幸せになりたい~!
でも、幸せってなに?
そんな永遠のテーマを医学から考えていこうと思います。
実は私たちの脳には、たくさんの幸せのホルモンがあって、
それを発揮させるスイッチもあるのです。
それらを上手に生み出せれば、誰でも幸せになれるもの。
そう、幸せは他人が運んでくるものではないのです。
そのスイッチの在りかさえ知れば、ほら、幸せはすぐそばに…。
自分なりのスイッチを探して今日から幸せになりましょう!
寒くなってきましたね。夜のベッドシーツのひんやり加減が眠りの邪魔をする季節、私はいつも以上にお風呂の時間を大事にします。だって入浴は古代ローマの時代から、人々の治療のひとつだったんですから。
漫画の『テルマエ・ロマエ』にもあるように、ローマ帝国では入浴施設と都市の発達が切っても切れない仲でした。富に満ちた階級だけでなく、一般民衆もがこぞって入浴を愉しんでいた様子は、作品にも描かれています。
入浴の効果としては、まずケガを負った兵士の傷をお湯で洗い流して清潔にすることが挙げられるでしょう。なにせ男たちが力で実権を奪い合っていた時代ですから、ケガからの感染で命にかかわる事態に陥ることだってあったはずです。
そして温かいお湯に体ごと浸かることが、免疫にも作用していたといわれています。医学の世界には、古くから“ハイパーサーミア”という概念があるのですが、これは「体温を上げることで癌細胞の増殖を防止しよう」という考え方。その効果は手術や抗癌剤には及ばないものの、治療のひとつの選択肢として捉えられています。
また肩こりや神経痛、関節痛に入浴が効くことは、みなさんも実感済みでしょう。温泉の効能書きに書かれているとおり、日本でも昔から温泉療法は好まれていましたよね。
そうそう余談ですが、体を温める行為は江戸時代から推奨されていました。かつて歴史の授業で習った『慶安のお触書』の一条には、「春と秋にはお灸をして病気にならないようにすること」なんていう、日常に指図する文章まで書かれているから、ちょっと驚きです。
話をお風呂に戻しましょう。
1800年代のオランダ人画家・ゴッホをご存知でしょうか?
ゴッホは、あの、ひまわりの絵をたくさん描いた画家です。自分の耳を切った事件でも有名ですね。一種の精神疾患だったのではないか? という説や、ひどい耳鳴りを患っていたためか? などと言われていますが、真実は闇の中です。
ゴッホの病室
このゴッホが療養していた病院が、南フランスの町に残っています。太陽の光が一年中降り注ぐ南仏が、彼の病の治療場所に選ばれたのは納得できますね。アルルやサンレミド・プロヴァンスに今でも病室があり、観光用展示も見ることができます。
ここで驚くのが、なんと中心となる治療が「入浴」だったということです。効果的な薬もなかった時代、病院では体を温める入浴療法が多用されていたのですね。
数々の歴史に裏付けられるように、お風呂が私たちにもたらしてくれるものは多大です。私はバスタイムの気分をより盛り上げるために、いくつかのマテリアルを使っているのですが、ここでその一部をご紹介しますね。
まずは王道のアロマオイル。たくさんの種類の中から、その日の気分で選びます。ほんの一滴、湯舟にたらすだけでバスルーム全体が幸せに包まれます。
そしてアロマキャンドル。こちらも香りのよさはもちろんのこと、ゆらゆらとした光がまたいい感じです。できれば照明を消して、キャンドルだけで過ごしたい時間ですね。
あとはなんといっても自然の空気と空。バスルームに窓があるならば思い切って窓を開けて、夜空の星を数えながら秋の夜長の長風呂を愉しみたいところ。頭はひんやり、体はホカホカ。頭寒足熱とはよくいったもので、本当に気持ちがいいのですよ。
さて、今回はお風呂にまつわるいくつかのお話をしてきましたが、お風呂好きが高じて、本場のローマ遺跡のスパを体験できるこんなツアーを作ってしまいました。ご興味あるかたはご連絡ください。
真冬のプロヴァンスで、最高の幸せをご一緒しませんか?
写真・文/おおたわ史絵