コロナウイルスが、残念ながらニューヨークでも広がってきています。3月中旬には急に事態が進み、12日に市の非常事態宣言が出されてメトロポリタン美術館などが休館に。ブロードウエイのショーは4月半ばまでキャンセル、メジャーリーグのスポーツ試合も停止されました。翌13日には国全体に非常事態が宣言されることになって、状況が日々刻刻と変化しています。レストランもこの前まで通常と変わりなかったのが次第にガラガラになり、16日夜からついにイートインの営業停止に。テイクアウトとデリバリーのみ可能、ということになりました。
そんな緊張感の中で、私が予防のために特に心掛けていることは、今まで以上の手洗いなどの徹底と、「食べて免疫力アップ」。免疫力を上げてくれる食材はいろいろありますが、いつでもどこでも手に入る玉ねぎもその1つ! 玉ねぎに含まれる硫化アリルが変化してできるアリシンには強い抗菌・抗ウイルス作用があり、免疫力をアップしてくれます。この時期は美味しい新玉ねぎの季節でもありますから、ぜひたくさん食べたいものですね。
血液サラサラでも知られている玉ねぎですが、それはやはり硫化アリルが血栓やコレステロールの代謝を促進してくれるから。ここでは、ニューヨークでますます人気のビーガンレシピで、玉ねぎを使った3品をご紹介します。ただし、持病や体質の関係で玉ねぎが向かない方は、どうかお気を付けていただけましたら幸いです。
丸いもの、細長いもの、後で出てくる平たいもの・・・。NYの玉ねぎは形のバリエーションが豊富です
生でいただくサラダは組み合わせで味もおしゃれ感もアップ
一口に玉ねぎといってもいろいろな種類がありますが、アメリカでチポリーニと呼ばれる平べったい玉ねぎは、生のまま食べられる玉ねぎとして知られています。硫化アリルは熱に弱いので、硫化アリルの効能を一番得られるのは生で食べること。日本でも「サラダ玉ねぎ」がありますね。生で食べるならやはりサラダ、あるいはピクルスでしょうか。
最初の写真と似ていますが、よく見ると平べったいこちらがチポリーニ
こちらは、チポリーニを使ったサラダです。チポリーニは根と頭をとり、皮をむいて千切りにしました。合わせた具は同じように千切りにしたリンゴ、生しいたけ、そしてマイクログリーン(日本で言う「ベビーリーフ」や「スプラウト」ですね)。リンゴの甘酸っぱさと生しいたけの優しい味がよく合いますが、特にりんごを入れたのが大正解でした! 生で食べられるといってもやはり玉ねぎにはちょっと苦みがありますが、リンゴを入れることでその苦みをあまり感じないですむのです。ドレッシングは塩胡椒、オリーブオイル、米酢を混ぜたもの。お皿に盛り付ける時は小高く盛って、マイクログリーンを頂上に置くようにするとお洒落に見えます。ちょっと大人っぽい色どりのサラダになりました。
日本では、今の時期手に入りやすい新玉ねぎや、サラダ玉ねぎなどを使うと、あと味が残りにくくさわやかです
フライパンひとつでできる、存在感のあるオニオン・ステーキ
玉ねぎは細かく刻んで何かに混ぜて使うことが多いと思いますが、思いきってザクっとしたステーキ風にすると、主役級の存在感が出ます。玉ねぎは皮をむき、根と頭を切り落として、1センチくらいの厚さに横にスライス。それを中火で温めてオリーブオイルをしいたフライパンに並べ、片側に焦げ目がついてきたらひっくり返します。玉ねぎを端に寄せ、空いたスペースに細切りにした生しいたけと食べやすい大きさに手で裂いたマイタケをのせて炒めます。キノコ類は生の時は量が多い気がしても、水分が出てくるとかさがだいぶ減ります。
トロっとして甘味の出るまでしっかり焼きます。季節のキノコとの相性も抜群!
玉ねぎによく火が通り、キノコも炒め終えたら、塩胡椒、醤油、バルサミコビネガーを加えて味つけします。甘めの味が好みであれば、蜂蜜かメープルシロップを少し加えてもいいです。お皿に玉ねぎを並べ、その上にキノコをのせて、最後にパセリのみじん切りをトッピング。キノコも免疫力をアップする食材ですので、この時期に玉ねぎ同様、積極的にとりたいですね。
ちょっと強めに焦げ目をつけると、香ばしさが出てより美味しくなります。 ビーガンでないならハンバークなどと合わせても美味
ワイルド&シック+癒しの香り。パープルオニオンのロースト
お皿に載せると急におしゃれ感の出る紫玉ねぎは、抗酸化作用のあるポリフェノールの1種、アントシアニンを含んでいるので、美肌効果も高くなります。しかも、ポリフェノールは熱に強いとか!安心して加熱できるのが嬉しいですね!
紫玉ねぎは根と頭をとり、表の皮をむいて8等分のくし形に切ります。塩胡椒とオリーブオイル、ローズマリーの葉っぱをまぶして、175度のオーブンかトースターで25分ロースト。ローストしている最中、ローズマリーの香りがお部屋いっぱいに広がって、それだけでちょっと幸せな気分になれます。それだけでも付け合わせには十分美味しいのですが、ローストし終わった紫玉ねぎにオーガニックのレーズンを混ぜるのも一案。ローストしたことで辛みが甘みに変わった玉ねぎに、さらに優しい甘みを加えた一品になりました。
やさしい紫色とローストの茶のコントラストがきれい。形を見せて、ちょっとワイルドさのある盛り付けが似合います