いし こんにちは、ぐうたらライターのいしまるこです。
胃腸にまつわるさまざまなウワサを根来教授に検証していただいておりますが、今回は、「胃もたれするときは食べるべきか否か?」 について伺います。
いしまるこの場合、食いしん坊なのでついつい食べ過ぎてしまうんですが、最近胃がもたれやすくて、翌朝、食欲がないことがままあるんですよね〜。
根来 アワエイジ世代でそういう相談は多いのですが、胃もたれしていても、原則は三食規則正しく食べることをすすめます。
いし そうなんですか?
根来 はい。というのも、胃もたれの多くは、不規則な食事などによる、体内リズムの乱れからくるんです。
いし そういえば、以前、体内時計は食事によって調節される(アンチエイジングホルモン講座 第8回)って習いました。
根来 もちろん、下痢や嘔吐、食欲不振が数日間続くような場合は受診をすすめますよ。けれども多少の胃もたれ程度なら、無理にでも三食規則正しく食べるほうが回復は早いんですよ。
いし でも、そもそも朝食は胃を休めるために食べないほうがいいという説もあるんですけどー。
根来 朝食を抜くと12時間近く絶食が続き、体内時計が乱れますよ。
また朝の便意は、空っぽの胃に食べ物が入ってくることがシグナルとなり、腸が刺激されて起こります。
フルーツ、サラダ、ヨーグルト、スープなど、少しずつでもいいので朝食をとるようにすると、お通じがスムーズになりますよ。
次ページでは消化を助ける酵素についてご紹介!
いし では胃もたれを予防するには何に気をつければいいですか?
根来 ゆっくりよく噛んで食べることが大切ですね。
せかせか食べると胃粘膜から分泌されるはずの消化酵素が出ないので、消化活動によくありません。30回以上噛むと、唾液腺からSOD(スーパーオキシドディスミュターゼ)という抗酸化力を高める酵素が出て、胃腸に対する負担を減らしてくれます。
いし 胃の不調を訴えると、ピロリ菌の検査をすすめる医師も多いですね。ピロリ菌って、名前はかわいいけれど、どんな菌なんですか?
根来 ピロリ菌は1984年に人の胃から発見された細菌で、多くは幼少期に飲み物や食べ物から感染します。胃粘膜に住み着き、増殖すると胃炎を引き起こし、病気につながることもあります。
2013年からは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍だけでなく、慢性胃炎にもピロリ菌除菌治療の健康保険が適用になりました。
いし ピロリ菌がみつかったら除菌したほうがいいんですか?
根来 ピロリ菌がたくさんみつかった場合、胃粘膜細胞に有害な影響を与えてしまう可能性は高くなるので、除菌も有効かもしれません。ただ、中には薬が効かず除菌ができないケースもあるんですよ。
いし そうみたいですね。副作用も心配だなあ。
根来 強力な抗生物質を使うため、下痢や味覚障害、逆流性食道炎などの副作用も報告されています。まだ新しい治療法なので、レーシックと同じでこれからデータが蓄積して、より正しいことがわかってくると思います。
除菌によるリスクも理解したうえで、ひとつの選択肢として慎重に検討されるとよいでしょう。
いし 除菌自体の胃への負担も考慮して、選択するってことですね。
根来 それではみなさん、今日も素敵な1日を!
取材・文/石丸久美子 撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン