玄米麺で旨味も加わったスタミナ麺
「グルテンは小麦などに含まれる2種類のタンパク質が、水を加えてこねることで絡み合ってできる成分です。グルテン自体がすべて悪いわけではありませんが、最近ではとりすぎなどにより腸内環境を悪化させ、アレルギー症状や肌あれの原因になるともいわれています。
そこで、そのグルテンをできるだけ減らそうという、グルテンフリーの健康法が注目されています」(沼津りえさん)
グルテンフリーの麺には「米が原料のもの」と「豆が原料のもの」があります。
(※詳しくは第1回参照)
本場の韓国冷麺は大きく「平壌冷麺」と「咸興冷麺」の2種類に分かれます。麺の原料が違い、平壌冷麺はそば粉を、咸興冷麺はじゃがいもやさつまいものデンプンを使うのが一般的のようです。
「日本では岩手県盛岡市の『盛岡冷麺』が有名ですが、これは韓国冷麺を日本人になじみがある小麦粉麺などでアレンジしたものといわれています。ツルンとした喉ごしとコシのある食感が大きな特徴です。
今回は国産玄米と北海道の馬鈴薯デンプンだけで作った麺の、もちもちとした食感と喉ごしの良さを生かして、手に入りやすい材料で冷麺風に仕上げました」
玄米は水溶性食物繊維が豊富で、善玉菌のエサになって腸内環境をサポートします。白米に比べてミネラルもたっぷり。低GI食品※なので、食後の血糖値の急上昇を抑えることができます。
※GIはグリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇スピードを示した数値。低いほど血糖値の上昇が緩やかなことになります。
牛肉の煮汁と紹興酒がスープのベース
「冷麺のさっぱり上品なスープの味を出すには、具の牛肉をゆでたときの煮汁を使うのが大きなポイント。これに発酵調味料として使う紹興酒と酢で味わい深いコクを出します。
スープ自体はさっぱりぎみですが、キムチの奥深い辛さがアクセントに! キムチも発酵パワーたっぷりで、豊富な乳酸菌は腸内細菌のバランスを整え、カプサイシンは代謝を高めてくれるので美容・ダイエット効果が大いに期待できます」
【使用した麺】
スーパー麺(平打麺)
原料は宮城県や福井県など有数の米どころで丁寧に育てられた玄米と、北海道の馬鈴薯デンプンだけ。グルテンフリーであるだけでなく、化学調味料、保存料、着色料、食塩不使用。平打ちの麵がもちもちとして、玄米の味わい深さを感じられます。1袋(100g)¥365/ウォンツ
【発酵食ポイント】
キムチ/白菜やにら、イカの塩辛、りんご、しょうが、にんにくなどさまざまな食材を漬けて発酵させるので、まさに栄養素の宝庫。豊富な乳酸菌は腸内環境を整えて、コレステロールの低下、免疫機能を強化します。ビタミンAは皮膚や粘膜、目の健康を保ち、カプサイシンは代謝を上げるので、ダイエット効果も期待できます。にんにくは動脈硬化や中性脂肪の抑制に役立つといわれています。
紹興酒/もち米を長期発酵させるため、その過程で必須アミノ酸やビタミン、リンやマグネシウムといったミネラルも豊富になります。その奥深い味は発酵調味料としても活躍。
【材料(2人分)】
スーパー麺(平打麵):200g(2袋)
牛薄切り肉(しゃぶしゃぶ用):80g
キムチ:50g
ゆで卵:1個(半分に切る)
きゅうり:1/2本
紹興酒:小さじ2
水:300㎖
白いりごま:適量
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塩:小さじ1/4
しょう油・酢:各大さじ1
砂糖:小さじ1
【作り方】
1 きゅうりをせん切りにする。麺を表示時間通りにゆでる。
2 鍋に水を入れて沸かし、沸騰したら紹興酒を加える。牛薄切り肉をさっとゆでていったん取り出し、水気をきる。
3 2の鍋のアクを取り、Aを加えて混ぜて、冷やす。
4 器に1の麺を盛り、3を注ぎ入れて、キムチ、きゅうり、ゆで卵、2の牛肉を盛りつけ、ごまをふる。
【料理ポイント】
牛肉をゆでたスープは旨味があり、紹興酒と合わせることで、よりおいしさが引き立ちます。肉の臭みを取る効果も。
【教えていただいた方】
管理栄養士・調理師・料理教室COOK会主宰。大手食品メーカーに就職後、管理栄養士として妊産婦指導を行う。その後、製菓・製パン専門学校に通いながら、老舗洋食レストランで料理の基礎を徹底的に学ぶ。結婚を機に子育てをしながら料理教室COOK会をスタート。シンプルでおしゃれなレシピに定評があり、各メディアで活躍。管理栄養士の知識を生かして、企業向けのレシピ開発も行う。最近ではYouTubeが好評で、著書に『米粉があれば! パンもおかずもおやつも極上』(主婦の友社)、『母から娘に伝える はじめてのLINEレシピ』(ART NEXT)など多数。
撮影/沼津そうる 取材・文/山村浩子