手の不調は、起こる場所や症状によって、治療法も変わってきます。女性ホルモンと深いかかわりを持つ症状について、四谷メディカルキューブの菅野百合先生に聞きました。
菅野百合さん
Yuri Kanno
福島県立医科大学卒業。四谷メディカルキューブ 手の外科・形成外科・マイクロサージャリー。日本形成外科学会専門医。「つらい手指の症状を軽減させる医療を目指しています」
ヘバーデン結節
指の第1関節に腫れや痛みが発生
〈症状〉指の第1関節が赤く腫れたり曲がったりします。痛みを伴うこともあり、関節の動きも悪くなります。痛みのため、強く握ることが困難になることも。
〈治療法〉治療法として効果があるのはテーピングですが、テーピングだけで痛みが引かないときは、ステロイド剤を注射するケースもあります。変形がひどくなって日常生活に支障が出る場合、手術も考えられます。
第1関節に、水ぶくれのようなふくらみができるケースも。悪化すると手指が曲がってしまうため、人前に手を出したくないという人もいるそう
ブシャール結節
指の第2関節がふくらみ、曲がる
〈症状〉指の第2関節がこぶ状にふくらみ、指が曲がってしまいます。痛みがある場合とない場合がありすが、関節の変形が進むと指が伸ばしにくくなります。
〈治療法〉末梢循環改善剤(ビタミン剤)の内服や、塗り薬の消炎鎮痛剤で保存的治療を行います。ステロイド剤の注射も効果があります。変形が進んだ場合は、人工関節にする手術を行うことも。
指がしっかり伸ばせず、日常生活に不便を感じることも。関節リウマチと区別することが大切です。
次ページは母指CM関節症の症状と治療法について。
母指CM関節症
親指の付け根の関節が痛む
〈症状〉物をつまむときや、ジャムなどの瓶のふたを開けるときに痛みがあります。進行すると、母指である親指の付け根の関節(CM関節)が出っ張るという変形が起き、外見からもわかるように。また、悪化すると親指が開きにくくなります。
〈治療法〉消炎鎮痛剤の投与、固定装具、ステロイド剤の関節内注入などの治療法があります。変形が進行した場合は、関節固定術、関節形成術などが行われます。
[左]閉経以降に発症します
[右]固定装具などを使った保存治療でよくならない場合は、手術が行われることもあります
次回は手の不調の症状と対策の後篇をご紹介します。
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/上田恵子