抗酸化パワー、デトックス、免疫力アップ!
髙橋 弘先生に教わる
ファイトケミカルの効用ととり方
「ファイトケミカル」って知っていますか? 抗酸化作用をはじめ、OurAge世代の美容と健康に役立つ機能性成分です。
代表的なものに、赤ワインの「アントシアニン」、緑茶の「カテキン」、大豆の「イソフラボン」などがありますが、実はまだよく知られていないものもたくさんあります。しっかりチェックして、そのうれしい効果をぜひ、手に入れてください!
OurAge世代にうれしい7つの効果
前回は、「ファイトケミカル」がどのような成分で、どんな効用があるかなどを髙橋先生に教えていただきました。
あなたが手に入れたい効果は、何の野菜に含まれている、どんなファイトケミカルですか?
今回は、代表的な7つの効果についてご紹介します。このほか、がん予防、ストレス緩和作用などの効果が高いファイトケミカルもあります。
1.抗酸化作用
もともと人間には活性酸素を抑える力がありますが、加齢などによりその力が低下すると過剰に増え、病気や老化の原因に。そして、たまった活性酸素はより毒性の強いものに変化します。
人間は一般的な活性酸素「スーパーオキシド」や「過酸化水素」は分解できますが、より強力な「一重項酸素」や「ヒドロキシルラジカル」は分解できません。これらの強力な活性酸素を消去する力を持つのは、赤ワインに含まれるアントシアニン、お茶に含まれるカテキンのほか、にんじんやかぼちゃに含まれるβ-カロテン、にんにくのアリシンやアホエン、玉ねぎや長ねぎのイソアリシンなどです。
2.デトックス作用
体にたまった不要なものを分解して外に出すのがデトックス。デトックスというと一般に、汗や尿を通じて「体内の不要物を排泄する」というイメージが強いですが、排出の前に「有害物質を無毒化して水に溶けやすくすること」がまず重要です。
薬物や食品添加物、農薬、空気中の大気汚染物質など、体内に入った有害物質は肝臓の酵素で2段階に分けて代謝されます。
うこんに含まれるクルクミン、ブロッコリーやキャベツに含まれるイソチオシアネート、にんにくのアリシンには、2段階目の解毒酵素の遺伝子を活性化して、解毒酵素を増やす働きがあります。
3.血管の老化予防
血管の老化現象といえば、血管が硬くなる、動脈内にさまざまな物質が沈着して血管が狭くなる、血栓ができやすくなるなど。こうした状態は、重篤な病気の原因となるほか、日々の不調を引き起こし、美容にも悪影響を及ぼします。
トマトに含まれるリコピンや紅茶に含まれるテアフラビン、ごま油に含まれるセサモリンやセサミノール、赤ワインに含まれるレスベラトロールやアントシアニン、にんにくのアリシンは、血液中の悪玉コレステロールの酸化を防ぎます。
玉ねぎの皮に多く含まれるケルセチン、わさびや大根、キャベツに含まれるアリルイソチオシアネートには血液サラサラ効果が!
4.免疫力を高める
病原菌や毒素などの異物を排除して、健康を守るのが免疫力。そして、「免疫力を高める」とは、血液中などの免疫細胞の活性を高めることです。ファイトケミカルには、免疫細胞を活性化する働きを持つものが多くあります。
例えば、にんにくのアリシンは外からの侵入者を見つけて攻撃する役割を持つNK細胞を活性化。しょうがに含まれるジンゲロールは白血球を増加させて免疫力を強化します。
そのほか、かぼちゃやにんじんに含まれるβ-カロテン、きのこ類に含まれるβ-グルカン、海藻類に含まれるフコイダンにも免疫細胞の働きを高める力があります。
5.骨の老化予防
閉経後、女性ホルモンの分泌は急激に減少します。女性ホルモンには骨の健康を保つ働きがあるので、その分泌が減ることで骨密度が低下。骨粗しょう症になると、骨折やロコモティブシンドロームに陥るリスクが高まります。
骨粗しょう症予防に役立つファイトケミカルには、大豆に含まれるイソフラボンをはじめ、にらやブロッコリーに含まれるケンペロールなどがあります。
6.目の老化予防
疲れや老化に伴う、さまざまな目の不調をやわらげるファイトケミカルもあります。
ブルーベリーや赤ワインに含まれるアントシアニンには、眼精疲労を解消する働きが。ほうれん草やケールに含まれるルテインや、とうもろこしに含まれるゼアキサンチンは加齢黄斑変性や白内障の改善に役立ちます。
温州みかんに含まれるβ-クリプトキサンチンは老化による視力低下を予防します。
7.脳の活性化
人間の脳は加齢とともに老化し、記憶力や運動における反射能力なども、一般に低下していきます。
脳の活性化が認められているファイトケミカルには、いちごに含まれるフィセチン、紅茶やウーロン茶に含まれるテアフラビン、赤ワインに含まれるレスベラトロール、ローズマリーに含まれるカルノシン酸、玄米やコーヒーに含まれるフェルラ酸などがあります。
次回は、「ファイトケミカル」を効率的に摂取するための方法をご紹介します。
撮影/板野賢治 構成・原文/瀬戸由美子