糖質制限実践中の素敵女医・杉野宏子先生、飛嶋佐斗子先生と
アンチエイジングドクター・青木晃先生が糖質制限の効果、方法、注意点を大激論!
後編では、杉野先生、飛嶋先生の糖質制限に対する心がけを
さらに詳しく披露していただきます。
安価で、安全で、継続できることが大切
青木 糖質の質も重要ですからね。
例えば、精製糖が大量に入ったお菓子を食べているような若い女性には、
反応性低血糖の人が多いです。
飛嶋 人工甘味料や、ジュースに入っているブドウ糖果糖液糖
(デンプンを原料にした糖)も避けたほうがいい。
青木 そう、人工のものはダメ。
同じ甘味でも、はちみつや三温糖など、素材に近いもののほうがいいです。
飛嶋 私の場合は一人暮らしなので、家では鍋にすることが多いです。
うどんは食べませんし、そばも十割そばのみ。
パンが食べたいときは全粒粉を選び、お肉と野菜を多めにいただきます。
あと、糖代謝を測る検査を受けたのですが、私は高くて。
「大好きなワインが毎日飲める!」と喜びました。
青木 ワインは糖質が少ないですよ。
シャンパーニュと甘口のワイン以外は気にする必要はありません。
赤も白も辛口なら、グラスで2〜3杯飲んでも1gないから。
人生、食の楽しみもないとつまらなくなってしまう。
飛嶋 スイーツも極力食べないようにしていますが、
どうしても食べたいときは食べちゃいます(笑)。
あと日本料理の中でも、京料理は砂糖の量が多めなんですよ。
なので外ではイタリアンかフレンチを選び、パスタ少なめでパンは食べないようにしています。
青木 ケトジェニックダイエットは良質な牛の赤身肉を食べることを軸にしていますが、
糖質制限をする場合、僕は赤身肉だけにこだわる必要はないと思っています。
鶏肉でも豚肉でもいい。
あとは青魚もおすすめ。必須脂肪酸のDHAやEPAが含まれていますから。
杉野 質のいい牛肉は高価なので、そうそう買っていられませんし。
青木 安い合成肉や豚バラなどではなく、質のいい赤身肉を食べなくてはならないため、
確実にエンゲル係数は高くなりますね。
ただサーロインや豚バラなど、サシが入ったり脂身が多い肉には動脈硬化を招くリスクがあるので、
そこは気をつける必要があります。
僕は「内科のアンチエイジングは、安価で、安全で、継続できることが大切」と考えています。
だから、まずは白い砂糖を減らしましょう。
時々精製米の量を減らして、雑穀米や玄米など、体によくて血糖値を上げにくいものにしましょうと。
読者の皆さんには、自身の体に合わせた、バランスのいい食生活を心がけていただきたいと思います。
杉野宏子さん Hiroko Sugino
58歳・形成外科・美容外科・美容皮膚科
青山エルクリニック院長・日本アンチエイジングフード協会理事
喘息と潰瘍性大腸炎の持病(どちらも炎症性疾患)をきっかけに糖質制限を開始。
糖質を控えることで体の糖化、炎症を抑えています。
「糖質制限は、シンプルに素材の味を生かすメニューにすると
料理が楽になります。食事はバランスが大切。
乳酸菌をとる場合もヨーグルトのみを食べるのではなく、
納豆や漬け物もといったように、複数から摂取するのがベターです」
青木 晃さん Akira Aoki
53歳・日本抗加齢医学会専門医
横浜クリニック院長
防衛医大、東大医学部付属病院などで、
内分泌・代謝内科、腫瘍内科の臨床研究に従事。
「老化が病気を引き起こす」という観点より、
早くからアンチエイジング(抗加齢)医学のフィールドで活躍しています。
「糖質制限は、炭水化物さえ食べなければいいというわけではありません。
タンパク質や野菜、脂質の摂取も必要です。
もちろん食べる楽しみも大切にしてください」
飛嶋佐斗子さん Satoko Tobishima
47歳・美容外科・美容皮膚科
ロココ美容外科院長
子宮内膜増殖症(前がん状態)の治療によるむくみ対策と、
がん細胞の増殖防止(がん細胞は糖を栄養に増殖する)のため
糖質制限を実践中。
「糖質制限メニューとして、野菜の蒸し焼き
(玉ねぎ・パプリカ・なす・ズッキーニなど)にBIOのオリーブオイルと
岩塩(ローズソルト)をかけて食べると、
ミネラルだけでなく、有害ミネラルの排除に必要なケイ素と硫黄も摂取できます」
撮影/森山竜男
取材・原文/上田恵子