ほのかな豆の香りがする麺が辛いスープに合う!
「グルテンは小麦などに含まれる2種類のタンパク質が、水を加えてこねることで絡み合ってできる成分です。グルテン自体がすべて悪いわけではありませんが、最近ではとりすぎなどにより腸内環境を悪化させ、アレルギー症状や肌あれの原因になるともいわれています。
そこで、そのグルテンをできるだけ減らそうという、グルテンフリーの健康法が注目されています」(沼津りえさん)
グルテンフリーの麺には「米が原料のもの」と「豆が原料のもの」があります。
(※詳しくは第1回参照)
タイでも麺料理はとてもポピュラー。一般的に米麺(クイッティオ)を使うことが多いようですが、小麦粉を使った中華麺(バミー)や緑豆のデンプンを使った春雨(ウンセン)などもあり、麺の種類はとても豊富です。
「本場の米麺を使ってもグルテンフリーになるのですが、今回は最近注目されている黄えんどう豆で作られた細麺と、手に入りやすい材料でトムヤム風の味を目指しました」
豆の麺はグルテンが含まれないだけでなく、良質な植物性タンパク質や食物繊維の強化、さらに糖質を大幅に減らすことができることが大きな魅力。
「主張の少ない米麺でもいいのですが、ほのかな豆の旨味が感じられる豆麺は、辛さとハーブの香り豊かなパンチのあるスープにとても合います」
エビから出る旨味とレモングラスの爽やかな風味
タイの言葉でトムは煮る、ヤムは混ぜる、クンはエビの意味なので、トムヤムクンは煮込んだエビのスープのことです。
「通常はトムヤムペーストなどを使うことが多いようですが、身近な材料だけで独特な風味を目指しました。ポイントは具の有頭エビを香ばしく焼いていったん取り出し、エビの旨味が残った鍋をそのまま使うことです。さらにスープに干しエビの戻し汁を加えることで、十分においしいだしになります」
さらにレモングラスとココナッツミルクで仕上げることで、アジアン風味がアップ!
レモングラスはインドや熱帯アジアを原産地とするイネ科のハーブ。切り込みを入れたり、もむことでレモンのような香りが出ます。体を温めて、胃腸を整える作用があります。
ココナッツミルクは中鎖脂肪酸が含まれ、体内での消化スピードが速く、脳の働きを活発にするといわれています。美肌効果の高いビタミンEやむくみを予防するカリウムなども豊富なので、美容効果も大!
【使用した麺】
ZENBヌードル(細麺)
原材料は豆100%。黄えんどう豆の薄皮まで丸ごと使っているので、豆の栄養がそのまま! 1食で食物繊維14g(1/2日分以上)、タンパク質は13gがとれ、ご飯やうどん、パスタから置き換えると糖質は30%オフできますす。約1.1mm細麺はツルンとした食感で、そうめんやパスタのカッペリーニ、つけ麺、冷麺など幅広いメニューに応用可能。1袋(4食入り)¥792/ZENB JAPAN
【発酵食ポイント】
ナンプラー/生魚を塩漬けにして発酵させた調味料。アミノ酸やビタミン、ミネラルなど健康と美容に欠かせない栄養の宝庫。そのエキゾチックな風味は少し入れるだけで、とたんにアジアンな味わいに!
酢/有機酸の一種で酢酸やクエン酸が豊富。疲労回復や殺菌作用、食欲増進、血流改善、美肌効果などが期待できます。
【材料(2人分)】
ZENBヌードル 乾麺:160g(2束)
有頭エビ:2尾
マッシュルーム:4個
長ねぎ:30g
にんにく・しょうが(各みじん切り):各小さじ1
粉唐辛子・ラー油:各小さじ1
干しエビ:8g
レモングラス(生でもドライでも可):2本
ココナッツミルク:100ml
ナンプラー:大さじ1 1/2
塩・こしょう:各少々
酢:大さじ1
水:300ml
オリーブオイル:小さじ1
ライム:1/4個
香菜:適量
【作り方】
1 長ねぎは斜め薄切り、マッシュルームは半分に、レモングラスが長ければ半分に切る。干しエビは50mlの湯でもどしてみじん切りにする(※もどし汁は捨てずにとっておく)。麺を表示時間通りにゆでる。
2 鍋にオリーブオイルを入れ、よく水気を拭いた有頭エビを香ばしく焼いて取り出す。
3 ②の鍋にラー油と①の干しエビ、長ねぎとにんにく、しょうがを入れて弱火でよく炒める。
4 ③に粉唐辛子を加えてさらに炒め、マッシュルーム、レモングラスも加えさらに炒める。
5 水と①の干しエビのもどし汁を加え、沸騰したらココナッツミルクを加える。ひと煮立ちしたら、②の有頭エビと①の麺を戻し入れ軽く煮る。
6 ナンプラー、酢、塩、こしょうを加えて味を調える。器に盛ってライムと香菜を添える。ライムは食べるときに搾る。
【料理ポイント】
有頭エビを香ばしく焼くことで、臭みを取り去るとともに、旨味を引き出します。さらに干しエビのもどし汁をスープに加えることで、味に深みが出ます。
【教えていただいた方】
管理栄養士・調理師・料理教室COOK会主宰。大手食品メーカーに就職後、管理栄養士として妊産婦指導を行う。その後、製菓・製パン専門学校に通いながら、老舗洋食レストランで料理の基礎を徹底的に学ぶ。結婚を機に子育てをしながら料理教室COOK会をスタート。シンプルでおしゃれなレシピに定評があり、各メディアで活躍。管理栄養士の知識を生かして、企業向けのレシピ開発も行う。最近ではYouTubeが好評で、著書に『米粉があれば! パンもおかずもおやつも極上』(主婦の友社)、『母から娘に伝える はじめてのLINEレシピ』(ART NEXT)など多数。
撮影/沼津そうる 取材・文/山村浩子