美&元気を探しに旅に出るのが難しい昨今ですが、その分、今までのいろんな出会いで得たヒントで、日々をちょっと丁寧に過ごしたいと思うこの頃です。特に外食の機会が減っているので、自宅で作るものにひと手間かけて、身体によくおいしいものをと考える方も多いのではないでしょうか。
神楽坂駅から歩いて5分ほど、とても情緒のある裏通りの古民家で、味噌、醤油など発酵食品の教室「神楽坂発酵美人堂」を開く清水紫織さん。ご主人と共に飲食店の経営と2児の子育てもしながら、家庭でも教室同様に食生活に気を使っています。
発酵食品との出会いは自分自身の食材アレルギーがきっかけで、
「主人もアレルギーがあったので妊娠してさらに心配になりいろいろ調べると、腸内環境を整える為、発酵食品をとって食事を改善するのがよいというアドバイスが多かったんです。それで発酵教室に通って手づくり味噌を造ってみたら、おいしくてびっくり。これは他の人にもぜひ知ってもらいたと思って東京農業大学醸造科で学びを深めた後、出張味噌ワークショップから始めました」
だそう。
こうして食生活を変えるとご主人も紫織さんもほぼアレルギーは出なくなったそうです。
日本人の食事の原点とも言えそうな味噌、醤油。自らが教室を開く時に出会ったのが創業大正3年(1914年)という歴史を持つ、福井県越前市にある有機味噌づくりの「マルカワみそ」です。無農薬・有機栽培というオーガニックな味噌を、100年前から家族経営で製造しています。加温をせず、添加物を使わず昔ながらの作り方である天然醸造にこだわっているそう。ボイラーなどの配管掃除にも清缶剤という薬剤は使っていません。蔵に住み着いている麹菌を自家採種して、その麹で味噌作りをしています。そんなこだわりの姿勢とその味に共感した清水さん。自らの教室の麹にもこの「マルカワみそ」のものを使っています。
私も何度か参加した発酵仕込み教室は、素敵な古民家で和服姿の清水さんがてきぱきと教えてくれます。味噌作りだけでなく日本古来からの文化にこだわる清水さんは、実家が元呉服屋ということもあって、教室で教えるときはいつも着物にたすきがけ。清水さんが教える発酵食品には、炊飯器を利用して米麹を発酵させて作る甘酒や醤(ひしお)など、初めてでも簡単に出来るものもあります。
私が教えてもらった醤は、岡山や小豆島などで昔から食べられていた発酵調味料で、豆麹と麦麹を合わせて作られているのがポイント。この「ひしおの糀」に醤油と水、昆布を混ぜて容器に仕込んで発酵させると、1週間から10日間で食べられるようになります。1週間は、毎日、木べらで混ぜるので、お世話している気分。
こだわりの素材での手造りの醤は、魚や茹で卵を漬けたり、アボガドにゴマ油と共にちょいがけしたり。一緒に調理する魚、肉、野菜などの味を引き立てると実感できます。
今はコロナの影響もあって、対面の教室は限定開催ですが、発酵キットと動画でのレッスンやzoomを利用してのオンラインレッスンを開催されています。これだと家でも発酵食にトライが可能。神楽坂発酵美人堂のHPにYouTubeレシピやお料理動画もアップされているので、まずは発酵食ってどんな風に作るのかのぞいてみてはいかが?