健康にはもちろん、美容にも大きな影響を与える歯と口腔内のケア。女医の皆さんはどんなことを実践しているのでしょう? 今回からシリーズでご紹介します。
半数近くが歯を矯正済み。
健康への意識の高さが明確に
今回、素敵女医の皆さんには、歯と口腔内のメンテナンス術について伺いました。歯磨きの回数で最も多かったのは1日3回ですが、何か食べたあと必ず磨くため1日5~6回という人も。
「基本は電動ではなく手磨きで、所要時間は30分~1時間くらい。休み休みですが、夜に時間をかけて行っています」(宝田歯科・宝田恭子先生)
歯磨きには電動歯ブラシと手磨きを併用している人が多く、部分用ブラシとの使い分けも目立ちました。フロスや歯間ブラシの愛用者も多数。
「歯周病や歯肉の萎縮予防のため、マッサージを兼ねて歯と歯茎に優しい歯間ブラシを使っています。歯石がつきにくくなった気がします」(クリニックシュアー銀座・飛田砂織先生)
興味深かったのは歯の矯正についてです。回答してくれた人の半数近くが「矯正済み」と答え、そのうち80%以上が30歳を過ぎてからのものでした。さらに、口腔内状況の変化や不具合で複数回矯正している人もいます。
「32歳のときから3年間矯正しましたが、緩やかにずれてきています。50歳を過ぎたら再度する予定です」(有川スキンクリニック・有川順子先生)
また、“乳酸菌”というキーワードも目につきました。皆さん、歯周病対策として取り入れはじめているようです。健康の要といわれる歯。9割以上の人が年に数回歯のクリーニングを受けるなど、口腔内のケアに対する意識の高さが垣間見える結果となりました。
歯と口腔内の悩み
歯と口腔内の悩みはありますか?
YES…69%
NO…31%
虫歯・歯周病予防に
ダチョウ抗体入りペースト
「夜間の嚙みしめで割れたり欠けたりした歯のかけらで、朝起きると口の中がジャリジャリすることが。今は夜間にリテーナーを装着することで対応しています。また、虫歯・歯周病予防として歯磨き粉にもこだわり、ミュータンス菌(虫歯菌)に対するダチョウ抗体の入ったものを愛用中。画期的なペーストだと思います」
(わかばクリニック・工藤清加先生)
ダチョウから採取した抗体が虫歯菌と歯周病菌の増殖を抑制。善玉菌は殺さずに、虫歯と歯周病予防ができます。
SORB’S TOOTH PASTE¥2,700/わかばクリニック
次のページでは口腔内のトラブルランキングをご紹介。
口腔内のトラブル
歯に関するトラブルランキング
1位 嚙みしめ・歯ぎしり
就寝中にしている人が多く、対策としては「マウスピースやリテーナー(保定装置)をつける」などが。仕事で集中しているときに無意識に嚙みしめている人も
2位 歯周病
歯周病とは、歯垢の中の細菌が歯肉に炎症を引き起こし、歯を支えている骨を溶かしていく病気。歯垢が硬い歯石になる前に、落としておくことが大切です
3位 顎関節症
ストレスや嚙み合わせなどが原因になり、時には頭痛や肩コリを引き起こす顎関節症。マウスピースをつける、マッサージを習慣にするなどの対策がありました
4位 歯並び
「加齢とともに歯並びが悪くなってきた」「以前矯正をしたが、また元に戻ってきた」など、歯並びの悪化を挙げる人がいました。再度矯正を考えている人も
5位 歯の黄ばみ・歯肉の後退
色素沈着や黄ばみのほか、歯肉の後退や痩せに悩む人も。対策は、ホワイトニングを定期的にするほか、歯茎マッサージやブラッシングでのまめなケアなど
成人の歯肉退縮、
おもな原因は歯周病
「歯並びと嚙みしめ対策として、夜リテーナーをつけています。そのためか下の歯肉の退縮が少しあります。ちなみに成人の歯肉退縮は加齢による部分が多いですが、おもな原因は歯周病だといわれています。ほかの原因としては不適当なブラッシング、歯の欠損、全身性の代謝異常、貧血などの可能性もあります」
(クリニックシュアー銀座・飛田砂織先生)
What’s S-Joy?
S-Joyとは、素敵女医(SUTEKI JOI)からのネーミング。Over-45のMyAge世代で、若々しくイキイキと輝いている女性医師たちに、ずっと美しく健康で過ごす秘訣を伝授してもらうシリーズです。美容皮膚科、婦人科、歯科、形成外科など、幅広い科の先生方の専門知識を生かしたアドバイスや、ご本人が実践していることをお伝えします。
New S-Joy
仲田洋美さん
Hiromi Nakata
52歳・内科・腫瘍内科・緩和ケア内科・遺伝診療科
新宿ミネルバ クリニック
「がんと遺伝の専門医かつ総合内科医です。小さい頃から虫歯になりやすく、矯正したのは38歳。インプラントは50歳で、上顎洞が薄かったのですが、先進的テクニックで、きちんと入れることができました」
日比野佐和子さん
Sawako Hibino
46歳・内科・皮膚科・眼科・アンチエイジング科
Rサイエンスクリニック広尾
大阪大学医学部大学院特任准教授。
「口腔環境のための気遣いとしては、朝起きたら最初にうがいをする。歯茎マッサージで血行をよくし、顔のリフトアップも図る、歯を磨けない状況のときは緑茶で口をすすぐなどです」
次回も素敵女医のみなさんの歯と口腔内のケア法についてご紹介します。
撮影/ケビン・チャン イラスト/内藤しなこ 取材・原文/上田恵子