生理周期と照らし合わせて、手の症状がどのように変化するかチェックしておくと、診察の際に役立ちます。また対策として、エクオール含有サプリメントの摂取も効果あり。
不調が2〜3カ月続いたら
手外科専門医に相談を
「手のトラブルは原因がはっきりせず、病院に行っても『年のせいなので仕方ないですね』と言われることが少なくありません。不調が2〜3カ月続くようなら、ぜひ専門医を受診してください。ただし、指が伸ばせなくなった場合は、早めに診察を受けることをおすすめします」
と四谷メディカルキューブの菅野百合先生。日本手外科学会のホームページに掲載されている「手外科専門医名簿」を参考にしてください。
「ご自身の生理周期と照らし合わせて、いつ症状がひどくなるかを日頃から意識してもらえると、こちらも診断しやすいです。医師によっては、更年期と関節痛対策の漢方薬を組み合わせて処方することもあります。また、まだ症状が出はじめで、指の変形などが起きていない人には、予防としてエクオール含有サプリメントの摂取もいいと思います。大豆イソフラボンから作られるエクオールは、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た働きをするため、更年期に起きやすい手のトラブルの症状緩和にも効果が期待できます」
四谷メディカルキューブの菅野百合先生
菅野百合さん
Yuri Kanno
福島県立医科大学卒業。四谷メディカルキューブ 手の外科・形成外科・マイクロサージャリー。日本形成外科学会専門医。「つらい手指の症状を軽減させる医療を目指しています」
Column 1
間違えやすい関節リウマチ
手の病気と間違えやすいものに、初期の関節リウマチがあります。関節リウマチは免疫の働きに異常が生じ、間違って自分自身の細胞や組織を攻撃する病気。関節の腫れ・痛み・朝のこわばり(2時間以上続く)などが左右対称に現れ、微熱や倦怠感などの症状も出ます。進行すると軟骨や骨が破壊されて関節が変形しますが、今はよい薬が開発され、早期に発見して適切な治療を始めれば進行を抑制できるようになりました。血液検査で判明するので、検査を受けておくと安心です。
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年をとったら指が曲がるのは当たり前、ではありません。きちんとした対応とメンテナンスで、健康で真っすぐな指をキープしましょう。
2人の先生に、ご自身の対策をお伺いしました。
小麦とグルテンを避ける食生活に
飛田砂織さん
Saori Tobita
美容皮膚科・抗加齢医学
クリニックシュアー銀座院長
皮膚の抗加齢治療を中心に、点滴療法やナチュラルホルモン補充療法を実践
一時期、起床時に両手指のこわばりを感じることがありました。指の曲げ伸ばしをすると改善する程度のものでしたが、このような症状があったときはシャワーで済ませず、ゆっくり湯船につかるようにしていました。全身をリラックスさせると、症状がよくなるような気がしたからです。
もうひとつ、私は食物過敏の検査で小麦とグルテンへの反応が出ていたため、関節炎との関連の可能性を考え、それらを避ける食生活に変えました。現在、こわばりは改善しています。また、更年期の一症状として手指のこわばりが出る場合もあるので、エクオール含有サプリメントの「エクエル」をとるのもいいと思います。
漢方薬と加圧トレーニングで快方に
大倉萬佐子さん
Masako Okura
眼科
アイクリニック天神院長
目と目まわりの美容を通して体や心の健康にも寄与する「瞳美容研究所」代表理事
昨年末から、寝起きに両手指のこわばりや、曲げ伸ばしがしにくいといった症状を感じるようになりました。右手指の2~3本がしびれた感じもあり、日中も気になるようになったため、1月初めに最寄りの、頸椎も診られるうちかど脳神経外科に受診しに行きました。MRI所見では脳内に異常は認められませんでしたが、軽度の頸椎症を疑われました。
その後、自宅近くの婦人科を受診したところ、更年期によく出される漢方薬の当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)と、関節の腫れやむくみに効くという防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)を処方されました。また、中断していた加圧トレーニングも再開することにしました。現在、手の症状は快方傾向にあります。
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手のトラブル予防に期待できる「エクオール」とは?
エクオールで手のトラブル悪化を予防 !
更年期に多い手のトラブルの予防には、女性ホルモンとよく似た働きをするエクオール含有サプリメントが有効です。
エクオールに、女性の体のバランスを内側から整えるブラックコホシュやテアニンなどをバランスよく配合。
発酵大豆イソフラボン エクオール(約30日分)¥2,500/小林製薬
合成・抽出・濃縮を一切行わず、大豆を独自の乳酸菌で発酵。4粒で1日の目安である10㎎のエクオールが摂取できる、大豆発酵食品。
エクエル(28日分)¥4,000/大塚製薬
Column 2
手トラブルへのエクオールの有意性、発表される
2017年4月、第60回日本手外科学会学術集会において、四谷メディカルキューブの平瀬雄一先生により、エクエル(大塚製薬)を使った臨床研究結果にて、更年期の手のトラブルに対するエクオールの有意性が発表されました。これにより、女性ホルモン(エストロゲン)の減少に伴って起こる「手のしびれ」や「痛み」などの症状緩和に、エクオールの摂取が有効であることが明らかになったのです。
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/上田恵子