にんにくとしょうがの最強タッグで免疫力を強化
風邪やインフルエンザをはじめ、さまざまな疾患予防に、日頃から免疫力を強化しておくことが大切です。それには日々の食事の役割が大きいはず。そんなときに手軽で便利な料理としておすすめなのが薬膳カレーです。
薬膳カレーと聞くと、山ほどのスパイスが必要なのでは? と思ってしまいますが、実は、いつもの食材で十分においしくできるそう。今回は市販のカレールウを使わずに超簡単にできる薬膳カレーの紹介です。
ただし、組み合わせは大切。せっかく体を温めるための薬膳カレーに、体を冷やす食材、例えばトマト、なす、ごぼうなどを組み合わせてはいけません。
「東洋医学では、風邪は『風邪(ふうじゃ)』という邪気(じゃき)が体に入った現象と考えられています。疲れやストレスなどで、体の抵抗力が弱くなっているとかかりやすくなります。
風邪かな? と思ったときには、体を温めて発汗を促し、寒さや邪気を取り除くことが大切になります。また、日頃から体を温めて免疫力を上げておくことが重要です。
それには、『気(き)』と『血(けつ)』の巡りをよくする、にんにくやしょうがをたっぷり使ったカレーがおすすめです。
具には、疲労を回復する鶏肉と抗ウイルス作用やデトックス作用が期待できるねぎ類、それに免疫力強化ができるきのこ類を! しょうゆと味噌の発酵パワーもプラスして、少し和風に仕上げます」(谷口ももよさん)
カレーにしなくても、鶏肉やきのこをにんにくとしょうがで炒め、カレーパウダーやしょうゆ、味噌で味つけしたものでもOK。この組み合わせを知っておけば、さまざまな料理に応用できます。
【薬膳ポイント】
にんにく
中央アジア原産で、日本には中国を経て8世紀頃に伝わったと考えられています。強壮作用に優れることで昔は薬として用いられていました。血行を促し体を温めるので、冷え症の改善や免疫力の強化、動脈硬化や血栓の予防に役立ちます。また、気分の落ち込みや緊張をやわらげる効果も。
しょうが
体を温め、血流や発汗を促し、「邪気」を取り除きます。このため風邪の予防や咳を止める働きが。抗炎症効果が高いので、胃腸を整え、吐き気などをやわらげる効果も。そのスパイシーな香りは気持ちを明るくしてくれます。
【材料 2人分】
鶏胸肉(ほかに鶏もも肉など好みで):100g
玉ねぎ:1/4個
長ねぎ:1/2本
しめじ(ほかにエリンギやえのきなど好みで):1袋
にんにく(すりおろす):大さじ1
しょうが(すりおろす):大さじ1
カレー粉:大さじ11/2
しょうゆ:大さじ1
味噌:大さじ1
オリーブオイル:大さじ1
こしょう:少々
水:400㎖
片栗粉:大さじ1
五穀米(炊いたもの):1カップ
パセリ(みじん切り):少々
【作り方】
1 玉ねぎと長ねぎはそれぞれせん切りに、鶏肉は食べやすい大きさに切る。きのこは食べやすい大きさにほぐしておく。
2 鍋にオリーブオイルを熱し、玉ねぎを透明になるまでしっかり炒める。
3 ②に鶏肉、にんにく、しょうが、カレー粉を加えて炒め、長ねぎ、きのこ、水を加えて20分ほど煮込む。
4 仕上げにしょうゆと味噌、こしょうを入れて味を調え、片栗粉を水大さじ2ほど(分量外)で溶いた水溶き片栗粉でとろみをつける。
5 器に炊いた五穀米と④を盛り合わせ、好みでパセリを散らす。
「カレー粉にはクミン、ターメリックなど複数のスパイスが入っているので、これににんにくとしょうがで香りを加え、しょうゆと味噌でコクを出せば、十分にヘルシーでおいしい薬膳カレーになります」
【教えていただいた方】
国際中医師、国際薬膳調理師、一般社団法人「東洋美食薬膳協会」代表理事、「世界中医薬学会連合会」理事、一般社団法人「日本豆腐マイスター協会」理事。 「健康は日々の食卓から」と「美食同源」をテーマに、身近な食材で簡単でおいしい薬膳レシピを提案。ヘルシーな豆腐や野菜を中心にしたベジ料理にも精通している。料理本のアカデミー賞といわれるグルマン世界料理本大賞にて、2015年『身近な10の食材で始める薬膳ビューティーレシピ』と2017年『べジ薬膳』で健康料理部門グランプリを受賞。日本における薬膳料理研究家の第一人者として、TVや女性誌などのメディアでも幅広く活動中。6冊目の新著『女性の100の不調を整える薬膳と漢方』(エクスナレッジ)が10月15日発売。
撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子
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