根来先生の教え通り、電磁波からメラトニンを守るため、夜はパソコンに向かわないことに決めたのですが、そのせいで仕事がどんどんたまっていきますよ。
根来 こんにちは、いしまるこさん。それは仕事のスタートが遅いからでは
ないですか?
いし うぐっ。
根来 せっかく早起き習慣が身についてきたのですから、午前中を有効活用したほうがいいですよ。
起床後2〜3時間は、人間の知能も非常に俊敏でクリアな状態に向かっていきます。
午前中の時間帯9時〜12時にかけては、脳が完全に覚醒モードになり集中力がアップするので、判断ミスの許されない仕事は、この時間帯にするといいですよ。
いし 朝から韓流ドラマをだら観してる場合じゃないってことですね!
ただ、午前中体がしゃきっとしなくてついだらだらしてしまうのは、やっぱり眠りが浅いからだと思うんですよね。いつの頃からか、夜中や早朝に目が覚めるようになっちゃって。
根来 一般的に、30代後半頃から眠りが浅くなり、夜中や早朝に目が覚めたりする人が増えますが、これは睡眠の老化現象なんです。主な原因は、眠り誘発ホルモンであるメラトニンの減少のせいです。
いし メラトニンを増やす裏技はないんですか?
根来 メラトニンを増やすには、メラトニンの元となるセロトニンの原料
〝トリプトファン〟を増やすのが早道ですよ。
★メラトニンは、脳内の松果体で、トリプトファンというアミノ酸を基にして、セロトニンという神経伝達物質を経て合成されます。ですから、トリプトファンを摂取すれば、間接的にメラトニン産生量を増加させることができるのです。
最近の研究では、女性は男性より脳内セロトニンを産生する能力が低く、トリプトファンが欠乏すると、女性の脳内セロトニン合成は男性の4倍減少することがわかりました。セロトニン不足は慢性頭痛の原因になるとも考えられ、女性で慢性頭痛がある人は、特にトリプトファンを摂るように心掛けましょう。
根来 トリプトファンは体内で合成できない必須アミノ酸のひとつで、
食事で摂取する必要があります。
いし トリプトファンはタンパク質の多い食品に、たくさん含まれている
のですよね?
根来 そうです。牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品、肉、魚、ナッツ類、バナナなどを、毎日の食事にうまく取り入れるといいですね。食べるタイミングはいつでもかまいません。
あと、寝る前に、おなかの右上あたりをしっかり温めるといいですよ。
いし えっ、おなかの右上に何か秘密があるんですか!?
根来 右上腹部あたりには肝臓があるのですが、このあたりを温めることに
よって、肝臓でのトリプトファンの産生が増え、メラトニンの分泌量も増えると考えられるのです。ここに手を当てるだけでも違いますよ。
いし それは簡単! 今晩から肝臓を温めてトリプトファンを増やしちゃお。
根来 それでは皆さん、今日も素敵な1日を!
〈根来教授の睡眠講座・裏技編は次週も続きます。お楽しみに! 〉
取材・文/石丸久美子 撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン