いし こんにちは。ぐうたらライターいしまるこです。
ハーバード大学医学部根来秀行教授による体内向上プロジェクトの新企画「心臓年齢を若返らせる!」の2回目ですよ。
心臓のことなんて普段まったく気にしていませんでしたが、前回の講義で、心臓に過酷な労働を日々強いていることを自覚して、なんだか申し訳ない気持ちになりました。
根来 こんにちは。根来秀行です。おっしゃる通り、からだって健気なんです。そして、本当によくできているでしょ。
いし そうですよねー。心筋細胞なんて130年くらいはもつんでしょ。
タフな細胞ですね!
…と、ここで突然ですが根来先生の近況をご報告。今はアメリカにいらっしゃいます。
相当寒そうですね。顔に寒さが表れています。
「後ろに写っているのは、僕が勤めている、brigham&women’s hospital(ハーバード大学医学部の附属病院みたいな病院)です」
根来 話を戻して、心筋細胞はタフではありますが、数は少しずつ減っていくんですよ。
いし 減っちゃうのかあ。
根来 はい。加齢とともに毛細血管の量が減ると、心臓に行く血液も減ってきて、酸素や栄養が不足し、脱落していく心筋細胞が出てくるんです。
それを補うために、残りの心筋細胞が大きくなって、心筋への圧を軽減させようとがんばる。そのため心臓は若干拡大し、心臓の壁が厚くなり、心房や心室が少しずつ大きくなる傾向にあります。
いし 心肥大ってことですか?
根来 はい。働きが悪くなった心臓を自らリモデリングするわけです。
しかし、しだいに対応しきれなくなり、心筋はだんだん柔軟さを失い硬くなり、血液を循環させる心臓のポンプ機能も低下します。
それでも、ほかに問題がなければ、致命的なことにはならないんです。
いし さすがに丈夫にできているんですね。
では、心臓のいちばんのネックはなんですか?
根来 なんといっても冠動脈ですね。
心臓が元気に働くには、心臓そのものにも酸素や栄養が必要です。
そのため心臓には自身を養うための血管が備わっています。その血管は花冠のように心臓の表面をとりまいているため「冠動脈」と呼ばれているのです。
いし 心筋に酸素や栄養を送っているのは、心臓の中を流れている大量の血液ではなく、心臓の外側を走っている冠動脈から送られる血液なんですね。
根来 その通り。冠動脈は、いわば心臓の生命線です。
加齢や生活習慣によって冠動脈の動脈硬化が進み、心臓への血流が滞ると、心筋が血液不足に陥ってしまいます。
それによって、心筋が必要とする酸素や栄養が足りなくなり、心臓のポンプ機能に異常が生じる「虚血性心疾患」を招いてしまうのです。
いし 虚血性心疾患というのは、狭心症や心筋梗塞の総称ですよね?
根来 はい。虚血性心疾患にかかると、一気に突然死のリスクが高まります。
いし 突然死怖い〜。
根来 次回は、心臓病による突然死を防ぐためのアドバイスをいたしましょう。
いし これは見逃せない!
それではみなさん、今日も素敵な1日を!
次回は、「心臓病による突然死を防ぐには?」です。お楽しみに!
取材・文/石丸久美子 撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン