徹底リポート!
素敵女医的 ホルモンの上手な活用法
ひと口にホルモンと言っても、その構造は複雑。正しく機能させるには、それなりの条件が必要になるのです。
栄養素からデトックスに関する仕組みまで、詳しくご紹介。
エネルギーのもととなる
ビタミンBコンプレックス
私たちの健康維持に不可欠なホルモン。正常に機能させるには、どのような対策を取ればいいのでしょうか。ホルモン治療に詳しい、水野寿子先生に聞きました。
「ホルモンは栄養素から作られ、ホルモン同士は腸内細菌が作る神経伝達物質で会話をします。そして、ホルモンが命令を下す相手は、栄養素で構成された体です。つまり、ホルモンを正常に機能させるためには、①栄養素、②腸内細菌のエサ、③ホルモン剤の3つがバランスよく存在していることが大切になります」
①で特に重要なのは、エネルギーのもととなるビタミンBコンプレックス。ビタミンB群は互いに協力体制のもとに働くため、単体ではなく複合体の“コンプレックス”の形で摂取しなくてはならないそう。②は乳酸菌。自前の腸内細菌が増えれば、それがビタミンB群を作ってくれるため、サプリメントで補う必要もなくなると水野先生は言います。
「そして③のホルモン剤ですが、ホルモン補充療法で一般に使われている合成のホルモン剤は、本来の私たちのホルモンとは似て非なる構造式を有しています。合成のホルモン剤が、しばしばがん化問題とセットにして語られるのは、それをデトックス(解毒)するための酵素を有していないからなのです。本来のホルモンでさえ、代謝のための栄養素が欠けていると、乳がんや子宮体がんを発症しやすくなります。
そんな中、人間と同じ構造式を持ったナチュラルホルモン(正確にはバイオアイデンティカルホルモン)を用いる方法が出てきました。ただ、バイオアイデンティカルホルモンでの治療は保険適用外になるため、続ける際の金銭的負担を考えると、エストロゲンを合成ホルモンに、プロゲステロン(黄体ホルモン)をバイオアイデンティカルホルモンにするのもひとつの選択。エストロゲンは、血栓ができやすくなるなどの副作用を注意すれば、合成でもがん化の不安はないとされているからです(注)」
※注 「NATURAL HORMONE REPLACEMENT」Jonathan V. Wright, M.D. & John Morgenthalerより
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女性ホルモン減少期に大切な、
甲状腺ホルモンとメラトニン
代謝にプロゲステロンの関与が必要とされる甲状腺ホルモンは、更年期を境に激減します。
「不足すると冷え症や中年太り、薄毛を招くため、ぜひとも補充を。やる気・性欲低下、肥満対策には、男性ホルモンと併用すると効果がアップします。また軽い運動も欠かせません。明け方の青色光は、ホルモンの総司令塔であるメラトニンの分泌を促すので、早朝の散歩がおすすめ。
あと、健康の鍵になるのは活性酸素です。活性酸素はさまざまな臓器を損なうので、抗酸化作用のある水素などを用いたデトックスを心がけましょう。デトックスの器官は、おもに肝臓、腎臓、腸管、そして皮膚。肝臓の働きを助けるサプリメントは、デトックスにも有効です」
α-リポ酸やビタミンAも、水素と並ぶ抗酸化物質なので取り入れて。
【What’s S-Joy?】
S-Joyとは、素敵女医(SUTEKI JOI)からのネーミング。Over-45のOurAge世代で、若々しくイキイキと輝いている女性医師たちに、ずっと美しく健康で過ごす秘訣を伝授してもらうシリーズです。美容皮膚科、婦人科、歯科、形成外科など、幅広い科の先生方の専門知識を生かしたアドバイスや、ご本人が実践していることをお伝えします。
撮影/ケビン・チャン 取材・原文/上田恵子