【お話を伺った方】
管理栄養士として大手企業社員食堂、病院、保育園に長年勤務。食育、災害食、SDGsに力を注ぎ、2014年に管理栄養士の業務を行う会社を起業。レシピ開発を行うほか、全国で講演・講座・ワークショップを行う。NHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス! 」「ZIP! 」、TBS「マツコの知らない世界」「王様のブランチ」などテレビ・ラジオに出演多数。缶詰レシピ、レトルトレシピの達人としても活躍中。『からだにおいしい缶詰レシピ(法研)』『体と心がよろこぶ缶詰「健康」レシピ』(清流出版)ほか著書多数。
朝食の定番「ヨーグルト」×備蓄食材「ツナ缶」で冷製スープ
今泉:こんにちは。管理栄養士・防災食アドバイザーの今泉マユ子です。ギリコさん、今日も暑かったですね。
ギリコ:ほんとに。こういう日は火を使って調理をする気が起きません。
朝からムシムシしていたので、食欲もわかなくて…。
今泉:では、火を使わない、しかもこんな蒸し暑い日にぴったりのレシピをご紹介しましょう。
しかも栄養面もバッチリ。
ヨーグルトを使うのですが、ヨーグルトにはタンパク質のほかミネラル類もいろいろ含まれていて、特に朝食におすすめです。
朝食は、脳と体のスイッチを入れる役割をするもの。
基礎代謝が上がって脂肪が燃えやすい体になります。
胃腸を動かして、消化吸収力を上げ、便秘を予防するという意味でも、抜いたりしないでいただきたいです。
ただ、忙しかったり暑い日が続いて食欲がなかったりで、しっかりご飯やパンを食べられないというときもあると思います。そんなときのために、ヨーグルトのようなすぐに食べられるものを用意しておくとよいですね。
ギリコ:ダイエットをしているので、朝食をとることで基礎代謝が上がって、脂肪が燃えやすくなるというのはうれしいです。
今泉:では、ギリコさん、そこに備蓄食材の缶詰をプラスすれば、ヨーグルトをそのまま食べるのとほとんど変わらないくらいの手間と時間で、タンパク質やミネラルがぐんと増えて、オメガ3の脂質や食物繊維もとれる、そんな美肌や腸活、認知症予防にも役立つレシピがあるので、今日はそれをご紹介しますね。
ギリコ:えっ、ますますうれしい! そんなに美容・健康効果の高いメニューが簡単に作れるなら、ぜひ作りたいです!
今泉: はい。では、今日もギリコさんの防災備蓄の缶詰から選ばせていただきますね。
今日は、いちばんたくさんストックのある「ツナ缶」を使って、食欲のない朝にもぴったりの冷たいスープを作ります!
〔上の写真ふたつ:今回使用したのはシーチキンマイルド(はごろもフーズ)〕
ボウルの材料を入れて混ぜるだけ! 30秒で完成!
今泉:では作っていきましょう。
ギリコ:ヨーグルトは冷蔵庫にあるこれでよいでしょうか? 私が普段よく食べているヨーグルトです。
〔上の写真:整腸作用が認められている「ビフィズス菌BB536」を含む、森永ビヒダスヨーグルト(森永乳業)〕
今泉:はい。無糖のプレーンタイプであればなんでもOK、お好みのものを使ってください。
まずは、ヨーグルトをボウルに入れて、ツナを缶汁ごとボウルに加えます。
缶汁にもDHAやEPAが含まれているので、缶汁ごと加えるのが大切です。
次に、水を加えます。
水の分量は好みで調整してくださいね。
コーンを加えます。
コーンは、水煮タイプであれば汁はきって使用しましょう。またはお好みで汁をそのまま入れてもOKですよ。
「ドライパック」の缶詰やレトルトパウチのものであれば、そのまま加えてください。
隠し味として、おろしにんにくをお好みの量加えて、あとは混ぜ合わせるだけ。
ヨーグルトをすくう際に使用したスプーンでそのまま混ぜてください。スプーン1本で出来上がり~。
器に盛りつければ完成です。
★ツナの冷製スープ
〔材料(2人分)〕
ツナ缶…1缶(70g)
プレーンヨーグルト(無糖)…150g
水…1/2カップ(100ml)
コーンの缶詰(缶汁をきって使用)約50g
(レトルトパウチ入りのドライパックのコーンでもOK…1袋)
おろしにんにく(チューブ入り)……少々
ドライパセリ…少々
〔作り方〕
材料を混ぜて器に盛りつけ、ドライパセリをふる。
今泉:出来上がりです!
