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毛細血管の老化は全身を劣化させる…

根来秀行教授

根来秀行教授

1967年生まれ。最新刊『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業「毛細血管」は増やすが勝ち!』(集英社)が好評発売中!ハーバード大学医学部内科客員教授、パリ大学医学部客員教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界の最先端で臨床・研究・医学教育にあたる。

命の根幹を担っている「毛細血管」。

直径は、髪の毛の10分の1ほどの細さですが、全血管の99%を占め、全身に網の目のように張り巡らされています。そして、免疫の闘いの最前線でもあります。

 

 

世界の最先端医療も注目している毛細血管について、根来秀行ドクターの特別レクチャーです!

 

 

毛細血管は体中に張り巡らされているだけに、老化が進んでくると、全身のさまざまな場所で不調が現れます。あなたのその不調も元をたどると、毛細血管の衰えからきているのかもしれませんー。

 

 

「人は血管とともに老いる」という言葉がありますが、根来教授曰く、「人は毛細血管とともに老いる」
その衰えを自覚することはできる?

 

 

「まず見た目に現れます。皮膚は体のいちばん外側にあるため、毛細血管の状態がダイレクトに反映されるのです。表皮細胞の新陳代謝が鈍くなり、古い角質が肌に張りつきハリがなくなり、たるみやくすみ、シミ、シワが出てきます。頭皮では毛母細胞に栄養素が行き渡らず、髪のパサつき、抜け毛、白髪など、地肌や髪が老化します」

 

 

粘膜の乾きも顕著に。粘膜は毛細血管が水分を運んできてくれるからこそ、湿度を保っていられるのです。
「目、鼻、口、喉、胃、腸、膀胱、子宮、腟、肛門など体のあらゆる部位にある粘膜には毛細血管が発達しています。これらの毛細血管が衰えれば、粘膜が水分不足に陥り、目の痛みや鼻炎、口内炎、胃腸炎、膀胱炎、痔など、その部位に炎症を引き起こします」

 

 

こんな不調に思い当たりませんか?

 

毛細血管_ill

 

 

次のページに続きます。

 

毛細血管にダメージがあると、リンパの流れも連動して悪化します。

 

 

「余分な水分や老廃物がリンパ管の中で滞り、むくみやすくなります。また、免疫細胞が行き渡らず、全身の免疫機能が低下し、風邪を引きやすくなったり、花粉症などのアレルギー症状が出やすくなります。ウイルスや細菌、がん細胞までも抑えられず、病気を招くこともあります」

 

 

心筋梗塞、脳血管障害、慢性腎不全、ある種のがんなどの命にかかわる病気も、実は毛細血管の病気といえます。

 

 

「それらは糖尿病や高血圧、高脂血症など生活習慣病の成れの果てで、生活習慣病は毛細血管の病気なんです。毛細血管に起きた小さなトラブルの積み重ねが、ある日、大きな障害につながる可能性があるということです」

 

 

 

(次回は「根来式・毛細血管を増やす生活術」です。お楽しみに!)

 

撮影/角守裕二 イラスト/内藤しなこ 構成・文/石丸久美子

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