脚が曲がってきた⁉
大人のO脚には要注意
45歳を過ぎたあたりから、O脚がひどくなった、膝に違和感を覚えることが増えた…という人はいませんか?
そんな大人のO脚を放っておくのは禁物です!
OurAge世代になるとO脚がひどくなるのはなぜ?
歩ける脚や膝をキープするための基礎知識
本当のO脚とは? O脚が進む原因と進んだことによるリスクとは?
今回は、一生、健脚で過ごすために、今、知っておきたい膝関節に関する基礎知識を整形外科医の高井信朗先生に解説していただきます!
O脚が進む原因
膝関節のクッション役を果たす関節軟骨が、加齢などで劣化。これに運動不足によるそのまわりを支える筋力の低下や、女性ホルモン減少によって骨が弱くなることなどが加わり、膝への負担が増すことが原因です。
O脚の人は将来
ロコモになりやすい!
「実は人間の多くはO脚です。特に女性に多く、膝の老化が加速するのは40代からです」とは、日本医科大学整形外科教授の高井信朗先生。
正常な膝では、力を入れれば左右の膝がつきます。これが力を入れてもつかないものが、一般的にO脚と思われていますが、骨盤の幅や肉のつき具合、姿勢によってもつかないことがあるので、一概に断定はできないそう。
「例えば、骨盤が広い人なら、脚が真っすぐでも膝がつかない場合もあるし、太ももが太いことで膝がつかないこともある。膝はつくけれど、X脚になっている場合もあります。膝がつくかどうかだけでは、なかなか判断が難しい現状があります」
見分ける簡単な方法は、脚の付け根の中央と足首の中央を線で結んだとき、膝が外側に寄っているのがO脚です。
「正常な下肢アライメントでは、膝関節にかかる荷重は内側と外側が6対4の割合です。ところがO脚の場合は7対3というように、膝の内側にかかる荷重が増加します。こうなると膝に偏った負荷がかかることになります」
膝関節には関節軟骨があり、これがクッション役として、衝撃を吸収したり、関節を滑らかに動かす役割を果たしています。
「ところが、関節軟骨を構成するコラーゲンは、年齢とともに老化して薄くなっていきます。さらに筋力が衰えることで、軟骨への衝撃が増します。特にO脚の人は、膝の内側にかかる荷重の割合が多いので、関節軟骨が偏ってすり減ることになります」
これに骨自体の老化が重なり、さらにO脚が進むことに。これを放置しておくと、やがて変形性膝関節症になり、膝が痛くて歩行が困難になることも。
「最初の症状はスターティングペインという、歩き出して最初の4〜5歩だけ膝が痛むケースです。この症状がある場合には、将来、変形性膝関節症になる確率が高いので注意が必要です」
たかがO脚と侮るなかれ! 実は将来、ロコモティブシンドロームになるリスクを抱えているのです。
■こんなニセO脚も!■
一般的に左右の膝が、力を入れてもつかないと、O脚と思いがちです。しかし、骨格や肉のつき方、姿勢などが微妙に関係しているので、それだけでは判断できません。中央と左はよくあるニセO脚の例です。
■O脚チェック!■
両膝がつくか? ではなく、脚が変形しているかを確かめましょう。簡単な見分け方は、膝が脚の中央ライン上にあればOK。O脚ぎみの人は、年齢を重ねると変形性膝関節症などになる可能性が高くなります。
膝が一直線上にあればOK!
脚の付け根の中央から、足首の中央を線で結び、その線上に膝の中央がきていたらOK。膝が外にずれていたらO脚ということになります。
■膝にかかる重心の割合■
通常、膝にかかる荷重は、膝の内側と外側が6:4の割合です。しかしO脚だと、より内側への負担が増加して、負荷に偏りが出るため、O脚の人は年齢とともに、さらに膝の変形が進む傾向にあります。
正常な脚は負荷バランスがいい
通常の膝にかかる負荷は、内側と外側が6:4の割合でに分散されます。膝の面積もこの割合なので、これでバランスがとれるようにできています。
O脚は負荷に偏りが出る
O脚の場合はそのバランスがくずれ、膝の内側に、より負担がかかるように。荷重が偏るため、その部分の関節軟骨がすり減りやすくなります。
次回は、O脚やX脚を放っておくことで膝に与える影響や、変形性膝関節症について高井先生に教えていただきます。
撮影/板野賢治 ネイル/木村三喜 モデル/くしまゆうこ
スタイリスト/田内玲子 イラスト/かくたりかこ
構成・原文/山村浩子