五感と肌は密接に関わっていることに気づき、30年以上前から「ニオイ」の研究を始めた資生堂。約20年以上前に加齢臭を発見したのが資生堂だったんです! 皆さんご存知でしたか?
そして今回、また新たなニオイを発見!ということで、記者発表が行われました。
近年、資生堂は皮膚ガスに着目。その研究から、新たなニオイ成分を特定したそうですよ。
◆皮膚ガスとは
皮膚表面から放出し、その一部が体臭として認知されるものが「皮膚ガス」で一酸化炭素や水素、メタンなどさまざまな気体が含まれています。例えばニンニクを食べたときに口臭だけではなく体からニンニク臭がしたり、深酒した翌日にアルコール臭がするのも皮膚ガス。疲れたときのアンモニア臭などもあります。
海外では「飼い主の初期癌のニオイを飼い犬が発見」「糖尿病患者の皮膚からアセトンが多く検出」などの論文も発表されていて、昨年には資生堂が加齢臭の主成分ノネナールが皮膚ガスとして放出されていることを発見。食べたものや体調、そして年齢などで変化することから、体内の状態のバロメーターにもなるとして注目されているんです。
新発見されたニオイの正体は…
さて、今回の新たなニオイ。「皮膚ガスには病気以外の特徴があるのではないかと研究を進めるうちに、緊張やストレスを感じている人たちから独特のニオイがすると気づきました」とは、資生堂 アドバンストリサーチセンター 研究員の勝山雅子さん。
どんなニオイかというと「ラーメンの上に浮いたネギのニオイ」とか。うーむ、ふみっちーもラーメンがないところで嗅いだことあるような。でも、どこでだったかな…。
このニオイの正体を突き止めるために、緊張やストレスを感じる場面を再現したり、初めて報告会に出席した緊張状態の新入社員を対象に皮膚ガスを採取したりして検証したそう。臭気判定士による官能評価では、人によって強弱はあれど、共通した独特のニオイを発生していると確認できたんですって。これが、新発見したストレス臭というわけです。
3年という年月をかけ、複数の分析方法などからストレス臭の正体となる2つのニオイ成分を特定。「STチオジメタン」と命名したそうですよ。
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会場では、小瓶に詰められたストレス臭の元「STチオジメタン」を嗅ぐことが出来ました。
ふみっちーは不快なニオイには特に敏感なので、恐る恐る、控えめに嗅いでみると…ん〜、よくわからない。勇気を出してもっと小瓶に鼻を近づけてみたら「うっ!」背脂的な、確かにラーメンっぽいニオイがします。そして思い出しました! 会議室で嗅いだことがあるニオイですよ!
「ストレス臭」は伝染する!?
この好ましくないニオイ「ストレス臭」は、何とクサイだけじゃなく、嗅いだ人の心にも影響を及ぼしてしまうんだとか。自分のストレス臭でより緊張感が高まってしまったり、嗅いだ周囲の人の「疲労感」「混乱感」を招いてしまう恐れもあるわけです。
ニオイがもたらす影響について、薬剤師・コミュニケーションカウンセラーの仲秋素志先生が説明してくださいました。
「ニオイは、見た目よりも他人にインパクトを与えます。大脳辺縁系の記憶を司る海馬や感情を司る扁桃体に直接ニオイの情報が送られるため、ニオイで過去の思い出が蘇ったり、『好き』『嫌い』といった感情ともダイレクトに結びつきます」
つまり、人の第一印象が「見た目」でなく「ニオイ」で判断されてしまうのです。ストレス臭は好ましくないニオイというのもありますが、自分自身や他者との関係にも影響するとなると、問題ですよね。加齢臭同様、一度認知されたら、その対策をするようになるかもしれません。
資生堂では、ストレス臭に対応する製品を開発中とのこと。そのサンプルも嗅ぐことが出来ました。強いニオイでごまかすのではなく、ストレス臭を包み込んで目立たなくさせるというものだそう。この新製品は、2019年春に発売予定です。続報が楽しみですね。