セロリは体にこもった熱を取り、気持ちを落ち着かせる
閉経を挟む前後の5年、合計約10年間を更年期といいます。この時期は、卵巣機能が低下してホルモンバランスがくずれることで、さまざまな不調が現れます。
「東洋医学ではこの更年期を、体のエネルギーを司っている『腎』の機能が低下して、『気(き)・血(けつ)・水(すい)』の代謝やバランスが悪くなっているととらえます。
※薬膳の基本の考え方は第1回参照。
なかでも、気温や室温に関係なく、カーッと顔や体が熱くなり、汗が吹き出るようなホットフラッシュの症状は、『血』が不足して、血を動かす『気』が十分に働かないことで、余分な熱がたまっている状態です。イライラするといった症状も同じです。
こんなときは体内の余分な熱を取り除く食材をとるように心がけるといいでしょう。特に、熱を取る効果に加えて、独特な香りで『気』の巡りをよくするセロリがおすすめ。これにイカを合わせ、酢を加えてマリネにします。
イカは『血』を補い、 『腎』を整えるので、更年期症状や月経不順などの女性特有のトラブル、疲労回復、老化予防に有効。マリネに使う酢と添えたレモンは、そのすっきり爽やかな香りで、「気」の巡りをよくします」(谷口ももよさん)
【薬膳ポイント】
セロリ
穏やかに体を冷やす「涼性」に当たる食材で、水分代謝をアップすることで、体内にたまった余分な水分や熱を取り除きます。特に頭部の熱を取るので、のぼせをはじめ、目の充血、めまい、頭痛を鎮めます。また、その独特な香りで「気」の流れを整えて、精神を落ち着かせる効果もあります。
【材料 2人分】
イカ:1杯
セロリ:1本
A
酢:大さじ5
水:大さじ2
オリーブオイル:大さじ1
塩:小さじ1
砂糖:小さじ2
にんにく:1/2片
レモンスライス:2枚
【作り方】
① イカはワタをとり、輪切りにして、さっと湯通しする。
② セロリは食べやすい大きさに切る。
③ 鍋にAの調味料とつぶしたにんにくを入れて火にかけ、沸騰したらすぐに火を消す。
④ ③に①と②を加え、少し時間をおいて味をなじませる。
⑤ 皿に④を盛り、レモンスライスを飾る。
※写真は1人前
「セロリとイカをマリネ液と合わせたら、冷めるまで味をなじませるのがポイントです。ひと晩冷蔵庫に入れて冷やして食べてもおいしいです。食べる前に添えたレモンを搾ると、さらに爽やかさが増し、頭部にたまった熱のクールダウン効果が高まります」
【教えていただいた方】
国際中医師、国際薬膳調理師、一般社団法人「東洋美食薬膳協会」代表理事、「世界中医薬学会連合会」理事、一般社団法人「日本豆腐マイスター協会」理事。 「健康は日々の食卓から」と「美食同源」をテーマに、身近な食材で簡単でおいしい薬膳レシピを提案。ヘルシーな豆腐や野菜を中心にしたベジ料理にも精通している。料理本のアカデミー賞といわれるグルマン世界料理本大賞にて、2015年『身近な10の食材で始める薬膳ビューティーレシピ』と2017年『べジ薬膳』で健康料理部門グランプリを受賞。日本における薬膳料理研究家の第一人者として、TVや女性誌などのメディアでも幅広く活動中。6冊目の新著『女性の100の不調を整える薬膳と漢方』(エクスナレッジ)が10月15日発売。
撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子