美腸ケア5
腸にまつわる ウソorホント
今までどこかで聞きかじった、腸に関する知識。
本当はどうなの?
ここでは、腸の専門家お二人に腸にまつわる話のウソorホントについて確認。Q&A方式でご紹介します。
今回は、腸の調子が招く体への影響や腸の働きなどについてです。
藤田紘一郎さん Koichiro Fujita
東京医科歯科大学名誉教授、
人間総合科学大学教授
辨野義己さん Yoshimi Benno
理化学研究所イノベーション推進センター
辨野特別研究室特別招聘研究員
Q 小腸の病気は少ないってホント?
ホント
A 新陳代謝が早く、病原菌を撃退する力に優れています。
小腸の粘膜が入れ替わるのは、1~3日に1回。臓器の中で最も早いサイクルで新陳代謝が行われています。そのため、たとえ腫瘍ができたとしても、悪化する前に粘膜が入れ替わるため、がんになりにくいのです。
また侵入した病原菌を退治してくれるリンパ球が、消化器官のなかで最も集中しているのが小腸。病原菌がすみつけない環境になっているため、病気が少ない臓器なのです。
一方、大腸は有害物質が増殖しやすいため、最も病気が多く、がん細胞の発生率もナンバーワンです。(辨野先生)
Q 腸の様子は顔に表れる?
ホント
A 腸の状態はそのまま肌に反映されます!
腸と肌は同じ細胞から生まれています。受精卵は分裂を繰り返し、しばらくするとちくわのような筒状になり、その外側が肌で、内側が腸になるのです。いわば親戚のようなもの。腸も肌も外界と接していて、バリア機能や細胞がターンオーバーするところも似ています。そのため腸と肌は呼応するのかもしれません。
また腸はビタミンB群やKなどの生成にかかわる酵素も作っていて、腸の機能が低下すると、その悪影響がすぐに肌にも表れます。肌あれも肌の老化も、まずは腸のエイジングケアから!(藤田先生)
Q 腸には免疫機能がある?
ホント
A 免疫機能の約6割が腸に集中しています。
腸は外から侵入してくる悪いものを撃退する、免疫機能に大きくかかわっています。それは腸が外界とつながっているから。口から肛門まで、いわばひとつの長いチューブ。腸管は体の中に隠れてはいるものの、外界と接しているのです。そこで腸には、入ってきたものが有害か無害かを判断して、有害なものは排除する機能が備わっています。
免疫力を良好に保つためには、腸内環境を整えることが何より大事。風邪やインフルエンザ、がんもアレルギーの予防も、まずは腸活から!(辨野先生)
次回は、腸内細菌について、宿便はあるのか? など、4つのウソorホントをご紹介します。
撮影/城 健太 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/山村浩子