ドライパセリを少しふると、見た目にもおしゃれでおいしそうですよ。
ギリコ:これ、スープカップに1人分ずつ材料を入れて混ぜ合わせれば、ボウルを使わなくてOKですね。
インスタントのカップスープを作る感覚でできてしまいそうです!
今泉: そうですね。忙しい朝は洗い物が少なくなるのもうれしいですよね。
水が貴重な災害時は器にポリ袋をかぶせてその中で作り、スプーンで食べると洗い物が減るので、災害時にもこのレシピはとてもいいですよ。
コーンを加えることで、食物繊維やビタミンB群、ビタミンEもとれる!
ギリコ:ツナの旨味があって、ヨーグルトが爽やか!
今泉:魚は良質なタンパク質源。タンパク質は筋肉、皮膚や骨など、体のさまざまな部分をつくる原料です。
また、やる気や集中力、ポジティブな感情をつくる「ドーパミン」や、精神を安定させてストレス耐性を強める働きのある「セロトニン」といった脳内ホルモンもタンパク質からつくられます。
その日一日を充実させるためにも、朝、しっかりとタンパク質をとることが大切です。
また、肉には含まれていなくて、魚に豊富な栄養といえば、脂質に含まれるDHAやEPA。
血管をしなやかに保ち、脳の活性化に有効な成分です。
ですから、ぜひ積極的に食べていただきたいです。
でも、魚料理はちょっと面倒…というときは、ツナ缶が強い味方。
手軽に調理に使えて、いろいろな食材に合わせやすいので、ぜひ防災用の備蓄を兼ねて、ストックしておくとよいですね。
ギリコ:コーンのシャキシャキとした食感もいいです!
今泉:コーンは腸の機能を促す食物繊維が含まれているので、ヨーグルトに含まれる乳酸菌とともに、さらに腸活パワーがアップします。
また、食事でとった糖質やタンパク質の代謝を促す働きを持つビタミンB群も含まれています。
ギリコ:コーン(とうもろこし)というと、糖質が多くて太るというイメージでした。
〔上の写真:缶の裏に記載の「栄養成分表示」〕
今泉:確かにコーンには糖質も多いですね。
でも、糖質は体や脳のエネルギー源になる栄養素なので、適量はぜひとっていただきたいです。
特に朝食では、脳や体を目覚めさせるためにも、基礎代謝を上げるタンパク質と併せて糖質もとってくださいね。
朝食であれば、その日の一日の活動エネルギーとして消費されやすいので、太るという心配もないです。
そうそう。コーンには、老化予防に欠かせない抗酸化作用や血行改善に役立つビタミンEも含まれています。
ギリコ:たった数秒で完成してしまったスープですが、なんだか栄養の宝庫ですね。
今泉:ツナからタンパク質やDHA・EPA。
ヨーグルトからタンパク質と乳酸菌、コーンからは糖質、食物繊維。
ビタミンやミネラルは、ツナ、ヨーグルト、コーンそれぞれに、さまざまな種類が含まれています。
ギリコ:このスープ1品で、5大栄養素+DHA・EPA+食物繊維がとれるとは!
まさにスーパー朝食ですね。
取材・文/瀬戸由美子
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