味噌は栄養たっぷり! 日本のスーパーフード
今年の夏は酷暑が続きましたね。皆さん、体調を崩したりしていませんか?
秋は夏の暑さによる疲れが蓄積して体調を崩しやすい時期。しっかりと栄養を摂取したいものです。でも、食欲が落ちたまま、なかなか回復しないという方も多いかもしれません。
そんなときは、お味噌汁を積極的に毎日の食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
味噌には大豆のタンパク質が含まれているほか、発酵によって増えたビタミンB群をはじめ、疲労回復に役立つ成分が多く含まれています。また、汗をかくことで失われがちなミネラルも補給できます。
お味噌汁なら時短で作れて、食べやすく、味噌の栄養が手軽にとれるのでおすすめです。

photography: Kenji Itano
ところで皆さん、味噌はどこで購入していますか? スーパーで購入するという方が多いのではないかと思います。でも、もし旅行などで地方に行かれた際、スケジュールに余裕があったら、近くの味噌蔵を覗いてみるのもおすすめです。
昔ながらの伝統的な製法を用いて、丁寧に発酵・熟成させた手作り味噌には、なんともいえない奥深い味わいがあります。
私は、仕事で日本各地を訪れていますが、最近は、滞在先で地元の方におすすめの味噌屋さんを教えてもらい、購入して帰るようになりました。今日は私が訪れた味噌屋さんのひとつ、茨城県牛久市にある「ヤマイチ味噌」をご紹介します。

味噌蔵には長年使用している杉の木桶が並んでいます
ヤマイチ味噌の創業は戦後まもなくのこと。近隣の家はほとんどが農家で、当時はどこの家でも自宅で味噌を作っていたそうです。そんな中、忙しい農家さんから材料を預かり、仕込みの代行を始めたところ、その味噌がとてもおいしいと評判がよく、依頼がどんどん増えていったことから味噌の製造に本格的に乗り出したのだとか。
現在もヤマイチ味噌では、昔ながらの伝統的製法を守りながら丁寧に味噌を作り続けています。
味噌の要である「麹」は自社製。長年の職人さんの経験と技で良質な麹が生み出されます。

職人さんが温度を管理し、麹作りの環境を整えます
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大豆は一晩以上水につけておき、蒸して(または、ゆでて)ペースト状につぶします。そこに塩、麹、種水と呼ばれる酵母や塩を加えた水を加えます。種水を加えて発酵させることでより複雑な味わいが生まれるのだそうです。

水や塩水を使用する味噌蔵もあります
この後、木桶や仕込み容器などに入れて表面を平らにし、塩をふってからビニールをかぶせて重石をのせ、発酵させます。熟成期間は6~12か月。じっくり長期間熟成させるほど、発酵風味が強く色の濃い味噌になります。

表面全体に重石をのせます
お店で一番人気の看板商品は「【10割糀 赤つぶ】酒精無添加生みそ(コシヒカリ米)」。国産の材料にこだわったお味噌で、糀の粒が残っていて濃厚な味。どこか懐かしいほっとする味です

麹と大豆を同量使用したのが「10割糀」。倍量を使用した「20割糀」の味噌は甘口。麹の割合が多くなるほど甘くなります
一般的に販売されている味噌の多くは、酒精と呼ばれるアルコールを加えたり、加熱殺菌処理をしたりして発酵を止めていますが、こちらの味噌は酒精無添加。加熱処理も行っていないので、発酵が続いている生味噌です。
このように、発酵によって生み出された旨味や成分を存分に味わえるというのが、昔ながらの製法を用いた「手作りの味噌」の魅力ですね。
その他、工場に隣接している直売所には、赤味噌、白味噌をはじめ、麦味噌、玄米麹味噌、黒豆味噌など。バラエティ豊かな味噌が並んでいます。なお、味噌はオンラインショップでも購入可能です。

工場に隣接する店舗では味噌のほか、味噌を使ったお菓子なども購入可能。ソフトクリームも人気です

現在は、社長である坪井孝賢さん(右)を中心に、父である会長の坪井幸裕さん(左)と、製造スタッフ12名で丁寧に味噌を作っています
旅で訪れた土地の味噌を購入して帰り、自宅で使ってみると、いつもの料理がちょっと新しい味わいになります。日本各地の味噌を食べ比べてみるのも、それぞれに個性があってとても楽しいですよ。
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《From 編集部》
山田玲子さんの新刊
「味噌上手 MISO LOVE』発売中
本連載にて、全国各地のおいしい食材と手軽なレシピを紹介している山田玲子さんの新刊が7月に発売になりました。味噌を洋風の料理に活用したレシピや、毎日のおかずに活用するアイデアをはじめ、地方の味噌蔵を訪ねたレポートも掲載されています。
海外の方にも味噌を知っていただけるよう英語併記になっています。
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『味噌上手 MISO LOVE』(K&M企画室)


