頬のたるみは咬筋(こうきん)の硬直が一因
「頬のたるみはさまざまな要因が重なって起こります。年齢とともに、皮膚のコラーゲンやエラスチン、筋肉などの質が変性&劣化してきます。これにより皮膚や筋肉にハリがなくなります。
さらに、日々の食事による咀嚼(そしゃく)やくいしばりなどで、咬筋やそれをとりまく筋膜が硬直。するとリンパや血液の流れが悪くなり、むくむようになります。ここに重力がかかることで、頬はどんどん下垂していくわけです。
これが日常化すると、頭蓋骨のほぼ中央にあり、さまざまな機能を支えている蝶形骨(ちょうけいこつ)が歪んだり下垂してくることもあります。そしてさらに頬がたるむという悪循環が生まれてしまいます」(木村友泉さん)
※蝶形骨の基礎知識は第9回参照
※蝶形骨の整え方は第10回参照
咬筋をしっかりほぐしてリフトアップ!
「特に最近はくいしばりのある人が多いのか、咀嚼筋の中でも大きな咬筋が硬直し、そのまわりの筋膜が癒着している人がとても多いので、まずはここをしっかりほぐすことが大切です」
ウォーミングアップ
すべてのエクササイズについて言えることですが、最初にウォーミングアップをすると効果がアップします。
グッと歯を嚙みしめたときに、頬が少し盛り上がるところが咬筋です。ここと、側頭筋があるこめかみのあたりを両手のひらで包みます。この状態で手のひらを前後にプルプルと小刻みに揺らして振動させます。これを10秒行います。
手首だけでなく、ひじから上を動かすような要領で、ごく小さく素早く動かすのがポイントです。初めて行う人は目を閉じて、手の振動が肌→筋肉→骨へと伝わっていく感覚を得ることが大切です。
咬筋まわりをほぐす
指の第二関節を使って、咬筋をほぐしていきます。
右手を握ってグーを作り、指の第二関節の部分を右頬の口角の斜め下あたりに当てて、左右に小刻みに揺らします。これを、口角の脇から耳に向って、少しずつ位置をずらしながら、まんべんなく行います。
さらに位置を少し上にずらして、頬骨に沿ったラインも同様に、まんべんなく行います。これを3~5セットほど繰り返して、硬くなった咬筋と癒着してしまった筋膜をしっかりとほぐしていきます。
左頬は左手を使い同様に行います。
【point】
痛みを感じる部分は、筋肉が硬直して筋膜が癒着しているところです。それを探りながら行い、見つけたらそこを重点的にしっかりとほぐしましょう。
【check】
片方(この写真では右側)をほぐしたあとに口を開けて、左右の開けやすさの違いを感じられれば、上手にほぐせています。
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クールダウン
咬筋まわりをさすってクールダウンしていきます。
右手の指をこめかみに当てて、軽く引き上げるようにし、左手で頬骨の上からあごまで優しくなで下ろします。少しずつ位置を変えて、頬全体を行います。
左の頬も同様に。その場合は、左手で頬を押さえて、右手でなで下ろします。
咬筋とそのまわりの筋膜をほぐしたあとにこれを行うことで、リンパや血液が自然に流れるようになります。このクールダウンも重要です。このあと、あご下から耳下に向けて優しくなでると、あごラインもすっきりします。
「頬のたるみを予防するには、日頃酷使している咬筋まわりをほぐすことで、頬の筋肉の柔軟性を保ち、むくみを防止することが大切。一日の終わりのリラックスタイムの習慣にするといいと思います」
【教えていただいた方】

LHJ(Life &Health Joy)代表。薬剤師として勤務するかたわら、リンパケアのインストラクターに。体に負担がなく、効果的な美容・健康法であるリンパケアの普及に取り組んでいる。テレビ、ラジオ、講演などで活躍。著書に『60歳からのリンパケア入門』(宝島社)、『1日10分でどんどん若返る! 一生使える若返りリンパケア』(三空出版)など多数。
撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子