「ロコモにならない宣言」
いつまでも美しい姿勢で、元気よく歩くために!
転ばぬ先の「美骨レッスン」
あなたは、自分の命が果てるそのときまで、元気でいる自信がありますか? 女性の平均寿命は今、86歳。でも健康寿命と呼ばれる「日常生活に制限のない期間」は、そこからマイナス13歳ともいわれています。
ロコモティブシンドローム(=運動器症候群)になると、要介護や寝たきりの生活に突入するスピードが加速。自分が思い描く人生を最後まで全うするためには、足腰の骨を衰えさせないように、OurAge世代からの生活を見直すことが重要です。
さあ、強くて美しい骨を手に入れるために、レッスン開始!
骨粗しょう症にならないための骨の健康基礎知識Q&A
今まで骨の健康について考えたことがありますか? 意外と知らない骨に関する基礎知識。
前回に続き、知られざる機能や役割をはじめ、骨の構造や骨質低下の原因など、骨粗しょう症にならないために、知っておきたい疑問に細井孝之先生が答えます。
Q4
骨の強さは何で決まるのですか?
骨の健康を測定するのに、よく耳にするのが骨量(骨密度)ですが、骨の強さはそれだけでなく、骨質も関係しています。骨量は骨にどれだけカルシウムが詰まっているか。これに対して、骨質を左右するのはタンパク質の劣化度。骨の強さはこのふたつで決まります。
最近は〝骨質劣化型〞の骨粗しょう症も増えていて、同じ骨量同士で比べると、骨折のリスクが約1.5〜2倍に高まると言われています。つまり、骨量があるのに、骨折しやすい状態。そのため、骨質劣化型が疑われる場合、治療開始のタイミングを少し早める必要があります。
Q5
骨質が低下する原因は何ですか?
骨の構造はよく鉄筋コンクリートにたとえられます。鉄骨部分はコラーゲンの繊維の束で、その間を埋めるコンクリートがカルシウムです。さらに鉄骨を支えている架橋があり、ここが劣化すると骨質が低下します。
その劣化の原因は酸化ストレス、糖化にかかわるAGEs(終末糖化産物)、ホモシステイン(アミノ酸の一種)。糖尿病、慢性腎不全、関節リウマチなどの疾病やビタミンKの不足でも起こります。コラーゲンの束を支える架橋が劣化すると、骨がもろくなるので骨折しやすくなります。Q4で触れましたが、これが〝骨質劣化型〞骨粗しょう症です。
Q6
骨が弱るとどんなことが起きるのでしょうか?
誰でも年齢とともに骨量は減少しますが、そのスピードには個人差があります。それを決めるのは、遺伝的要因と環境的要因(生活習慣因子)で、生活習慣次第で骨量減少を遅らせることができます。
骨量が減り、一定以下になると骨粗しょう症と診断されます。骨がもろくなり、ちょっとしたことで転倒や骨折をすることも。椎骨の圧迫骨折もよくある症状で、こうなると背中が丸くなり、胸や腹部が圧迫されるため、呼吸器や消化器にも影響します。痛みが出たり、動きが制限されるため、寝たきりの原因に。今から生活習慣を改善して、予防することが大切です。
●骨折しやすい部位
転倒時に手首(1)、腕の付け根(2)、太ももの付け根(3)などを、また、重いものを持った瞬間に腰椎(4)を傷めたり、圧迫骨折することがよくあります
●骨粗しょう症による圧迫骨折
自分の体重を支えられずに、背骨を構成する椎骨が圧迫骨折を起こすことも。楕円の部分が押しつぶされて、変形しています資料提供/細井孝之
次回から3回に分け、骨粗しょう症の予防策と改善法について、細井先生に教えていただきます。
撮影/小山志麻(細井先生) イラスト/かくたりかこ 取材・原文/山村浩子