豆腐干に豊富な成分は生活習慣病や認知症、肥満の予防に!
「グルテンは小麦などに含まれる2種類のタンパク質が、水を加えてこねることで絡み合ってできる成分です。グルテン自体がすべて悪いわけではありませんが、最近ではとりすぎることで腸内環境を悪化させ、アレルギー症状や肌あれの原因になるともいわれています。
そこで、そのグルテンをできるだけ減らそうという、グルテンフリーの健康法が注目されています」(沼津りえさん)
グルテンフリーの麺には「米が原料のもの」と「豆が原料のもの」があります。(※詳しくは第1回参照)
豆が原料の麺のひとつに、中国料理の前菜などで時々見かける「豆腐干」、「豆腐干糸(カンスー)」があります。これは豆腐の水分を抜いて乾燥させ細切りしたもので、中国や台湾では日常的に食べられています。
「原料が大豆なので植物性タンパク質が豊富。ほかに注目すべき成分は大豆イソフラボンで、これは女性ホルモンであるエストロゲンに似た働きをするといわれています。また認知症予防にもいいとされるレシチン、悪玉コレステロールを減らす効果が期待できるサポニンも含まれます」
通常の担々麺は、小麦と卵の麺と練りごまや油などでかなりカロリーが高くなりますが、この麺なら低糖質でさらに脂質の吸収を抑えるので、罪悪感なく食べられます。豆腐には血流を促進する作用もあるので、太りやすく冷えやすい更年期世代にもうれしい成分がたっぷり。
ザーサイで発酵パワーと食感の楽しさをアップ!
「担々麺は調理が難しそうなイメージがありますが、豆板醤と味噌、豆乳で簡単にそれらしい味になります。豆板醤と味噌の発酵調味料に、具には漬け物のザーサイで食感のよさと発酵の力をプラスして、ヘルシーさを高めました」
豆腐干は癖がなく、麺にスープがいい感じになじんで、軽い感覚で食べられます。
【使用した麺】
冷凍豆腐干(とうふかん)[細切り 短タイプ]
100%豆腐でできたグルテンフリーで低糖質な食材です。クセが少ないので、麺料理のほか、サラダや煮物、あえ物など幅広い料理にアレンジできます。100g 12袋入り(要冷凍)¥2,400/優食
【発酵食ポイント】
豆板醤/原料の唐辛子に含まれている栄養素のカプサイシンには、脂肪燃焼効果と食欲増進効果、動脈硬化を予防する効果が期待できます。
ザーサイ/高菜の仲間である中国原産の野菜の、こぶのようにふくらんだ茎の根元を香辛料などの調味料に漬け込んで発酵させた漬け物です。鉄とカリウムが豊富。鉄分は体内で赤血球中のヘモグロビンになり、全身に酸素を届ける働きをします。女性は月経の経血で定期的に赤血球を失うため、しっかり補給したいミネラル。カリウムは余分な水分や塩分を排出して、むくみの防止や高血圧の改善に役立ちます。
豆腐干(とうふかん)「担々麺」レシピ
【材料(2人前)】
豆腐干:200g(ゆで・2袋分)
チンゲン菜:1株
ごま油:小さじ1
水:200㎖
味噌:大さじ1
無調整豆乳:300㎖
ラー油:適量
<A>
長ねぎ(みじん切り):30g
にんにく・しょうが(各みじん切り):各小さじ1
ザーサイ(みじん切り):15g
<B>
豚ひき肉:100g
豆板醤・コチュジャン:各小さじ1
白すりごま:大さじ1
【作り方】
1 豆腐干は表示時間通りにゆで、チンゲン菜もゆでておく。
2 鍋にごま油を入れてAを炒め、香りが立ったらBを加えてさらにしっかりと炒め、いったん取り出しておく。
3 2の鍋に水を入れて沸騰したら、味噌を溶き入れ、豆乳と1の豆腐干、2の具を加えひと煮立ちさせる。
4 器に盛り、取り出しておいた1のチンゲン菜を盛り、好みでラー油を回しかける。
【料理ポイント】
ザーサイを刻んでひき肉と合わせることで、香りと食感がアップ!
【教えていただいた方】
管理栄養士・調理師・料理教室COOK会主宰。大手食品メーカーに就職後、管理栄養士として妊産婦指導を行う。その後、製菓・製パン専門学校に通いながら、老舗洋食レストランで料理の基礎を徹底的に学ぶ。結婚を機に子育てをしながら料理教室COOK会をスタート。シンプルでおしゃれなレシピに定評があり、各メディアで活躍。管理栄養士の知識を生かして、企業向けのレシピ開発も行う。最近ではYouTubeが好評で、著書に『米粉があれば! パンもおかずもおやつも極上』(主婦の友社)、『母から娘に伝える はじめてのLINEレシピ』(ART NEXT)など多数。
撮影/沼津そうる 取材・文/山村浩子