木枯らしも吹いて、冬が近づいているのを感じる季節になりました。
一年って本当に早い・・・と感じて、ちょっと焦ったりしますね。
さて。この一年で、口もとの健康は維持出来ていますか?
いつもご機嫌な口もとでいるためには、やっぱり歯や歯肉の健康は欠かせませんよね。
そのためには毎日のデイリーケアは必須です。私たちのクリニックにいらっしゃる患者さんも毎日の歯のケアをしっかりと身につけている方は、いつも元気で明るく年齢を感じさせない若々しさに満ち溢れていて、ご機嫌な口もとのお手本のようです。
でも最初からご機嫌だったわけではありません。苦手な歯磨きをこまめにし、間違ったやり方を正しく直し、いろいろと乗り越えながらご機嫌な口もとにたどり着いたのです。
また年齢が進むと別の方法での歯磨きケアを開始することもあります。ただ、この場所はこうしようとか歯肉はもう少し優しい力で汚れを落とそうとか、ポイントってあるんです。それをある程度理解してケアをすると、少し先の将来の口もとが変わります。
若い頃と同じように、なにも考えずガシガシと歯磨きして「はい!終了」・・・ではなく、オトナならではの歯磨きをする事で、口もとの健康を自分のものにできることが自信にも繋がります。
そこで今回は、先の将来を見据えて使っていきたい歯のケアグッズと使い方のヒントのお話をしますね。
歯肉が弱っているな・・・と感じたら。
歯医者さんで歯肉に炎症がありますよと言われたら、歯磨きの方法や磨き方を工夫すると同時に、歯ブラシの見直しをしてみましょう。炎症が起きている時は歯肉はとてもデリケートで傷つきやすいので、普段の歯ブラシが硬めだと刺激が強く感じられると思います。
まずは、歯ブラシの毛がソフトなタイプを選ぶと刺激にならずに済むでしょう。また、歯と歯肉の境目にそっと毛先をなじませながら入れて力の加減も優しく。目安としては自分の爪の甘皮部分に歯ブラシの毛先をあてみて、こすれても痛くないくらいの程度がちょうど良いと思います。
歯ブラシ一本ですべてをまかなうなかれ。オトナはデンタルツールを使いこなそう!
どんなに高価で素晴らしい歯ブラシでも届かない場所。それは歯と歯の間です。歯間は緊密にくっついていて唾液すら通過しません。虫歯や歯周病の菌も滞留するのでダメージを最も受けやすい場所なのです。でもそのことを理解して、抑える術を実践すれば、ダメージの回避に繋がります。
デンタルフロスを使うと90%近くまで歯垢除去率が上がる⤴!
なかなか馴染みにくいと言われているデンタルフロス。
ドラッグストアに行くと種類も豊富だし、まあどれも同じかなと購入したけどなんだか使いにくいし、歯の間に上手く入らないから諦めてしまった・・・なんて声をよく耳にします。確かに製品によってはきしんだようなフロスの違和感がある物もありますよね。また人の歯や口中の状態はそれぞれ違いますから、他人のオススメも参考にできない場合もあります。
ワックスでコーティングしてあるフロスや、リボンみたいな糸の物などが比較的、馴染みがよく、歯間にすっと入りすっと抜けやすくなると思います。
そして、フロスを使いこなすポイントは長さ!! 長さに注目してくださいね!
チビチビ短いと使いにくく、歯の間を通しづらくなってしまいますから、フロスは長めにカットすること。目安は指から肘よりも少し長めに。奥歯付近は指だけでなく手も使ってフロスしますので長さはマストです。
同時に歯石が溜まりやすい下の前歯の裏側もフロスを巻き付けて汚れ落としが出来るようになると、歯石も付きにくくなるので歯周病のリスクが下がります。
日常生活の中でフロスを使うタイミングが難しいという声もありますが、夜歯磨きの仕上げにデンタルフロスを使ってください。歯ブラシでは取り切れなかった汚れを確認できますし、唾液の通り道を作ることで虫歯や歯周病の発生を抑えられていきます。
歯肉よりの隙間には歯間ブラシを使いたいけれど・・・
オトナが使いたいデンタルツールに歯間ブラシがありますね。
歯肉よりに近い三角地帯のような小さな空隙も食べかす汚れが滞留しやすい場所です。一日一回は歯間ブラシを通過させて風通しを良くしたい場所でもありますね。
ただし、この三角地帯は歯肉に接近しているいわゆるデリケートゾーン。ゴシゴシと力任せに擦りすぎると歯肉が退縮しますのでご注意ください。
これ意外と真面目にデンタルケアする人に多く見られる落とし穴なんです。私の患者さんにも時々いらっしゃいますが、デンタルチェックの時に下の前歯の間に大きな空隙が出来ていたので、よくよく聞くと毎晩かなりの力とサイズの合わない歯間ブラシでゴシゴシとこすっていたとのことでした。
下の前歯付近の歯肉は薄くてとてもデリケートですので、摩擦に弱く、極度の刺激を繰り返すと下がってきます。しかも歯肉は一度下がると中々戻らない性質があるのです。
下がってしまった歯肉をさらに追いつづけると歯根が露出してきます。これが知覚過敏症状を呼び込んでしまいます。
歯根には硬くて丈夫なエナメル質が無く、柔らかな象牙質。摩擦に弱いだけでなく、虫歯菌にも弱いので、お手入れがさらに難しくなってしまいます。
歯肉はしつこくきつく追えば追うほど逃げていく・・・惚れた?オトコ?と認識しておいてくださいませ。
歯間ブラシは細いサイズから、空隙が大きい時にも使えるサイズまでありますから、自分に合うサイズを使ってください。
ちなみにアワエイジ世代なら一番細いサイズで十分だと思います。
また、歯間ブラシを歯と歯肉の間に入れたら、ゴシゴシと何回もこすらずにスッと通過させて終えましょう。
一度通過させるくらいで良いと思います。しつこく追わないことです。
慣れるまで鏡を見ながらやってみてください。ミラーチェックで歯肉や歯のチェックがしっかりと出来ます。
口の中は硬質な歯やデリケートな歯肉、汚れが滞留するゾーンで複雑です。
若いころと同じ感覚で力いっぱい歯磨きしたり、歯ブラシやケア用品も、何気なく選んだり、同じものを使い続けていたりしていると、逆に自分の口の中を自ら痛めてしまいます。
若い時は唾液や免疫力や回復力が勝っていてトラブルを感じないかもしれませんが、オトナ世代は、より賢く自分の口の中をセルフコントロールしていくことによって、自らの体の健康を維持できるのだと思います。
歯ブラシの使い分けやデンタルフロス、歯間ブラシを毎日のケアに加えるとともに、サイズ感や毎日使いたくなるような使用感の良いデンタルケアツールを見つけてください。
これからの5年後、10年後への自分の口の中を守り作っていけるという自信へと繋がっていくことでしょう。
★石井さとこ先生のクリニックは、 ホワイトホワイト(恵比寿店、ルミネ新宿店、ルミネ有楽町店) http://whitewhite.jp/