素敵女医の間でも注目度が高いHRT。
HRTを実践している皆さんに実感をうかがいました。
HRTの効果で、霧が晴れたような気分に
赤須玲子さん Reiko Akasu
56歳・皮膚科・美容皮膚科
赤須医院
「45歳で閉経し、頭痛、首が回らず吐き気がするほどの
肩コリなどの更年期症状を経験。
頸椎のカーブに軽い異常もあったため、
整形外科で牽引と赤外線の照射を受けるほか、
鍼灸や整骨院にも通いました。
が、症状は劇的に改善したとはいえず、効果も一時的なものでした。
HRT(飲み薬)を始めたのは52歳のときです。
動悸やめまいが現れ、仕事への不安が高まったことがきっかけでしたが、
苦しかった症状がほぼ消失し、
霧が晴れたような気分で生活できるように。
今は、もっと早く始めればよかったと思っています」
低用量ピルとHRTで深刻な更年期症状はなし
坂本紗有見さん Sayumi Sakamoto
54歳・矯正歯科
銀座並木通り坂本矯正歯科クリニック
「私は48歳から51歳まで低用量ピルを、
52歳からHRT(飲み薬)を服用しています。
更年期症状としては、鼻水と舌先のひりひり感のふたつ。
ほかにアスタキサンチン、ココナッツオイルサプリ、
ビタミン&ミネラル、レスベラトロールなどのサプリメントを摂取し、
定期的にケトジェニックダイエットを実践しています。
低用量ピルとHRTを選択した結果、
深刻な不調を経験せずに今日まで来ました。
定期検査は必要ですが、
当人に副作用などの問題がないのなら、
ホルモン補充療法にかなうものはないのではと考えています」
低体温に注意しながら腸環境も整えて
水野寿子さん Hisako Mizuno
52 歳・皮膚科・形成外科
旭川皮フ形成外科クリニック
「28歳で受けた子宮がんの手術後、医原性の更年期症状を発症。
それ以降HRT(最初は合成ホルモン、
後にナチュラルホルモンでの総合的なHRTに変更)を続けてきました。
ホルモンは単なる司令塔で、実際に働くのは栄養素です。
その栄養素を吸収するためにも、
まず腸環境の整備が重要になります。
さらに、さまざまな酵素反応を促進するには適度な温度が必要なので、
HRTの妨げになる低体温には注意してください。
またHRTは、無理なく代謝され、
無毒化される環境が整っていないと、
ホルモン依存性のがんの原因になります。
定期的に自身のホルモン代謝の状態を把握し、
がん化を防ぐためのサプリメントなどの補充と
セットで考えるべきだと思います」
"ばね指"から始まった更年期の症状
稲葉貴子さん Takako Inaba
53歳・内科・循環器科・小児科
林医院
「最初の兆候は49歳のときに経験した〝ばね指〞でした。
起床時に左中指が曲がったまま開かないのです。
同じ時期に不整脈による動悸や、
血圧の上昇も起きました。
肌のハリも失われ、プールで泳いだあといつまでもゴーグルの跡が消えず、
電車の窓に映る自分の老け顔にギョッとしたのもこの頃です。
額の横ジワとほうれい線も深くなりました。
これらはすべてエストロゲンの欠乏によるものだったので、
婦人科の先輩医師に相談し、HRT(飲み薬、ジェル)をスタート。
症状は3カ月ほどで軽減し、
半年でほぼ気にならなくなりました。
肌に関してはボトックスを打つ方法もありますが、
今は『いい表情でいればいいシワができる』と信じて、
笑顔でいるよう心がけています」
更年期には、ホルモンの影響で交感神経と副交感神経のバランスもくずれがちに。
好きな香りの入浴剤を入れたお湯にゆっくりつかり、
副交感神経を優位にさせるという人が多数いました。
撮影/小松勇二 取材・原文/上田恵子