秋田県大仙市高梨にある、旧池田氏庭園。こちらは明治時代後期 ~ 大正時代作庭の日本庭園で、当地の旧家で大地主であった池田家の庭園。2004年(平成16年)2月27日に国の名勝に指定されました。
明治大正期における公園設計の第一人者としての実績と名声は全国に及ぶ、近代公園の先駆者であり、近代造園の祖として評価されている、長岡安平氏が設計・造園した庭園。
ここ池田邸は、東北三大地主の1つに数えられた豪農で、明治時代から第二次世界大戦後の農地解放まで秋田県の政治・経済・文化に大きな功績をのこした資産家です。
本家庭園の敷地は4万2千㎡で、当時の所有田畑は1200町歩(坪数にすると、なんと360万坪!)、小作人は1250人の、国内でも有数の千町歩地主でもありました。庭園敷地4万2千㎡というと、東京ドーム1個分ぐらいでしょうか。
実は私の祖父も、私の母が幼い頃はこちらの池田邸で働いていたそうです。友人の祖母や曾祖父も働いていた、という人がけっこういます。
見学チケットを買って(300円です。)外に出ると、昔の大八車がそのまま保存され、蔵の横に置かれていたり、貢献してきた方たちの写真が至るところに飾ってあったり、働き手の全員を大切にし、とても栄えた農家であったことがうかがえます。
こちらの旧池田氏庭園は、年にほんの少しの期間だけ公開されていましたが、今年は5月19日(土)から11月18日(日)まで、長期の公開になったそうです。
実は私の家からすぐなのに、1度も行ったことがなかったんですよ。すぐ近くだと、いつでも行けるという頭でいるから、なかなか行けなかったんでしょうね。やっと今回、いつものお友だちと見学してきました。お友だちも、初めてだったそうです。とにかく、なんて広いんだ! というのが1番の感想。
そしてやはり、地主だけあって、門・庭の作りや洋館など、近くにこんな美しいお屋敷があったなんて!と、お友だちと2人、感動しきり。
高さ・笠の直径共に約4mの国内最大級の雪見灯籠は、大きさだけではなく、どの方向から見ても同じ見え方というその造りの緻密さ・バランス、素人の私でも目を見張ります。
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平成24年6月には皇太子殿下が御来県のときに、池田庭園も御視察なさり、この大型雪見灯籠の大きさと造りの美しさに感動なされたようです。
先日の大雨がなければ、ツツジがしっかりと咲き残っていてもっと綺麗だっただろうなと、そこが残念でした。
そしてあの時代にハイカラであった素晴らしい洋館は、ほぼ修復が終わり中も見学できるようになりました。
ただ、階段だけは修復ができず、2階の見学は要予約で、団体様はご遠慮してもらっているそうです。日に20人以内というお話しらしいです。
2階は見られませんでしたが、当時1階の食堂兼音楽室に置かれていたピアノと蓄音機、そして玉突場と書かれたところのビリヤード台も、もちろん触ることはできませんし、あまり近くには寄れませんでしたが、昔のままのものが見られて感激でした。
米の保存庫だったところには、全国でも山形についで早かった、学校給食のお弁当箱が飾られています。池田氏を中心とした篤志団体が、貧困児童の出席を奨励施策し、国の諸施策奨励に、先駆的に対応したものであるそうです。 ◯の中に、池田のイの字を入れたそのお弁当箱が綺麗に保存され、飾られています。
その隣の部屋では、「秋田公立美術大学 熊谷晃 漆アート展 ~秋田を学ぶ、秋田でつくる~」という展示がされており、 貝殻の内側や虹色光沢を持った真珠層の部分を切り出した板状の素材を、漆地や木地の彫刻された表面にはめ込む手法である螺鈿(らでん)装飾や、それを施した飾り箱がたくさん展示されていました。緑や桃色、白金のような色などが綺麗で、上品な煌めきはとても見応えがありました。
いつものお友だちの後ろ姿も写っております。
(こちらの展示は6月10日で終了)
今後は地元のホテルと提携して、ここ旧池田氏庭園で結婚式をするというイベント予定もあるそうです。ご結婚される方も、お祝いにいらっしゃる方も、よりいっそう心に残るお式になりそうですね。
今年は11月まで公開していますから、紅葉の時期も美しいだろうと思います。11月に、早めに雪が降れば、それもまた美しいでしょうね。その時期にまた来たいと思います。
国指定名勝 旧池田氏庭園 [大仙市教育委員会 文化財保護課]
http://www.city.daisen.akita.jp/docs/ikedashiteien/2013110400095/