体の中から潤い補給で、肌の夏老けを防止!
屋外では紫外線にさらされ、汗をかき、室内ではエアコンの乾いた冷風に当たり、夏にダメージを受けた肌はとても乾燥しています。暑さで体力を消耗し、熱帯夜の寝苦しさで寝不足になることも。知らず知らずのうちに肌老化が進み、鏡を見て驚くこともあります。
「東洋医学の考えでは、汗をかくことで体を構成する要素、『気』(エネルギー源)・『血』(血液や栄養)・『水』(血液以外の水分)が奪われます。これにより、栄養を含んだ血液を全身に送れず、臓器の働きや肌の衰えが進みます。気が弱ることで、気持ちが不安定になり、睡眠の質も低下しがちに。
喉が渇く、乾燥するからと水分だけを取っていたのでは、体の潤い不足に。そんなときこそ、しっかり栄養をとり、体に潤いを作り出す食材を食べるのが正解です。
本格的な秋になると、さらに外気も乾燥してきて、肌は潤いを失います。夏の疲れ肌は早めに解消しておくことが大切です」(谷口ももよさん)
今回紹介してくれたのは、そんな疲れた肌と体を元気にしてくれる夏野菜たっぷりサラダ。ドレッシングにはタンパク質補給にもなる豆腐を使って仕上げています。
「ゴーヤやトマトといった夏野菜はビタミン豊富で体から熱を取り、体と肌を潤して、紫外線による肌ダメージを修復してくれます。
さらに、ゴーヤの苦味やトマトの酸味には食欲を増し、胃腸を整える働きが。ブロッコリーは体を冷やさず五臓を補う効果、シワ予防にもなると、以前栄養学の先生から聞きました。オクラのネバネバは粘膜を潤し、肌や腸にもよく、便秘の改善にも役立ちます。甘味ではちみつを少し使うとコクも出て、免疫力強化にも役立ちます。
豆腐は体を元気にするタンパク質源であり、やはり余分な熱を取り、体を潤す効果が。今回はこれをドレッシングにしました」
【薬膳ポイント】
ゴーヤ
独特の苦味が体にこもった熱を取り、夏バテを予防します。ほかにも、暑さからくるイライラを鎮め、肌トラブルや目の充血、口内炎を予防する効果も。
クコの実
ビタミンA・B群・C・Eが豊富。肌の代謝を助け、メラニンの生成を抑制したり排出を促すので、紫外線による肌トラブルに効果的。ほかに、目の疲れやめまいなど、腎や肝の不調にもよく使われます。
白ごま
肌や粘膜、大腸、呼吸器の乾燥を潤します。それにより、美肌効果、便秘の改善、呼吸器を丈夫にして免疫を強化してくれる働きもあります。
【材料 2人分】
(ドレッシング)
木綿豆腐:1/2丁
酢:大さじ3
オリーブオイル:大さじ1
塩:小さじ1/3
はちみつ:少々
白ごま:大さじ1
ゴーヤ:1/4本
プチトマト:2~3個
ブロッコリー:1/2房
オクラ:2~3本
クコの実:大さじ1
【作り方】
① 木綿豆腐は水きりをし、酢、オリーブオイル、塩、はちみつを入れてフードプロセッサーなどでなめらかになるまでかくはんし、最後に白ごまを加えて混ぜ、ドレッシングを作る。
② ゴーヤ、プチトマト、ブロッコリー、オクラは食べやすい大きさに切り、プチトマト以外の野菜をさっとゆでる。
③ 器に②を盛りつけ、①の豆腐ドレッシングをかけて、クコの実と白ごま適量(分量外)を散らす。
「夏野菜の栄養に豆腐のドレッシングでタンパク質もプラス。ひと皿で体と肌を潤してくれる美肌メニューです」
国際中医師、国際薬膳調理師、一般社団法人「東洋美食薬膳協会」代表理事、「世界中医薬学会連合会」理事、一般社団法人「日本豆腐マイスター協会」理事。 「健康は日々の食卓から」と「美食同源」をテーマに、身近な食材で簡単でおいしい薬膳レシピを提案。ヘルシーな豆腐や野菜を中心にしたベジ料理にも精通している。料理本のアカデミー賞といわれるグルマン世界料理本大賞にて、2015年『身近な10の食材で始める薬膳ビューティーレシピ』と2017年『べジ薬膳』で健康料理部門グランプリを受賞。日本における薬膳料理研究家の第一人者として、TVや女性誌などのメディアでも幅広く活動中。6冊目の新著『女性の100の不調を整える薬膳と漢方』(エクスナレッジ)が10月15日発売。
撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子