美腸ケア13
予防できるがんだからこそ、早めの対策が肝心!
大腸がんにならないために、今からできること
近年、女性に増え続けているのが大腸がん。命にもかかわる病気だから、放っておくと危険! 大腸がんについての知識を深め、予防と早期発見を!
ここでは、2回に分けて大腸がんに関する知識や予防法などについて、後藤利夫先生に教えていただきます。
前回に続き2回めの今回は、早期発見のためにするべきことと、自分でできる予防法などについてです。
CASE-4
3年に1度は大腸内視鏡検査を受け早期発見を
前回のCASE-1,2,3でご紹介したように怖い大腸がんですが、実は“早期発見で治る確率が高いがん”でもあるそう。
「大腸がんが生じるもとになるのが大腸ポリープなので、その段階で切除してしまえばいいのです。そのために受けたいのが大腸内視鏡検査です。大腸内視鏡検査は、ポリープの有無を調べ、発見したらその場ですぐ切除します。切除すればがんに進むことはないので、OurAge世代で受けたことがない人は早めに受けることをおすすめします。大腸がんは進行が遅いので、3年に1度程度のペースでも十分です」
大腸内視鏡検査は、事前に腸洗浄液を飲み、便をすべて排泄したあと、肛門から内視鏡を入れて行います。
一般的には大腸に大量の空気を入れて行うため、お腹が張って痛みが出ることもあり、麻酔や鎮静剤を注射して行います。これに対し、後藤先生が考案した「水浸法」は腸に水を入れて行うので、お腹が張らず痛みもないので無麻酔で行うのが特徴。
「大腸内視鏡検査は事前に腸を空にするので、検査後にビフィズス菌などの善玉菌をとれば腸内が一気に善玉菌優勢になるので、便秘改善にも効果的。ぜひ受けてみてください」
【OurAge世代は、こんな大腸の病気にも注意!】
■虚血性大腸炎
なんらかの理由で大腸への血液循環が悪くなり、必要な酸素や栄養分が供給されなくなって炎症や潰瘍が生じる病気。症状は突然の腹痛や下血。便秘だと、詰まった便がまわりの血管を圧迫し、この病気になりやすい
■大腸憩室炎
憩室とは、大腸の壁の薄い部分が外に袋状に飛び出したもので、ここに便が詰まるなどして炎症を起こした状態が大腸憩室炎。症状は腹痛や下痢、便秘などで、炎症が進むと発熱や血便も。40歳以上に多い
自分でできる予防法 ①
動物性タンパク質や脂質のとりすぎを控えて
食物繊維をしっかりとる
大腸がん予防に欠かせないのは食生活の改善。
「まずは肉や脂肪分を控えめにすることが大事。とはいえ、タンパク質をカットしすぎると筋肉が落ち、逆に便秘を招くので適度に補いましょう。善玉菌を増やす、食物繊維の多い食品や、ヨーグルトや味噌、漬け物などの発酵食品をしっかりとることもマスト。
ただし食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、頑固な便秘の人は、不溶性の食物繊維ばかりとると腸内の便の水分が奪われて硬くなり、便秘が悪化することも。まずは便の水分を増やして柔らかくする水溶性食物繊維からとるのがおすすめ。オクラやモロヘイヤ、こんにゃく、海藻類、りんごなどの果物に多く含まれます」
自分でできる予防法②
1日1万歩のウォーキングや腹筋運動で、
腸を鍛えて便秘にならない体づくりを
大腸がんを防ぐには、運動の習慣をつけることも大切です。
「OurAge世代になると、加齢による筋力の低下と運動不足で、腸の筋力低下を招きがちです。腸の筋力不足は、便秘を招き、大腸がんの要因にもつながります。これを防ぐため適度な運動を習慣にしましょう。といっても激しい運動をする必要はありません。
おすすめはウォーキングです。ウォーキングは腸をダイレクトに刺激し、便秘改善に高い効果のあることがわかっています。1日に1万歩歩くと便秘が治るというデータもあるので、なるべく歩く習慣をつけましょう。また、腹筋運動をすると、腹筋だけでなく腸の筋肉も鍛えられるので、こまめに行ってみてください」
撮影/吉川綾子 イラスト/かくたりかこ 取材・文/和田美穂