ハリウッドはまだ自粛状態が続いてます。映画館の明かりも消えたままです。
でも春の気配を感じます。ずっと危機的状況だったロスアンジェルスも、やっと感染拡大が下火になってきました。
明るい見通しがつき始めた今、ゴールデン・グローブ賞が開催されます。前代未聞の“リモート・ライブ”という形です。
レッド・カーペットの横に並んでにぎやかにセレブウォッチングをする映画ファンも 、行列するテレビカメラも、インビューする取材陣も不在のゴールデン・グローブ授賞式ですが、それを感じさせない華やかなものになるはずです。
女優たちがゴージャスなドレスに身を包んで、エレガントに登場する“ヴァーチャル・レッド・カーペット”にも期待が寄せられてます。ロスアンジェルスとニューヨークに分かれてのリモート生中継。4月に入ってからのアカデミー賞の前哨戦として、アメリカの、世界の映画ファンが沸き立つことでしょう。
今年の注目するべきファッションは“マスクの色とデザイン”と笑ってる人もいます。嫌われていたマスクも生活の、そしてファッションの一部になりつつあるのは明白です。
ちょっとゴールデン・グローブのノミネーションを覗いてみましょう。今回はベテランと30代の新鮮な世代が隣合わせにノミネートされていて、時代交代を感じています。
洒落た映画“French Exit”(『フレンチ・エグジット』)で、素敵に輝いているベテラン、ミッシェル・ファイファー。21歳の息子をこよなく愛している、エレガントで自由でエキセントリックな女性の話です。リモート・インタビューに、にこやかにエレガントに登場したミッシェル。
「この映画で演じたフランセスは私とは正反対の女性よね。自由で無謀で。
私は、仕事から離れて子育てに専念していたとき『そんなに家庭的だったとは知らなかった』と言われてたの。子供たち(3人)と過ごす時間が大好きなの。彼らも大人になって自分なりの人生を進んでるわ。パンデミックの間の最高の楽しみは子供たちが会いに来てくれたとき。離れて住んでるから中々会えないのがつらいのよね。
自粛生活で学んだこと?生活環境が変わっても自分に良いことは続ける、ということ。バランスの取れた食事、適度なエクササイズ、睡眠をたっぷり取ることね」
62歳とはとても思えない、ビューティフルなミッシェル・ファイファー。主演女優賞の候補です。
“The Mauritanian”(『ザ・モーリタニアン』)で実存する社会派弁護士を演じたジョディ・フォスターも助演女優賞候補です。知性派で知られている才女ですが、58歳になったジョディは、丸みを感じさせる優しさに溢れてます。コンピューターの画面に顔を出した彼女は、白いTシャツにメイキャップなしの完全自然派。
「久しぶり、って言うけど私にとっては、そんなに久しぶりじゃない感じよ(笑)。皆に最後に会ったの、いつだっけ?」と、さっぱりしたものです。
「アメリカのテロ対策が厳重なのはありがたいけど、この映画の主人公(グアンタナモ収容所に収監された、テロの容疑者)のように14年間裁判もせず、ただただテロリストの”疑い“だけで監獄生活を押しつけたのは、アメリカ側の尊大と人権無視ね。このストーリーは皆に観てもらいたいと思ったの」
年を重ねることで、より意味がある役を選ぶようになった、とジョディらしい言葉。
「外からの刺激を求めるより、自分の頭の中でウロウロするのが好き。本を読んだりね。家の中に居なければならないのが嬉しくてしょうがない 私だから。でも子供たちは、つらい思いをしてるわ。外からの刺激が必要だし、友だちと会ってワイワイするのが、彼らの精神的な栄養になるわけだから。パンデミックを通して我々皆が、更に一歩成長することを祈るばかりね」