本誌にて好評連載中の「S-Joy~素敵女医~」シリーズ。
『MyAge 2015 Autumn/Winter号』の「体が悲鳴を上げたとき、素敵女医の駆け込みプレイスはここ!」にもご登場いただいている、「青山エルクリニック」の杉野宏子院長にお話をうかがうこの連載。
今回は「ビタミンD」について解説していただきます。
こんにちは、杉野宏子です。
みなさんはビタミンDについて、どのくらいの情報をお持ちでしょうか?
柑橘系の果物に多く含まれるビタミンCなどに比べると、ちょっとマイナーなイメージがあるかもしれませんね。
今年も風邪やインフルエンザが流行っていますが、これらの病気を防ぐには、免疫力を高めることが大切。そこでポイントになってくるのがビタミンDなのです。
ビタミンDの補充方法は2つ。
ひとつは食べ物から摂る方法、もうひとつは日光(紫外線)を浴び、自分自身の皮膚でビタミンDを作る方法です。
ビタミンDはD2~D7まで6種類あり、なかでも人にとって重要なのはD2とD3の2つだと言われています。
・ビタミンD2・・・植物性食品(天日干しシイタケ、きのこ、海藻類など)に含まれている
・ビタミンD3・・・動物性食品(魚肉、肝臓、卵など)、人の皮膚に含まれている
ビタミンDの摂取方法については次回で詳しく説明するとして、まず主な効果についてお話しましょう。
よく知られているのは骨との関係です。
ビタミンDが不足すると小腸や腎臓からのカルシウム吸収がうまくできなくなり、骨や歯の形成が不十分になります。
子供の場合はくる病、成人では骨軟化症を引きおこすとされています。
他にもビタミンDには次のような働きがあります。
・免疫力を向上させ、免疫機能を調整する
・たくさんとることでインフルエンザの発症率を半分くらいに抑えられると言われ、これは予防接種を打つ以上の効果に
・ビタミンDの血中濃度が低いと、食物アレルギーが出やすくなる
・妊娠中にビタミンDをしっかりとると、生まれてくる子供が喘息や皮膚炎にかかりにくくなる
・花粉症の発症を抑える
※毎年症状が出る人は、シーズン前にビタミンDのサプリメントを飲み始めるのがおすすめ
・がんの予防・治療。免疫を正常の方向に向けるほか、女性に多い大腸がん・乳がん・卵巣がんに特に効果があるとされている
・多発性硬化症の予防・治療
※脳や脊髄に多発性の硬い病巣がみられ、発症しては治ることを繰り返す疾患。しびれや感覚低下、手足の脱力、歩行障害、しゃべりにくい、飲み込みにくい、視力低下、物が二重に見える、排尿障害など、さまざまな神経症状が出る
・抑うつ症状の予防・治療
※冬になると気分が落ち込む人がいますが(冬季うつ)、これは日照不足でビタミンDが減少するために起こるのではと言われています
・糖尿病・血管系・神経系の病気の予防・治療
以上のように、ビタミンDは私たちの心身の健康に欠かせないものです。
特に今の季節、そしてMy Age世代の女性には積極的に摂ってほしい栄養素のひとつだと言えます。
次回も引き続き、ビタミンDについてご紹介します。
杉野先生のアンチエイジングジュースのレシピは、次ページに!
◆杉野先生おすすめのアンチエイジングジュース
<おなかすっきりジュース>
材料:2人分
ルバーブ 1本
セロリ 1本
リンゴ 半個
生ラズベリー 10粒
炒りゴマ 大さじ1
エゴマ油 大さじ1
ターメリック、シナモン、クローブ、カルダモン 各少々
プロテイン 大さじ1
水 150ml
ルバーブの和名は“ショクヨウダイオウ”。
そのままでは酸っぱいので、よくジャムにして食べられます。
ダイオウは漢方薬としても使われ、お通じを良くする作用で有名です。
くれぐれも入れ過ぎには注意してください。
<風邪予防のジュース>
材料:2人分
キウイ 1個
セルバチコ 5,6本
パセリ 半束
セロリ 1本
炒りゴマ 大さじ1
ターメリック、シナモン、クローブ、カルダモン 各少々
エゴマ油 大さじ1
水 150ml
セルバチコは菊の葉の様な形をしているイタリア野菜で、ワイルドルッコラと称されるほど香り高いものです。
風邪を予防するために、ビタミンA・Cの多いパセリをたっぷり入れました。
写真/杉野宏子 取材・文/上田恵子