるのを控える人もいるそうですが、熱中症や脱水が起きやすく体によくありません。

運動中には必ず水分をとりましょう。

 

レースや長時間のランの予定があるときは、前日から走る前まではカフェインを避けるのも大事。

カフェインを含むコーヒーや緑茶は利尿作用がありますから。

それだけでもだいぶ違うはずです。

 

最近は、スポーツクラブやジム(お手軽なコンビニジムも含め)でトレーニングする40代以降の女性が増えています。

私もトレーニングを頑張っている一人です。

 

一見、運動は骨盤底筋を鍛えるのによさそうなもの。

でも、運動の種類によってはやはり骨盤底筋に負荷がかかりすぎます。腹圧のかかる運動(息をとめて「うっ」と力を入れるようなタイプの運動)は、咳やくしゃみをしたときと同じ現象です。

「腹圧性尿失禁」を進行させてしまいます。

 

腹圧をかける運動の代表格、それは腹筋トレーニング!

純粋な腹筋トレではなくても、お腹に目いっぱい力を入れる種目はたくさんありますね。

おもりを持ってのスクワットやデッドリフト…。

 

本格的な運動よりもまずは、いつでもどこでも骨盤底筋トレーニングを心がけましょう。

 

♦腹圧性尿失禁に効果的な機器が登場!

そして、朗報です!

最近は、骨盤底筋をうまく意識できない人や、自力ではなかなかうまく骨盤底筋トレーニングができない人のために、弱った骨盤底筋を鍛えることができる治療器が増えてきました。

特に腹圧性尿失禁に効果的な機器です。

 

私のクリニックでも導入している医療機器「アンチェアー(angchair)」もそのひとつ。今、大人気なんです。

 

高出力電磁パルスを利用したもので、服を着たまま20〜30分ほど座るだけで、約12,000回の筋肉収縮運動をしたのと同じことになります。

いわゆる骨盤底筋の強制的な筋トレになるのです。

 

 

服のままただ座るだけなのに、お腹の中までポッカポカ!

 

1週間に1~2回の間隔で、6回の施術を受けていただくことを推奨していますが、患者さんのなかには、3週間ほどで尿もれが改善された方もいました。

 

そしてさらによいことに、この機器の効果は「尿トラブル改善」だけじゃありません。

 

性機能が回復した、痩せた、ぽっこりお腹がへこんだ、ヒップアップした…など予期していなかったうれしい効果も、患者さんたちが実証してくれています。

 

残念ながら、日本では保険適用となっていませんので、自費診療となります。

 

私のクリニックでは、ほかに腟・外陰部レーザー治療「モナリザタッチ®」も人気があります。

腟まわりの乾燥やかゆみ、性交痛に効果があるだけでなく、尿トラブルにも威力を発揮しています。

 

婦人科の治療はそこまで進んでいますから、臆せずにいらしてくださいね!

 

取材・文/蓮見則子 

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