体重60㎏の場合、立ったり、歩いたり、日常の生活の中で
股関節に何㎏くらいの負荷がかかっていると思いますか?
股関節にかかる負荷について中村格子先生にお聞きしました。
股関節への最大の負荷は「体重」
股関節が滑らかに動くためには、骨頭を受け止める臼蓋や、
クッションになっている軟骨が、健全に保たれていなければなりません。
でも、股関節にはつねに体重の何倍もの負荷がかかるため、
長い間には軟骨がすり減ったり、傷ついて炎症を起こしたり…。
股関節痛の多くはそれが原因とされます。
「股関節への最大の負荷は、体重です。
肥満は股関節トラブルのれっきとした原因のひとつ。
痩せただけで負荷が減るんですよ。
ただ、いくら痩せていても、よくない体の使い方をしていては同じ。
ポイントは均等に体重をかけること。
荷重を分散させて1㎠あたりの負荷をいかに減らすか。
それが股関節を若く保つことにつながります」
なるほど、姿勢や動作、歩き方なども股関節に影響するということですね!
●股関節にかかる負荷は膝よりもずっと大きい!
ランニングなどでは、よく膝にかかる負荷が問題視されますが、
常に膝よりも負荷がかかっているのは股関節。
立っているだけでも全体重を受け止めています。
例えば、体重60㎏の人では、以下のような負荷が!
●立っているとき
体重の0.6~1倍(36~60㎏)
●歩いているとき
体重の3~4.5倍(180~270㎏)
●階段の昇降
体重の6.2~8.7倍(370~520㎏)
●ジョギング
体重の4~5倍(240~300㎏)
●女性に多い股関節への負担とは…
股関節にとって子育ては、かなり大きな負荷。
大きくなっても抱っこ癖のついている親子は要注意。
また、重い荷物を片方の肩にかけて持つ習慣のある人は、
両方で持てるようにしたり、リュックに替えたい。
そして何と言っても、負荷のナンバーワンは体重そのもの。
太っている人はそれだけで他の人より股関節に負担をかけていることに!
●悪い姿勢や左右差のある生活習慣が
じわじわと股関節を傷める原因に
股関節への荷重でいちばん大切なことは、
どれだけ均等に体重を分散してのせられるかということ。
左右どちらかに全体重をかけることはもちろん、
一部に負荷が集中することは、股関節を早く傷めることに…。
次回は、股関節の動きに大きく関わる「筋肉」についてです。
撮影/小山志麻 矢部ひとみ ヘア&メイク/木村三喜
構成・原文/蓮見則子