夏休みは久しぶりにイタリアを旅していました。その中で、やっぱりおいしい、帰ったら再現するぞ!と思ったのが、パッパ・アル・ポモドーロ(pappa al pomodoro)。
濃厚なトマトソースで、硬くなったパンを煮込む、トスカーナ料理です。
トマトとパンの煮込み~パッパ・アル・ポモドーロ
パッパ・アル・ポモドーロ。フィレンツェのトラットリアでは、ひとくち口に入れたところで、絶句。たちまちボキャ貧になって、ただただ「おいしいねー、これすごいわー」と。最後はパンにつけて、皿を洗ったのかと思うくらいきれいにさらったあげく、お代わりしたほどです。
帰国してすぐに再現したいと思い、試行錯誤しました。
今日はそれを作りやすくして、ご紹介します。
そもそも、トスカーナのパンは、独特です。パーネ・トスカーノと呼ばれ、トスカーナ州の在来種の小麦を使って手作業で作るなど厳密に作り方が定義され、それを守っているものはDOP=保護原産地呼称をとっています。(特定の地域で決められた伝統的な生産方法を厳守してつくられた食品・農産物を守るための制度)
このパン、塩が入っていないのも特徴。そして外側が厚めで、初めから硬い。割とすぐにナイフの刃が入らないくらい硬くなるのです。
そこですぐ硬くなるパンを美味しく、復活させる料理が生まれました。これもそのひとつ。日本で言えば冷やごはんを美味しく食べるおじやのようなものでしょうか。
なので、家に固くなったバゲットや角食(角型食パン)があったら、それで作るのが大正解です。
そしてトマトをたっぷり使います。
トマトといえばリコピン。その栄養効果は様々知られています。例えば強力な抗酸化力。増えすぎた活性酸素を消去する力があり、紫外線を浴びたあとに引き起こされる肌の赤みが抑制されるという研究報告もあります。今の季節、嬉しいですよね。また、血中の善玉コレステロールの濃度を上昇させるとも言われています。
リコピンには、加熱すると体内に吸収されやすくなるという特徴があるので、その意味でも今回ご紹介する料理はおすすめです。
熱々もおいしいですが、私は冷蔵庫でしっかり冷やして食べるのが好きです。酢で味を引き締め、少し塩はしっかり目にすると、トマトの甘みが際立ちます。
材料(作りやすい分量2~3人分)
トマト:大2個
ミニトマト:20個(できるだけ糖度の高いものを)
*塩:小さじ1
*酢:大さじ2
*白ワイン(または日本酒) :大さじ2
パン:サンドイッチ用2枚(バゲットやカンパーニュなどあれば、嵩が同じくらいならOK)
パルミジャーノレッジャーノ(トッピング用チーズがあればぜひ)
作り方
①ミニトマトは、ヘタを取り、大きめのものは半分に切る。トマト大もヘタを取り、大きめのミニトマトの大きさにざく切りにする。
② ①を鍋に入れて、*を加えて、トマトから水分が出てくるまで10分ほどおく。
③ ②を中火にかけ、ふつふつとわいてきたら火を弱めにして、蓋を閉め、20分ほどコトコト煮る。
④ パンは、できれば30分ほどおいて表面を乾燥させる(すでに硬いパンがあったらそれで)。耳を切り取る。手で細かくちぎる。
⑤ トマトが煮崩れて、ミニトマトはまだ形が残っているような状態になったら、④を入れ、混ぜずに、蓋をして、さらに20分ほど煮る。
⑥ パンも煮崩れたら、崩しながら混ぜて、蓋を開けた状態で、全体の量が約2分の1になるまで煮詰める。
最後にパルミジャーノレッジャーノを削りかけましたが、あればぜひ、ハードタイプのチーズ(粉チーズになったものでも)などをかけると一層味わいが深まります。
温かい状態でもおいしいけれど、そのまま冷まして、冷蔵庫で冷たくして食べるとよりおいしいです。
簡単美味しい一品で、おうちごはんをより楽しく!